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AnkerMake M5のAll Metalホットエンドを使うと3Dプリントが失敗する

AnkerMake M5をクラウドファウンディングで入手して使っていました。
クラウドファウンディングには「ストレッチゴール」というものがあり、出資者が増えると追加でアクセサリなどがもらえます。今回はAll Metalホットエンドという名前の通りすべて金属製のホットエンドがもらえました。そしてこの話はそれにまつわるお話です。

事象

元々本体に付いていたホットエンドからアドオンで送られてきたAll Metalホットエンドに換装して印刷を行うと途中で印刷ができなくなりました。
具体的にはXYZ軸やソフトウエアシステムは特に問題はなく正常に動作している状態になっていますが、フィラメントだけがホットエンドのノズルから出てきません。
つまり、頑張って空中でノズルを前後左右に動かしているという状況です。

ノーマルホットエンドとAll Metalホットエンド

観察

フィラメントをアンロードして観察するとこのような形になっていました。
通常、フィラメントのアンロードはホットエンドを加熱してから引き抜くため、先端が溶けて尖ったような形状になります。しかし今回のフィラメント先端はそのようになっていません。
しかし、注目べきは先端が少し溶融(+再硬化)しており、フィラメント径よりも少し太くなっている点です。

アンロードしたフィラメント先端

仮説

All Metalホットエンドに換装してから突然発生するようになったこと、そしてここまでの状況から次のような仮説を立てました。

【仮説】
All Metalホットエンドはガイド部分も金属であるため熱伝導率が高く、エクストルーダーベースとホットエンドのつなぎ目の部分までフィラメントが溶融してしまい、エクストルーダーベースとホットエンドの接合部分にまだ溶融していないフィラメントの先端が引っかかっている。

特にアンロードした際のフィラメントの先端が尖っていないことはフィラメントがホットエンド先端まで達していないことを意味すると考えられます。

仮説の図解

実証

仮説を実証するために、2つの方法が使えます。
1. フィラメント溶融温度を低くしてホットエンド上部までの熱伝導を弱める
2. 元のテフロンガイド付きホットエンドに戻す

【1の結果】
積層できる層数は多くなったものの、途中で事象が再発しました。
この結果から、熱伝導によってホットエンドとエクストルーダーベースの接合部分がフィラメント溶融温度に達したタイミングで事象が発生することがおおよそ予測できました。

【2の結果】
購入した際に付属していたテフロンガイド付きホットエンドに戻して再印刷を行いました。結果としてGコードなどホットエンド以外は何も変えていない状態で何の問題もなく正常に印刷できました。

まとめ

ここまでの結果から仮説が正しいと想定されます。
この事象は熱伝導に左右される問題なので、気温などプリンタのおかれた使用環境に大きく影響されると考えられます。
私の場合は防音のためのエンクロージャーの中で印刷をしているので空気の滞留が発生して温度が上がりやすい状況になっていたことが原因だと考えられます。



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