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小箱ボードゲーム販売で原価率30%を実現するには?

記事概要

2000円で販売する小箱ボードゲームを原価率30%で販売するための逆算をしてみた短文記事になります。

30%の根拠

個人でボードゲームを制作しているのですが、少量生産だとどうしても原価が高くなるので、本来どのくらいの原価率が適正なのか調べてみたところ、ブログベースでは

「飲食店なら30%程度」

「持続可能な利益率は(ボードゲームの場合も)30%くらい」

「(ゲームマーケットでの頒布の場合)(製造原価+ブース出展料)÷50が最低ラインの頒布価格」

といった記事が見られました。一方で、「その原価率(30%)ってどうやったら達成できるんだ?」「実際には原価ギリギリ」「現実的には60%以上になる」といった記事・コメントも多くみられました。

どれも記事を書いているのが個人であるため、経験者が書いているという点である程度リアルな数字かとは思いますが、「30%」の根拠はよく話題に上がっている(ように見える)飲食業界の数字が参考になってるのかな?という印象でした。

なので、事業にしても趣味にしても、継続が可能な割合を個別に設定するのが現実的なのだと思いますが、ひとまず、よく言われている30%を実際に達成しようとした場合の一例を計算してみました。

原価率30%で販売価格2000円の場合、

2000×30/100=600(円)が原価ということになります。

カードや化粧箱が基本料金+単価×個数という形で設置される場合を想定すると、仮にカード単価(ポーカーサイズ、光沢PP加工、やや厚みあり)を10円、化粧箱(ポーカーサイズ、光沢PP加工)の単価を100円、説明書単価を50円とし、丁合・箱詰め・シュリンクの単価を100円程度と想定すると、カード40枚のシンプルなコンポーネントのカードゲームを作成した場合ですら、基本料金を除いた部分の金額が10×40+100+50+100=650円であり、この時点で原価率30%での販売は不可能ということになります。

ちなみに印刷会社にもよりますが、上記の単価概算よりも高いところ・低いところがあるので代表的な複数の印刷会社のHPをみて、平均的な値と思われる値を設定しています。

ここで少し質を落として、

カード単価(ポーカーサイズ、ニス仕上げ、やや厚みあり)7円と想定してみます。この場合、7×40+100+50+100=530円となり、単価としては600円に納まります。しかし、基本料金を70円まで抑える必要があります。

カード基本料と化粧箱基本料をそれぞれ25000円と設定すると、合わせて50000円になりますから、これを生産個数で割った値を70以下にしなくてはいけません。

すると、50000÷70≒714(個)作る必要があるという計算になります。

まとめ

 ある程度品質の良いものをと考えると、カード40枚のシンプルなカードゲームですら、2000円の設定ではそもそも印刷単価の点でクリア困難という結果でした。また、少しカードの質を落としても700個くらいは作らないと目標達成できないという、個人製作としてはなかなかに高いハードルになるようです。しかも今回の試算は必要な画像データをすでにあるものとして原価から除外しているため、これを外注するとなればかなり絶望的といえます。

さらに、消費税も考えなくてはいけません。

 なので、原価率30%はあくまで事業として生産・販売する場合の参考値と考えるのが妥当かなという印象ですね。

ちなみに私が2021秋に持参するゲームの原価率は平均して65%くらいです。

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TriATri(トリアトリ): 実際は箱内に仕切りがあり、説明書も同梱されます。

化粧箱:マットPP加工、カード:厚口、エンボス加工あり

画像2

カード約70枚のカードゲーム「OVER DOSE」。説明書同梱です。

化粧箱:光沢PP加工、カード:厚口、エンボス加工あり

画像3

カード約30枚の瞬発系カルタ「ウマシカルタ」。

化粧箱:光沢PP加工、カード:厚口、エンボス加工あり。

※これらのゲームはゲームマーケット2021年秋にて頒布予定です💡

 厚口のカードにエンボス加工をかけたり、箱がシュリンク包装に耐えられるようPP加工したものを使用したり、一部のゲームにはカード以外のコンポーネントも入っていたりするので、その割には頑張れたかな、という感じですが、参考にされる場合はイラスト制作、箱詰め作業やシュリンク包装がすべて自前で、原価に含まれていない点は要注意です。

 私個人としては、ボードゲーム作成の目的はたくさんの人と一緒に遊んだり、制作活動を通じて同じ趣味の友達や知り合いが増えることなので、原価が回収できて毎年新しいゲームを作れれば満足なのですが、もし収益性を確保して事業として展開しようと考えている場合は、かなり計画的に進める必要がありそうです。


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