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重松快作 「その日のまえに」

 去り行く昭和の残像を舞台に、淡々と語る妻の死と残された子供の有様。同世代の・同姓として、自分は次第に主人公と同一化してしまった。


 家庭内の話・心の内面の話・思い出という、今は実態のない話が多く、読み始めは「女々しい語り口」であると感じました。

 7つの短編を上手く組み合わせた本書は、立派な単行本に仕立てられている。縦軸に「命の話」・横軸に「時間の経過」と言う風に、変えない著者のスタンスは、見事でした。

 終盤、「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」と組立てた件には、一気に著者に寄り切られた思いでした。

 共感した私は、「女々しい…」のでしょうか?いや、今いる自分を支えてくれた人への感謝は、亡くすことで気がつくのでしょうか?

 別件。それにしても、衝撃的な事故死よりも、宣告を受けた死を淡々と迎えるのは、実に辛いね!
(「その日のまえに」重松清作)



かわせみ💎

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