見出し画像

読書記録

■白夜行/東野圭吾

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。

Amazonより

かなりの長編でしたが、飽きることもなく読み進められました。
ただ一言。
これは、名作です。
まず、前情報一切ない状態で読んでいただきたいという気持ちが強いです。
決して明るい話ではありません。
むしろ、読んでいて辛くなります、悲しくなります、まさにタイトル通り「白夜」を歩いている気持ちです。
それでも絶対に読んでほしいと声を大にして言いたい作品です。
読み手の想像を掻き立てるような書き方だと思いました。
というのも、この作品の中で、亮司と雪穂の会話や内面の気持ちといったものが書かれていないため、読者が想像するしかないのです。
二人の人物像は周囲の話から少しずつ少しずつ引きだされていくような…そんな感じでした。
このような読書体験は中々できないと思います。
また記憶が薄れてきた頃に再読したい作品でした。


以下私なりにあらすじをまとめましたので、ネタバレ嫌な方は読むのをお控えください。
自分なりの解釈の上でまとめているので、違った部分があるかもしれませんが、その場合は申し訳ありません。


あらすじ(※ネタバレ含む※)
幼い頃、少年(亮司)の父親は少年の初恋の少女(雪穂)にみだらな行為をした。
それを目撃した少年は自分の父親を殺害。
少女は少年を守るために自分の母親を自殺に見せかけて殺害。
二人は逮捕されることなく、犯人を見つけられないまま事件は決着。
以後、二人は他人として生きてきた。
二人の接触は物語を通じて殆ど見られない。
だが、雪穂と関わった人間は必ず不幸な目に合っていた。
彼女の背後には常に亮司の影があり、二人は裏で繋がりをもっていた。

■容疑者Xの献身/東野圭吾

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

Amazonより

2008年に映画化もされた作品です。
こちら原作は読んだことがなく、映画のみ見ていた状態でしたが、やっぱり原作で読んでみたいと購入しました。
映画も素晴らしかったですが、やはり原作のほうが細かい部分まで書かれている印象です。
まさに「天才vs天才」。
殺人事件が起きているので、勝負みたいに話しては駄目なんだろうけど、湯川と石神のお互いの推理合戦とにかくすごいです。
お互いが相手の手の内を知り尽くしている状態なので、何をやっても捕まらないんじゃないか?とすら思ってしまいました。
この作品は最初の段階で犯人が分かるので、犯人目線でストーリーを読めるから、犯人側の心理状況も見えて私は好きでした。
しかし…石神の愛情表現の仕方には流石に驚きました。
あんな切ない形でしか愛せなかった…それを思うととても切なくなりました。

■スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー/友井羊

早朝にひっそりと営業している「スープ屋しずく」には、お客が抱えるさまざまな悩みや謎が舞い込んでくる。
急に真っ黒に変色したジャガ芋の謎。入籍間近だったカップル客の結婚が延期になった謎と鉄鍋の関係。
常連客の老人が亡くなり、彼の娘が生前の穏やかな暮らしぶりを聞きにやって来るも悲しむ、父子が抱える過去。
そして麻野の亡くなった妻・静句の話を聞いて、とある気持ちが芽生えた理恵がとった行動とは……。
いろいろあるけど、温かいスープが心と体に元気をくれる。

Amazonより

ようやくシリーズ3弾まできました。
このシリーズホント好き。
癒やされ度100%超えてます。
ページ数も300ページいかないからサラッと読めるのもいいですよね。
スープ屋「しずく」の朝食食べてたらすごい体に良さそう。
この作品はタイトル通り毎回「スープ」が登場するんですが、そのスープがもう美味しそう、と文面から分かるほど(笑)
しかも、ただスープが出てきてハイ終わり、ではなくちゃんとスープに使われている材料や栄養価などの説明も細かくしてくれるんです。
「日常系のミステリー」なので些細な事件は毎回起きますが、何しろ「人が死なない」これです。
日常に疲れた人にぜひ読んでほしいシリーズです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?