桜染めという染色技法のことを子供の頃に副読本か何かで読んだことがあった。

おぼろげな記憶だが文意としては、木花は冬、花をつける前からその身に色をためている。
同じように人も準備や努力が大切なのだと説いていたように覚えている。
ただ、花びらから染めるのかと思ったらそうではなく、花咲く前の樹皮を煮出して桜色に染めるのだという。

これを読んでその文意よりも咲く前の色を採ることで花の色が損なわれてしまうように感じ、何もそこまでしなくても…と少し哀しくなった記憶がある。

これはただ時々春の季節に思い出す程度のことであったのだがずっとそんなイメージでいて。

あれから数十年、花の季節にふと検索してみたら少なくとも今は落ちた枝や伐採された木を用いて煮出しているらしい。
もともと誤解や思い込みもあったかもしれないが何だか少しほっとした。