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政治刷新本部が設立されて思い出すこと

1月10日に自民党の政治刷新本部の役員が決まり、本部長に岸田総裁が就任した。これに私が感じたのは、最高顧問に就任した菅前総理や麻生副総裁ばかりがクローズアップされているように感じた。

毎年開催していた自民党の各派閥のパーティーの収支について収支報告書に、虚偽記載や不記載の疑いがあり、大学教授らが、そのことについて告発し、東京地検特捜部が捜査をしている。以前あったリクルート事件に似ているとの報道もあるが、私が記憶しているリクルート事件は、各派閥の領袖や野党、財界などに未公開株が配られてそれが事件化したもので、問題の派閥のパーティーの疑惑も登場人物は多いが、似ているのかというと私は全く異質のものと思っている。

今回の設立された自民党の刷新本部の一回目の会議では、派閥解消が議論になったということが報じられているが、議論は、それだけであったのかというと刷新本部の会議に参加していた人(壁耳はあるかも)でないと会議の詳しい内容はわからないのではと思っている。

私が秘書をしていて経験したのは、1992年から1993年にかけて事件になった金丸信自民党副総裁の東京佐川急便事件に始まり、脱税事件にまで発展したことに関して、野中広務先生が金丸先生に近かったので私は実際に間近でその発覚からの流れを見させてもらった。この時にも、自民党は、今回のように政治改革という名目で議論が起こった。

当時の政治資金規制法のもとでは、1人の議員が政治団体をいくつも設立できて、今は、政党や政党支部しか、企業団体献金は、受けられないが、その当時は、その他の政治団体でも企業や団体からの寄附は、受けられ記載をするのも100万円以上の寄附からというのが政治資金規制法の中身であった。
例えば、10個の政治団体を持っていると1企業がひとりの議員に、1000万円の寄附をしたとしても10個の政治団体で100万円づつの領収書を出して各政治団体にその寄附を入れたことにして、振り分けると政治団体の収支報告書に、トータル金額さえあっていれば、寄附した企業や団体名を記載をしなくとも政治資金規制法違反にはならなかった。付け加えると政治資金集めのパーティーもこの頃からあった。この金丸事件を契機に、政治にはお金がかかるという問題から、政治改革という機運が盛り上がり、自民党から大量の離党者を出して内閣不信任案が可決され総選挙になり、自民党は下野してしまったのである。

この時の議論は、選挙にお金がかかるということで中選挙区から小選挙区比例代表並立制という選挙制度に変更され、政党交付金の制度が出来、また、企業団体の寄附は、政党しか受けられないということから各選挙区に政党支部などが出来た。今回問題になっている政治資金パーティーは、企業や団体からもパーティー券を買う上限金額は決まっているものの、政党でなくとも政治団体であれば、パーティーを開催さえすれば企業や団体からもパーティー券を買ってもらうことが可能になっている制度である。その企業団体にパーティー券を買ってもらった金額が、正確に収支報告書に記載せずに、政治団体の収支報告書を選挙管理委員会に提出していたという疑いがあることから、告発され、検察がこれを解明するために現在、捜査が行われていると思う。

金丸事件の時も政治資金の問題から選挙制度を変えないといけないと言われていた時に、私は、その頃、野中先生の身の回りの世話をする担当の秘書であったが、いくつかの政治団体の会計責任者もしていて収支報告書の作成も担当していた。事件以降の政治改革という議論の場を見て野中先生に私の疑問を質問したら「選挙制度を変えたからってお金がかからないというわけではない。政治資金の問題だよ。政治資金を1円からでも透明化にするという政治資金規制法に改正すればいいんだよ。選挙制度を変えるのにも、税金を政党に入れる政党交付金にも、私は反対だ。」と言ってられた。野中先生は、小選挙区制と政党交付金については、反対の立場をとって発言されていたので守旧派というレッテルを貼られ、いろいろな方面から批判された。

今回も、派閥の解消と言われているが、派閥を解消して派閥のパーティーを開催しなくなれば、今回の問題も解決するのかというとそうではないと思う。自民党の刷新本部のメンバー構成でSNSなどでも批判をされているが、総理経験者を最高顧問にして岸田総理が本部長、そして役員は、党の役員がスライドしたかたちのメンバー構成になっているのではと思う。今回の問題も派閥の解消ではなく企業や個人事業主が、決算をし税務申告するのと同じように、政治資金も税務申告と同じようなかたちで1円から透明化して公開し、そのかわり寄附の上限なども設けずにするようにすればいいのでは?と派閥のパーティーの疑惑報道に触れて私なりに思っている。

我が国は、この30年間ほとんど変わっていない賃金や物価、また、各地で起きている災害、事故、少子高齢化や我が国を取り巻く国際情勢など早急に、解決していかないといけない課題が山積している。
一日も早く政治が国民の信頼を取り戻し、しっかりとそういう問題について議論をして「政治に任せていれば大丈夫」とひとりでも多くの方に、信頼されるようになり、国民の安全と幸福を追求していく政治をしてもらえればと私も国民のひとりとして願っている。

まだまだ私が、今回のような体験についても書きたいことや考えもあるが、このあたりにして刷新本部が設立されて思い出したことを書いた。

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