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2023/7/27  『 ソーダ水 』

突撃する子葉体
これらの性格は無駄なしぐさだと了解される
エスペラント語の本質的理解を欠いたまま
古代の出窓に正月が来る
触感的にふるさとがあら塩で遠ざかる
起請文に血判を押して
極彩色のアルカディアを想像させる遠見やぐら
すべての蛇は死者の耳から登場する
廃寺跡から防水性の彼岸花が開く時
彼等のともしび、すなわち彼等の懐具合い
ジープが進行する泥と血の混じるこの道を
ハインリッヒはすくなくとも一度は
通ったはずである、東から南へとまっすぐに
この後は、ほがらかに後始末するのでしょう
我等の方角顕微鏡は廃墟となった〈としまえん〉
ツベルクリン、その方たちの心配をよそに
長襦袢で出かけたりしていたのだ
期待されたほどの報酬ではない
耳と眼と笠置山から、しくじりの声がするでしょう
どどいつのひとつくらいうなりたくなる
そののちに極楽鳥の追羽根をつく
きわだってシンプルにつつみこんで
港南地帯の藪から犬を追い立てる
道路を渡って来る〈編み笠の人〉
その神秘的素性を語ればなおのこと
我々の耳には鳥の声として聞こえるのでしょう
鎌倉への細い坂道がつづいている
そして過去の偶発する日々が弔われてわたしの耳に届く
手を隠してわたしに続きなさい
眼を覆ってわたしの皮膚をなまめかしく
流行の野菜畑を大股に行く時には
誰でも新鮮な香りのソーダ水を持っている
ひやっとする
その一瞬に地上は蒸発する。