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貴醸酒 陸奥八仙

自分、「酒好きです!」って言うのやめようと思いました。そんな出会いでした。


ことの発端はTwitterの相互さんと「プレゼント交換会しよう!」となったこと。3人でお菓子やジュースなどを箱に詰めて送り合う。そのうちのひとりはお酒好きで、僕もよく飲むので互いにお酒を送り合うのが暗黙のうちに決まっていた。
僕は自分も好きでよく飲む「国稀」を送りました。もともとは友人から勧められてまんまと僕もハマったというもの。
そして相手から送られてきたのが貴醸酒の「陸奥八仙」でした。

僕は今回で初めて飲んだが、貴醸酒というのは水のかわりに日本酒を使って醸した酒のこと。僕が「甘口の酒で」とリクエストしたこともあり、「普通より甘く感じる」と送ってくださった。年末に届いたので、正月は絶対にこれを飲むのだと決めていた。

元旦の午前11時にワクワクで開けた。待ちきれなかったのである。「ちょっとずつ大切に飲もう」なんて小さめのグラスに注いだ。

一口飲んだ瞬間から今まで飲んだどの酒とも違った。ピリッとした刺激があったのだ。第一印象は「え? これ酒?」である。辛味とも酸味とも言えない刺激感は独特で、しかし嫌な感じはせずむしろ癖になって何度も口に運びたくなる感覚だった。
その刺激は口に入れた瞬間だけで、あとは優しく深い甘さが広がる。甘みは確かに強いが重くはなく、軽やかでふんわりとした感触。洗って干したばかりのフワッフワな毛布のよう。
まずこんなに飲むのが止まらなくなる日本酒は初めてだった。小さいグラスじゃもどかしくなるくらいのペースで飲んでいた。実際途中で一回り大きいグラスに変えた。
のに、大して酔わないのだ。酔ってはいる。しかしそれも今まで経験してきた酔いと質が違う感覚だった。飲んでも飲んでも目が回るような酔いがいつまで経っても来ない。ぬるめの湯船にいつまでも浸かっているような、やわらかな心地よさしかない。
これ、うっかり1本(720ml)空けかねないな、と思って怖くなり、半分で止めた。もらったものをこれ以上消費するのがもったいないというのもあった。

正直、今でも「あれは酒じゃなかったんじゃないか?」と思う。僕の送った酒をお相手が「飲みやすいやばい水」と評してくださったがこっちに送ってくれたこのお酒がやばい水だと思う。いや水だってこんなに飲みやすくないと思う。

次の日には残りを飲み切ってしまった。こんなペースで飲んでしまうなんてもったいなくてたまらなかったが、止められなかった。

こんな日本酒を知らなかったなんて、「酒好き」の風上にも置けなくない? くらいの気持ちになった。それくらいの衝撃。
これを機に、美味しいものは臆せず食べようとも思った。食べて飲んで知っていれば、贈り物の選択肢になるから。ということでもっと酒を飲む口実ができた。


送ってくれた方、もし心に触れられたなら、ふわふわの毛布みたいにあたたかくてやわらかくて癒やされるだろうな、というような人だったので、送ってくれたお酒がそれを表現したかのような甘さで感激しました。ちょっと人生変わったかもしれない。このお酒を選んで送ってくれてありがとうございました。

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