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劇団しようよ の あゆみ 20 『CEREMONY』

アトリエ劇研での2年目。今日はそんなお話です。 

以前の柴幸男さん作『あゆみ』の時にもお話ししましたが、アトリエ劇研の創造サポートカンパニーというものに劇団しようよは採択をしていただき、活動しておりました。 アトリエ劇研という綺麗なブラックボックスで、劇団しようよはいつもは大原自身で劇作をしているのを一旦手放してみて、他者の作品を上演してみよう、と取り組んでいたのです。 

そこで2年目。どんな演目にしようか考えます。 

ふとアトリエ劇研のディレクターにあごうさとしさんが就任した初年度のアソシエイトアーティストショーケースのことを思い出しました。 

当時、いろんなアーティスト・団体が作品を上演していたのですが、東京デスロックさんが上演していた『CEREMONY』という作品に強く惹かれました。 

今から思い返すと、なぜ強く惹かれたのかはっきり覚えていません。ですが、演劇を上演することそのものに対する強いリスペクトを作品から感じたのを覚えています。 

そこで劇団しようよはアトリエ劇研での2年目を多田淳之介さんコンセプトの『CEREMONY』を上演することにしたのでした。 

この劇団しようよ版『CEREMONY』、短編と長編がございます。

というのもあごうさんディレクターの劇研2年目のショーケースに劇団しようよも作品を上演することになるのですが、その際につくったのが『CEREMONY』短編です。 

『CEREMONY』とはどんな作品か。これは説明するのがすごく難しいのですが、言うとすると、

とある概念について、観客と時間を共有する「儀式」を行い、その概念を改めて深く捉えて直していく。そんな作品だったのかもしれません。 

例えば東京デスロックさんの上演では、「劇場」というものにフォーカスされた作品でした。出演者たちが過去自分たちが上演したことのある作品のセリフを語っていく。そんな作品でした。 

そこで、劇団しようよ版『CEREMONY』はどういう形にしたのか。それは「テーマソング」というお題でした。 テーマソングというと、皆さんは何を思い浮かべますか?劇団しようよ版の『CEREMONY』では、アナと雪の女王のテーマソングに始まり、吉見作曲の結婚式の楽曲、日本の国歌、そしてジョン・ケージ、とそういった楽曲を扱いました。 

いまだに覚えていることがあります。 

それは、その『CEREMONY』で参加していたショーケースの、劇場スタッフさん見せの時のことです。もちろんそこにはディレクターのあごうさとしさんもいます。その前で上演予定の作品を発表するのでした。 

発表後、あごうさんに大原は呼び出されます。

そこであごうさんからダメ出しをもらいました。

そもそもアトリエ劇研という「ブラックボックス」。それは全国に類を見ない美しいブラックボックスでした。そのブラックボックスはいっさいの余計な情報がありません。まさに作品の0地点であると。だからそこから作品を立ち上げることは本当の意味で作品と向きあることになる。そう伝えられたのを覚えています。

それは、今も作品づくりをする上で胸に残っています。 

あごうさんからのダメ出しをもらい、急遽つくりなおしました。東京デスロック版の『CEREMONY』は演劇に対する深い尊敬と愛があるはずだと。そう告げられました。 

結果、劇団しようよ版『CEREMONY』も何とか形を保つことができ、上演することができました。

ライターの方にも東京デスロック版の『CEREMONY』を換骨奪胎できていると言っていただけました。嬉しかった。 

それにしても自身で劇作をしないだけで、かなり考えることや、出来上がるものって違ってくるんですね。

『CEREMONY』を通して痛感させられました。 いい上演の機会だったと思います。 

また明日書きますね。 

お楽しみにしていてください。 

劇団しようよ 大原渉平

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