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オールドレンズ、殊にライカ好きの端くれです。 古典鏡玉に纏わることや日々の雑記をマイペ…

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オールドレンズ、殊にライカ好きの端くれです。 古典鏡玉に纏わることや日々の雑記をマイペースに書いていきます。

最近の記事

気品溢れる帝王の風格『Leitz Summarex 8.5cm f1.5』

ライカレンズのスイートスポットとなる焦点距離は、やはり35mmか50mmなのだろうか。 M型ライカ特有の素通しのガラスに浮かぶ白い枠を頼りに撮影するレンジファインダーの醍醐味を、気持ちよく体感できる画角…。 ブライトフレームの見やすさを考えると、一般的には準広角〜標準域くらいの画角を使うことがベターだとは思う。 でも私的には、景色を"切り取る"という事を強く意識出来て、フレーミングし易いと感じるのは75mm〜90mmの画角なのである。35mmや50mmはどうしても広すぎて、

    • 私にとっての"貴婦人" 『Leitz Elmarit 90mm f2.8 1st』

      ライカレンズで"貴婦人"というと、『Summilux 50mm f1.4 1st』を思い浮かべる方が大半であろう。 しかし、私の中での"貴婦人"はこのレンズである。 『Elmarit 90mm f2.8 1st』 プロダクトとしての美しさ、ここに極まれりと言わんばかりの素晴らしい質感である。また、元来の作りの良さは言うまでもないが、丁寧なオーバーホールのお陰で、しっとりした重さで回るヘリコイドや、油染みなくガンメタリックに黒染めされた絞り環の操作感は、現代のライカレンズ以上

      • 燻銀な佇まい。すべてを穏やか写す、にいにしえの瞳 『Leitz Hektor 5cm f2.5』

        私が所有するライカレンズの中で、最も古いもの。 「Hektor 5cm f2.5」 シリアルを信ずるならば、1931年製造の個体。作られてから100年が経とうとしているレンズである。 当時の光学技術の粋を結集して作られた、開放値f2.5を誇るハイスピードレンズ。1930年代の技術を考えると、相当無理をした設計なのが伺える。"これ以上明るい設計には出来ない"といったような、技術の限界に挑もうとした開発陣の心意気が伝わってくる。 ライカレンズのラインナップの中でも「Elmar

        • LeicaとKodak、最後の煌めき。 『Leica M-E(typ220)』

          やっと手に入れることができたライカCCD機。 私が初めて触ったデジタルライカは「M8」だった。フィルム機と変わらないレンジファインダー、メカメカしいシャッター音、フィルムのような情緒ある描写に衝撃を受け、以降、ライカCCD機にものすごい憧れを抱いていた。 そして、フルサイズCCDセンサー搭載のM9が本命となり、「いつかはM9を買うぞ。」と思いながら写真を楽しんできた。 M(typ262)を手にしてだいぶ物欲は収まっていた(笑)ものの、年末に予期せぬ出会いがあり、コレを逃しては

        気品溢れる帝王の風格『Leitz Summarex 8.5cm f1.5』

        • 私にとっての"貴婦人" 『Leitz Elmarit 90mm f2.8 1st』

        • 燻銀な佇まい。すべてを穏やか写す、にいにしえの瞳 『Leitz Hektor 5cm f2.5』

        • LeicaとKodak、最後の煌めき。 『Leica M-E(typ220)』

          革新の年

          2023年の1月。 思いもよらぬ機会に恵まれ、転職を決意した。 事実、前職の仕事は本当に難しいものであり、感性とビジネスの折り合いをつける事が中々できず、ただ時間と業務に追われ、自分の成長を感じられずにいた毎日だった。 転職の機会を伺っていたのも確かだが、あの頃の自分はかなり直感的に動いていたと思う。 退職。それまでの仕事に見切りをつけ、新しい環境に身を置くリスク。 そんな諸々の不安を捨て去り「いわば記念受験。ダメで元々。落ちたらここで死ぬまで働いてやろう。」と捨鉢な心境だ

          革新の年

          魅惑の"針式表示"唯一無二のコンパクトフィルム機 『Nikon 35Ti』

          まだカメラに興味を持っていなかった頃。 祖父が「もう使わなくなったから」と、このフィルムカメラをくれた。 フィルムってなんだろう、露出ってなんだろう、この針はどうやってみるんだろう。なにも知らなかった私はただ棚に飾り、実際に操作してみようともしなかった。 数年たち、実家を離れ東京で暮らし始めた私はこのカメラのことなどすっかり忘れていたが、友人がフィルムカメラを使っているのを見て「そういえば実家のアレってまだ動くのかなぁ」と、久しぶりに手にしたのだった。 カメラに深い関心を

          魅惑の"針式表示"唯一無二のコンパクトフィルム機 『Nikon 35Ti』

          "引き算の美"の具現化 『Leica M(typ262)』

          [ less is more ]の精神 ライカが念頭に置く哲学。 「少ないほうが豊かである」なんだか禅問答のような提唱だが…。 カメラメーカーに限定した話ではなく、技術開発や製品開発においては「多機能、高性能のほうが売れる」という前提があり、新しいもの即ち旧世代機よりも高性能であるという思考回路のもと市場は形成されているように思う。 実際、そのほうが消費者としてもわかりやすいのである。 「あれもできる、これもできる」のほうが聞こえが良く、ないよりあったほうがいいだろうの

          "引き算の美"の具現化 『Leica M(typ262)』

          懐古主義に留まらない挑戦的な寫眞機 『EPSON R-D1s』

          このカメラで撮った写真を見返していると、まだライカM型を手にする前、このカメラ一台とオールドレンズ数本でものすごい満足していた頃を思い出す。本当に、”撮影する”ということが楽しかった。 すっかりカメラとレンズの魅力に取り憑かれた今、「あのレンズが〜」と、次から次へといろんなレンズに目移りして、肝心な写真の出来よりもオールドレンズ独特の収差やらレンズが生産された歴史ばかりに目を取られている自分に苦笑してしまう。 「R-D1s」のあらまし 既に語り尽くされた感のあるデジタ

          懐古主義に留まらない挑戦的な寫眞機 『EPSON R-D1s』

          美しいカメラ。 Leica M(typ262) と EPSON R-D1s

          昔から古いものが好きだった。 最新式のハイスペックでストレスフリーな便利なものよりも、長年人の手によって使われてきた、歴史を感じさせるようなものに興味があった。 悠久の時を経て現代に形を残す「道具」への憧れが、そういう趣向にさせるのだろうと思う。 カメラに興味を持ち始め、初めて手にしたミラーレス一眼とキットレンズ。本当に便利に撮影できるし、簡単な操作で扱える素晴らしい機種だったと思う。 ただ、様々な写真作例を見るうちに「大きなボケ味のある写真を撮りたい」「オールドレンズを使

          美しいカメラ。 Leica M(typ262) と EPSON R-D1s