スコア(総譜)を読みながら

 図書館の楽譜コーナーに行ってみた。数多(あまた)あるクラシック音楽の楽譜を眺めている内に、お気に入りの曲を、スコア(総譜)を読みながら聴きたくなった。早速借りた。
 借りたはいいが、自分の読譜が演奏について行かれるか、不安になった。そういうこと(読譜)からは、ずいぶん遠ざかっていたので。
 ええぃままょ!とスコアを開き、曲を流した。案の定、落ちた(どこを演奏しているのか、分からなくなった)部分もあったが、何とか最後まで辿り着いた。ホッとした。が、ワクワク感の方が勝(まさ)っていた。

 予想以上に、楽譜は複雑だった。それはそれで、興味深い面白さ、を覚えた。そう思いながら、生(ナマ)の楽譜から作曲者の癖のある音符や記号を読み取り、解読し、印刷楽譜に完成させた、先達の偉業に感謝した(これも最近、文豪と称される作家たちの直筆原稿や創作ノートを、企画展あるいは常設展で目にしているせいか)。それ以前に、その作曲家がその曲を創り上げたという事実に、改めて感服した。勿論、その才能にも。そして、その曲が連綿と、途切れることなく演奏されて来たからこそ、この曲はこういう曲と、私も認知できるのだろうなぁと、今更ではあるが、思いを深めた。
 それだけではない。指揮者も含めた演奏者の技量、才能を、今まで以上に感じた。その実感に曲そのものや演奏の素晴らしさが上乗せされて、言葉では言い表せないくらい心が揺さぶられた。自分でも驚いている。
 何と言っても、とにもかくにも、楽しかった。目と耳をフル稼働させて聴くのも悪くない。今はそんな気持ちだ。

 因みに曲目は、チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第一番」と、ブラームス「交響曲第一番」(はからずも、両方「一番」だったなぁ)。

 次は、どの曲にしようか。スコアを探しに行くのが楽しみだ。

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