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読書日記51

東京都北区赤羽

 清野とおるの漫画で清野とおるさんと言えば壇蜜さんの旦那さんということになる。初めて読んだんだけど面白くてunlimited版の8巻まで一気に読んでしまった。漫画家としての生活も書かれている。北区というのは僕が子供の時に住んでいた大田区蒲田とは真逆だけど雰囲気は似てるなとはおもった。人が多いから色んな人がいるけどその中でも凄いというのはわかる気がする。

 本当に東京って街で違うし、「こういうヘビーなのって読むの面白いけど結局外様である人達にはわからない世界だもんな」というのがあって読まなかったんだけど、Netflixで「日本沈没2020」を観てちょっと気分が落ち込んでしまったので気分転換で読んだ。「日本沈没2020」はネガティブ過ぎじゃね?というか気が滅入るので少しづつ観ないと心がやられてしまう気がする。

 面白かった。サブカルというのはこういうものだよ。というか底辺をみることで安心できるっていうのはホントに人には備わっている健全な防衛本能だなと思う。作者である清野とおるさんが主人公で赤羽に住みながら漫画を描くという作品でその時はまだこの漫画を描いていない時期になっている。時代的には2006年ぐらいからのスタートとなる。もう14年も前の話になっている。

 やって後悔とやらなくて後悔という話があるけど、それは上手くいけばというとこで漫画で食べていければということを清野とおるは全面に出している。漫画を描きながら変な居酒屋「ちから」に言って酒を飲むのをストレス解消としている。その居酒屋も変な居酒屋で普通の人なら行かないと思うような店でママとマスターは不倫関係にあるし出すメニューは変だしマスターは客が来なくて寝ている。

 ただ清野とおるさんはそれが楽しいらしく色々な変な人と会うことが凄く楽しく描かれている。ペティさんという自称芸術家の女性ホームレスや、飲み屋で知り合う職業不詳のジョージさん。赤い服をきた赤羽の人などを探したり、UFO報道(これはテレビで放映された)などの事件も書かれている。この場所を知っている人なら面白可笑しく読めるだろうなというコアな内容が満載で面白く読めた。

 こういうサブカル好きならハマるかもと思う。漫画もヘタウマの感じで雰囲気がとてもよくなっている。結局、漫画では食べれなくなってきてお弁当屋でバイトをし始めたりする。その中で自分の好きな漫画を描けばいいんだというのに納得し始める。自分の作品を受け入れてくれる場所としてそこら辺がすごいというか漫画家なんだなと思った。

 バカリズムがラジオで昔に「僕はネタを考えてそれをお笑い仲間に話して、ウダウダいうのが好きだったから芸人をやめるなんて考えたこともなかった」と言っているのを聞いて深夜に泣いた記憶がある。芸人としてみたこともなかったし、ピンで漫画のフリップで「トツギーノ」のネタで売れ始めた頃でその頃に僕は正社員でリストラをしなければいけなかった。きついな~と思いながら痛いお腹をさすって仕事をしていたら胃潰瘍の一歩手前までいった(胃カメラはじめて飲んだ)

 その時にラジオでその言葉を聞いて「そっか嫌ならやめるって手もあるんだ」と思った。信念なんてもってない人間が信念もってますってちょっと恥ずかしいことだから、自分がリストラされたらと思った。辞表を書いて受理されたし、その後の生活が何か変わったか?と言われると何も変わっていないような気がする。それで再検査したら異常なしだった。信念あって勉強して立派になって俺は偉いんだ~と言える人がリストラをするべきだなと本気でおもった。正社員でいる人も大変だなと真剣におもった。

 仕事って楽しいんだよって言えることってないかもだけど、それに近い世界ならもっと面白かったのだろうと思う。漫画だってお笑いだって上手くいかなくてやめていく人だって多いのだろうし、そういう世界のちょっと真剣な部分をみせてもらっただけでも、すごく読む価値がある作品だと思った。

 

 


 

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