吃音って面白い
いや、どもってる本人はちっとも面白くないけどね。治るもんなら治したいし。
一旦自分のことは置いておいて、
客観的に吃音というこの得体の知れないイキモノを観察してみると意外と面白かったりする。
吃音オモローその①『50音の中に得意不得意がある』
これはかなりはっきりしていて、
毎回どもってしまう語もあれば不思議なほどスラッと出てくる語もある。
例えば、「あ行」はダメだけど「さ行」はスラスラ出てくる!大好き!とか。
「ち」はダメだけど「ちゅ」にすれば大丈夫!とか
ちなみに「あ行」の苦手率は吃音界のあるあるらしい。
私は「あ行」「た行」「は行」との相性が悪い。なかなか友達になれない。
しかし、苦手だったあのコが「友達」とは行かずとも「知り合い」くらいの仲に昇格する時もある。
あれ、最近「た行」の調子良くね?と。
逆に友達だと思っていたあのコに嫌われてしまう時もある。
「さ行」いつも言えるのに調子悪いな…と。
これも吃音がまるでイキモノのように思える所以かもしれない。
吃音オモローその②『吃音者は言い換えの天才!』
苦手な語にぶち当たってしまった時。
難発型の私は、会話の途中でも言葉が出なくてつかえてしまう。
や…やばい!頭の中では警報がガンガン鳴っている。絶体絶命だ…!
こんな時に便利なのが『言い換え』のスキル。
苦手な語から始まる言葉を得意な語から始まる言葉に換えてしまえば良いのだ!
まるで錬金術。
これを繰り返すことで上手くいけばほとんど吃ること無く会話を終えることができる。
実は吃音者って人知れずかなり頭を使って喋ってる。常に頭の体操してるレベル
。さらに言い換えスキルのおかげで、自身の持つ語彙も多いと思う。
言い換えの具体例を挙げたいのだけど、普段から余りに自然とやってることなのでいざ改めて考えると上手い例が出てこない。
でも挙げるとするならば、
例えば「申し訳ございません」と言おうとした時、どうしてもつかえて出てきそうにない…そんな時は、申し訳ございませんと言うのではなくスラっと出てくる「すみません」で代用する。
これが『言い換え』
吃音オモローその③『でも脆かった…!言い換えスキル』
言い換えは吃音者にとってはとても便利なテクニックである。
だが し か し !
その反面、言い換えの出来ない固有名詞や地名などの前では…!くぅ…!
・名前
・住所
・数字
などなど。
先ほど私は「あ行」「た行」「は行」が苦手と書いた。
そんなものに限って自身を取り巻く固有名詞の数々はことごとく苦手な語から始まるものばかり。
結婚するまでは
「あ」から始まる県の、「お」から始まる市町村に住み、
苗字は「う」から始まり「ほ」から始まる名前。
何だろうこのフルコース(白目
自分の名前が上手くスラスラっと言えないこの辛さw
毎度地味にキツい自己紹介。
ちなみに吃音ガールには結婚して苗字が変わるというミラクルチャンスがある。
私は結婚して苗字が「う」から「あ」になった。
同じ あ行でも旧姓の「う」よりだいぶマシなので快適生活を送っている。
とまぁ、今まではこの得体の知れないイキモノを退治しなきゃ とそればかり考えていたけど、
上手く共存の道を探る方が賢いのかもしれない。
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