プルシアンブルー作出の想い

■始まりのワットレイターコイズ

私が熱帯魚を始めたのは中学2年の頃。同級
生が熱帯魚を飼育していると聞いて家に遊びに行ったのですが何とそこにはシルバーアロワナが居てテレビでアマゾンの魚を紹介していたのを思い出しあの同じ魚だ!
今でもあの時の衝撃は忘れません!
それもその筈、この頃は熱帯魚なんて金持ちの道楽でしたし私は近所の川で鮒や色鯉、温排水にいるワイルドグッピーで楽しんでいました。
2度目の衝撃は同級生が熱帯魚屋を教えてくれるとの事で自転車で1時間近く掛かり幹線道路に面したお店に連れて行ってくれました。
私は熱帯魚?売ってる?外国の魚?熱帯って?冬は大丈夫か?と頭の中がグルグルで疑問と期待とドキドキだったのを今でも覚えています(笑)

さあ着きました!
扉を開けて中に入ると!
ウッウォー!!!!!!!!!!!!!!!
何だこの世界は!
テレビや本で見たことある魚、無い魚
魚好きの私がこの時自分でも分かる位
何か大きなスイッチが入った事は言うまでもありません(笑)

私がその後、色々な熱帯魚を見て気に入ったのは今でも飼育しているエンゼルフィシュ·アフリカンシクリッド·ディスカスの3種類。

当時は90年代、価格はエンゼルは今と変わらずですがアフリカンとディスカスはかなり高価で中学生の小遣いで買える金額ではありませんでした。
ディスカスに限っては当時の価格と種類は
ブラウンディスカス(東南アジアブリード)
1.000円 レッドディスカス(ブラウンの色揚げ·東南アジアブリード)2.000円 レッドロイヤルブルー(東南アジアブリード·色揚げ)3.500円 ドイツターコイズ25.000円 ワットレイターコイズ25.000円 ワイルドディスカス10.000円以下(全種類)が相場
改良品種はSサイズ、ワイルドは成魚での値段です。
私はレッドロイヤルを飼育する事に決めてディスカスをスタートさせました。
今の様にネットもスマホも当然無いのでお店に通って店長さんや常連さん、マニアの方に話を聞いたり相談させてもらったり見せてもらったりして飼育の実際を知る事が唯一の手段でした。
何時かはターコイズ!と思い同級生やターコイズを飼育しているマニアの方と目をキラキラさせながら話をしていました(笑)

飼育していたレッドロイヤルが産卵を始め
その後数十回産卵しましたが孵化前に親が食卵するを繰り返しブリーディングの難しさを経験、この当時に色々な事を試したのが今の基礎になっています。
結局このレッドロイヤルは子供を残せず老衰でダメになりました。当時のレッドロイヤルは系統にバラツキがあり私が飼育していたのは地肌が濃いレンガ色でブルーのラインは全体に流れ顔や臀鰭にパウダーの発色がありブラックアーチのある綺麗なペアでした。
今のレッドロイヤルは当時の系統は居ないので残念ですが残っていればまた飼育したい個体の1つです。

この後、マニアの方がワットレイターコイズのブリーディングをしていてお店に余った個体を持って行くと言っていたので譲ってもらえませんか?とお願いしたところ、じゃあうちに来て見てみたらと誘って下さりました。
マニアの方は社会人でしたので伺う日を決めて頂きいつも通っていた熱帯魚屋で待ち合わせして行く事になりました。

当日、マニアの方の飼育環境を見て感動
これでいいんだ!って飼育方法。
マニアの方は、だって魚じゃん
私、ですよね
お店や雑誌の内容は嘘だ!
マニアの方、だよ(笑)
飼育器具は簡素な物ばかり
親魚のサイズも大きく無い
エサは赤虫メインでハンバーグ無し
水換え用の水槽と水作り用の活性炭フィルター(市販活性炭の手作り品)
学生の小遣いで十分出来る!
固定観念が一気に崩れたのと安堵感
出来る!と確信!
マニアの方は常連さんの中でいつも冷静な優しい方でその方だけ定期的にブリーディングしたターコイズをお店に持ち込んでいて
私は皆んなが盛り上がっているのをよそに
マニアの方と良く話していました。
多分熱意が伝わったんだと思っていますが
そんな経緯でお願いしたので自宅に呼んでくれたんだと思っています。
その場で魚や飼育環境、管理方法を教えて下さり帰りにお店に持って行く分の他に採れていた幼魚を頂ける事に!
いいんですか!ワットレイですよ?
こんな高価なディスカス学生の私にですか?
マニアの方、出来るだろ?もって行きな
私、はい頑張ります!
当日繁殖物でも1匹15.000円、マニアの方は10.000円で買い取りでお店が5.000円の利益だと後から聞きました。

ワットレイ第3系統の飼育が始まりました。
ディスカスなのにメタリックの発色をする特殊個体。
色味はグリーン色のメタリック
今でも当時の成魚の色は目に焼き付いています!
青い濃い色はブリリアント系
ドイツコバルトの優良系統もワットレイと同じくグリーン1色
私は当時からグリーン色に拘っていました。
この時のワットレイを保有している優越感は半端なかった!
同級生も水槽を眺めて無言になる(笑)
そうなるよ当時は!
同級生同士で暗黙のルールがあって
同じジャンルの魚は飼わないみたいな今思い出すと笑えますが当時は守ってて(笑)
私はディスカス担当だったので良かったのですが同級生の1人が俺もディスカスがーと(笑)
皆んなでしょうがねーなーとなり
ジャンルが被る時は皆んなの承諾が必要な面白い仲間でした(笑)
そんな仲間も次第に熱帯魚飼育を辞めてしまい高校の時は既に私1人だけになりましたが熱意は高まるばかり(笑)
ワットレイは順調に成長して小振りながら成魚まで病気知らずで育ってくれました。
ここまで出来たのは実家の両親と弟の協力があってこその結果です。
本当に有り難い。
ですが、このワットレイを頂いたマニアの方が暫く顔を見せなくなりました。
その内来るだろう、仕事が忙しいんだろうと思っていたのですが常連さんから
引っ越したよと聞かされ
えーーーーーーーーーーーーーーーーーー
師匠ーーーーーーーーーーーーーーーーー
どこに行ったのかは誰も知らないとの事で
店長さんに、連絡きたら連絡先聞いてと話しましたが結果連絡は来ませんでした(泣)
この時のワットレイはブリーディングも成功し血を繋ぐ事が出来ました

■第2のワットレイターコイズとの巡り合せ

社会人になり近所に小さな熱帯魚屋が開店しました。
当時良く足を運んでいてディスカスマニアも来る様になった頃です。
どうやらワットレイをブリーディングしているマニアが来ていると聞き
師匠!!!かっ!
師匠であって欲しい!
残念ながら師匠ではありませんでしたが
かなりのハイスペックな方で駅ビル屋上階にある老舗熱帯魚店にもワットレイを持ってきている話を聞き駅ビル店舗に行き話を聞いたところかなり前から来ていてそろそろディスカス辞めるから次持ってくるか微妙との事。
近所の熱帯魚屋の店長もこの方家にあと数ペアしか残って無くて血が濃すぎてブリーディング止まってるとの話でした。
運良く職場を教えてもらったので顔は分からないのに名前だけでお昼休み終わり頃に伺い理由を説明したところ初対面でアポ無しにも関わらず快く対応してもらい職場のロビーでディスカス話!
話を聞くと犬のブリーダーに変更するのと
ワットレイの血が濃くなり思う様にブリーディング出来ないので辞めるとの事でした。
私もワットレイのブリーディングをしていて
私のやり方を説明させて頂き辞めるまでの間で構わないので交流を持ちたいとお願いしたところ、残りのペアを譲って下さるとの話になり後日受け取る事になりました。
数ペア居たのですが声を掛けていたお店から客注が入ってしまい1ペアのみ頂く事になったのですが一番発色の良いペアを選んで頂き自宅に持ち帰りました。
このペアの発色!
弟も覚えていますが見事なグリーンメタリック!
グリーンメタリックの金属の粉を全身にマブした濃い発色をしていてアフリカンシクリッドの様なメタルカラーでした。
弟と今でも当時の話をする事がありますが
今あの色のディスカスは居ないなー
ワットレイの本物は一発で分かるよ色で
今は名前だけでしょって昔を知ってる弟なのでコメント厳しいです(笑)
このペア、本当にブリーディング難易度MAXでした(泣)。
まず産卵しない
餌食い弱い
泳ぎ弱い
なので管理水質と繁殖水質の幅が無いので
かなり微調整して探りました。
最終的に雄の放精範囲を確認。
管理水質が決まったら水質変化が出ない様に
水質固定し厳重管理。
会社休みましたよこの時(笑)
結果このワンチャンスの子供しか採れませんでしたが何とか繋げる事が出来ました!

■血を繋ぐ使命感とジャック·ワットレイの偉大さ

師匠から受け継いだワットレイターコイズと管理テクとマニアの方に託されたワットレイターコイズ
どちらも血統は同じですが血の濃さはどうにもならない(泣)
作出者で生みの親、ジャック·ワットレイ
著書から読み解くと何と無く使った親が分かるのですがその様な種親は入手困難。
この特殊発色を表現するにはどの原種の血を使えばリメイク出来るか。
当時も色々意見が有りどれも聞いていてなるほど!と考えさせる内容が多くて奥が深い。
当時も今も、グリーン発色のターコイズはワットレイだけなので
繋ぐ
この先に残す
維持する
作出者の想いを受け継ぐ
と、私の中で強い使命感が芽生え趣味を超えた系統維持の確立が始まりました。
ですが、純血の血統の維持は困難を極めました(泣)
ワットレイ同士のブリーディングは1ペア1チャンスの状況になり1回産卵したら二度と産卵しなかったり孵化しても弱く泳ぎ出さない、卵質が悪い、受精しないなどありとあらゆる障害が勃発し、結果純血を残す事が出来なくなりました。
片親を別種にすれば簡単に採れたのですがそれは純血じゃあ無くなる、特徴が失われれば
ワットレイの品種名は語れない。
当時、ワットレイやってる方と言う事で紹介された方が居てブリーディング普通に出来てるよとの話から伺ったのですが雑種でした。
色が凄く似ていたのですが違っていて顔つきが完全に違いました。
偽物が出回っていた時期でもあったので、その方には本意を伝えず帰宅させて頂きました。
ワットレイターコイズの偉大さと完成度
その特徴が秀出ているだけに純血でなければ
確立しない!
品種を確立させる
ワットレイの功績はこれからも語り継がれディスカス界に君臨するでしょう!

■プルシアンブルーへの想い

犬猫の哺乳類の血統や鯉や金魚の品種
それぞれに作出者の苦労と努力の結果が
品種として紹介されています。
真剣にこれら生き物の血統や系統を維持管理して証明書や血統証の書面で証明して愛好家さんにブランドとして確立し譲渡・販売しています。
魚で証明書があるのは少なく高額なのに証明書も無くブリーダーさんも管理レベルが低いのか?一部のブリーダーさんだけは意識が高く証明書を発行しているのが現状の観賞魚業界の状態です。
個人的に感じるのは、証明書なんかただの紙切れで意味ないでしょ
血統なんか嘘、雑種に決まってる
高く売りたいからやってるだけでしょ
こんな事を聞きます。
これは売る側の問題ですよね(怒)
観賞魚業界は売る側の管理意識が低過ぎる
これはお店や個人のネット販売も同じで目先の利益しか考えずお客さんを軽視している。
本物を飼育したいと言う想いを踏み躙ってしまっては業界全体の信用はガタ落ちです。
現状ガタ落ちですよね···
これからは個人ブリーダーで血統管理が出来る方の時代になると思います。
もちろん素人では駄目で魚であれば私の様に水産大学を出ている人、など基礎知識が無いと好きだけでは今の様な管理能力が無い方がやってしまうと本来の意義を見失ってしまい目先に走る、結果業界が伸びないの縮図です。

証明書=血統の証明
ブリーダーの譲渡数や譲渡先の管理
これらの個人情報管理
転売防止管理
真剣に本物を飼育したい方の為に最低限譲渡時にはこれらの事はしないと嘘が蔓延して品種の魅力が無くなってしまう。
有名なブリーダーさんは皆証明書を発行しています。
プルシアンブルーは証明書を発行し譲渡させて頂きます。
ワットレイ第3系統×WWFF WR30の交配
インブリード血統
師匠とハイスペックマニアの方からの受け継いだ魚、ワットレイ純血が維持出来ず数種類の青系の交配からグリーン発色が際立ったWR30との交配
グリーンメタリック発色を目指したグリーン発色系の品種!
プルシアンブルーには私のワットレイターコイズへの強い想いが詰まった作出品種になります。

故ジャック·ワットレイ
あなたの作出したターコイズ
グリーンメタリックカラー
今も尚、魅了し続けています
私の魚はどうでしょうか?
そちらの世界から見守って頂ければ
光栄です
ありがとうございます

プルシアンブルー血統証明書











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?