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美しいカメラ。 Leica M(typ262) と EPSON R-D1s

昔から古いものが好きだった。
最新式のハイスペックでストレスフリーな便利なものよりも、長年人の手によって使われてきた、歴史を感じさせるようなものに興味があった。
悠久の時を経て現代に形を残す「道具」への憧れが、そういう趣向にさせるのだろうと思う。

カメラに興味を持ち始め、初めて手にしたミラーレス一眼とキットレンズ。本当に便利に撮影できるし、簡単な操作で扱える素晴らしい機種だったと思う。
ただ、様々な写真作例を見るうちに「大きなボケ味のある写真を撮りたい」「オールドレンズを使ってみたい」という欲に駆られ、考え倦ねて買ったカメラが「R-D1s」だった。

R-D1s / Leitz Hektor 2.8cm f6.3

思えば、このカメラを買ってから、僕の趣味としてのカメラライフが始まった気がする。
それまで使っていたミラーレス機の一式をすべて売り払い、その元手で買ったのがこのカメラだった。
本当に思い入れのあるカメラで、未だにこのカメラで撮影するときは、初めて手にしたときの感動が蘇ってくる。純粋に「写真を撮る」所作を楽しめるし、出来上がってくる写真も、20年弱前のCCDセンサー搭載機ということもありどこか懐かしいほのぼのとした画が撮れるのだ。

そして、R-D1sを使い始めて1年弱で、ライカのM(typ262)を手にすることになる。

M(typ262) / Leitz Hektor 5cm f2.5

どちらの機種も手ブレ補正はできない、オートフォーカスもできない、ズームもできない、動画も撮れない。今のカメラやスマホに比べれば、なんて制限の多いカメラなんだと思う。

でも、それを不便だとは全く感じない。
むしろそれが良くて、好きで使っている。
ただ、真面目に、実直に、「写真が撮れる」カメラだと思う。
光学ファインダーを覗き、露出をあわせ、ピントを決め、構図を考えて、シャッターを切る。
出来上がる写真は、撮ってみないとわからない。
さながら、現像しなければどんなふうに撮れたかわからないフィルムカメラのように。

R-D1s / Leitz Hektor 5cm f2.5

R-D1sは世界初のデジタルレンジファインダーカメラ、R-D1の後継機。
徹底したアナログな操作とインターフェイスが見事なカメラ。600万画素のAPS-C CCDセンサーが写す世界は、どことなくノスタルジーな儚さを孕んでいる様に感じる。

M(typ262) / Leitz Summar 5cm f2

M(typ262)はM(typ240)の派生モデルで、ライブビューと動画をオミットした写真専用機。フルサイズセンサーのレンジファインダーがほしいと思いはじめ、この機種が一番手頃だったのと、光学ファインダーしか使う気がなかったのでこれでも私的には充分なスペックだと思い購入に至った。

今はこの2台をメインに、オールドレンズを取っ替え引っ替え撮影を楽しんでいる。
ちょうどM(typ262)を購入して1年が経とうとしている。今後はここに写真への想いやカメラにまつわるあれこれを書き連ねていこうと思う。


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