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劇団しようよ の あゆみ 14 『あゆみ』

かつて京都には、2017年まで、それはそれは美しいブラックボックスの劇場がありました。

その名も「アトリエ劇研」。

そうです。その通りです。旗揚げ公演でもお世話になり、劇団しようよのことをチェーンソー劇団と呼んでくださった、あのアトリエ劇研です。 

アトリエ劇研のディレクターが、田辺剛さんからあごうさとしさんに代替わりをしたのです。そこで募集されたのが「創造サポートカンパニー」というものでした。それはアトリエ劇研で年に一度上演をすることを条件にしたもので、そこに、僕たち劇団しようよも応募をしたのでした。

ありがたく、採択され劇団しようよも、アトリエ劇研創造サポートカンパニーとしての活動をすることになります。 創造サポートカンパニーは3年間の契約で活動するという条件です。 そこで劇団しようよは、どうしようかと悩みます。せっかくアトリエ劇研という場所をお借りできるのだから。ましてや、あんなに綺麗なブラックボックスを利用できるのだということ。それを考えた時、大原が普段行っている劇作と演出の両方を兼ねていたという方法を、この機会に考え直し、劇作を手放してみて、演出に専念しても良いのではないか。そう考えたのです。

そこでまず第一年度目に上演する作品に『あゆみ』を選びました。ままごと柴幸男さんの代表作の一つです。 

『あゆみ』は、複数の女性出演者によって一人の女性の生い立ちを描いていく、という戯曲です。

劇団しようよは、その戯曲に、男性出演者のみで上演しみる、という演出プランで臨むことにしました。女性の一代記を?男性出演者のみで?という感じですね。 

最終的にどういう上演形態になったかというと、女性の一代記をなぞりながら、そこにあるはずだった父親の目線を描き出すことでした。そして、今後もあゆみ続けるはずだった亡き者の影を一緒に追体験する、というものでした。 『こんな気持ちになるなんて』でも使用したフリップも扱い、何気ない日常の女性の姿、そこにアンネ・フランクの姿、そしてとある事件によって亡くなってしまった少女の姿。いろんな姿を重ね合わせた作品になりました。

そうそう、当時のアトリエ劇研のディレクターであるあごうさんにもゲストで出演いただきました。いい思い出ですね。

上演自体も、たくさんのお客さんに観ていただけて、大変満足のいくものになりました。よかった。よかった。何よりです。

ともあれ、これから三年の間劇団しようよはアトリエ劇研にて活動をすることになります。 

また明日書きますね。

お楽しみにしていてください。 

劇団しようよ 大原渉平

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