NHKスペシャル「メジャーリーガー大谷翔平~2023伝説と代償そして新たな章へ」で考えたり感じたりしたこと

2023年12月24日に放送されたNHKスペシャル『メジャーリーガー大谷翔平~2023伝説と代償そして新たな章へ』を見て、大谷ファンで来年ドジャースを応援予定の私が考えたり感じたりしたことを、本記事で掲載している。

この番組を観て、色んなインスピレーションを受けたし、色んな見識を得ることができた。その興奮の冷めやらぬうちに、せっかく思案したことを記録しておこうと思い、noteで記事にすることを決めた次第である。
 
昨日、本記事の前章(プロローグ)のような位置づけで2023年のエンゼルス及び大谷選手に関する総括を記事を執筆したが、こちらの記事はどちらかというと、昨日の総括を踏まえての2024年以降の大谷選手やドジャースに関する未来志向の内容となっている。
 
なお、ひとまず2023年のnote投稿は、本記事終了する予定だ。
来年からはドジャースのPO進出およびWS制覇に向けた戦いに関して、色々不定期に記事を投稿していけたらと思う。

※以下、長文駄文、お目汚し失礼。



7億ドルの契約について:NHKスペシャルを観て再考する

番組のインタビューで大谷選手が「同じ症状になれば恐らく投手から配置転換」になるだろうということを示唆していた。
私はこの発言を聞いたとき、7億ドルの契約は『賭け』だなと、認識を改めた。
大谷選手も、球団も、二刀流がどれくらい続けられるかわからない中、「10年間の二刀流での活躍」を想定したであろうこのプロスポーツ史上最高額での契約は、双方にとっても賭けの要素が大きいように思えたからだ。
 
しかし、大谷選手にとっても、球団にとっても、目下の最大の目標は『ポストシーズン進出→ワールドシリーズ制覇』である。

極端な話、大谷選手が7億ドルの契約を結んで二刀流が1年間しかできなかったとしても、10年連続でWSを制覇すれば、どうだろうか?
7億ドルの契約は失敗だったと誰が言えるのだろうか?
二刀流はチームの勝利のためにあるのだ、”チームの勝利”よりも優先すべき事項などあるのか?
 
また、次のようにも考えられるだろう。
二刀流を10年間続けられるのを見届けるのは、球団からしてもファンからしても最高のシナリオだろう。
しかし、二刀流を断念することになったとしても、野手大谷が新しく見られるわけで、それはそれで、楽しみではないか。
野手大谷も、これまでの成績を見れば走攻守揃ったMVP級の活躍をすることは決して不可能ではないはずで、毎年MVP候補に入る活躍をすればどうだろう?
7億ドルの契約に誰が文句をつけられるだろうか。
 
大谷選手も、二刀流を続けていく上でどうしても避けられない失敗やケガは、恐らくエンゼルスでの6年間でひと通りは経験して色々学んだはずだ。
例えば、ピッチクロックの対応を改善しないと出続けていくうえで疲労がたまっていくことに気が付いた。例えば、ピッチングフォーム云々よりも球速の上昇が肘のケガの一番の要因だろうということが分かった。
このようなエンゼルス時代の二刀流の経験で見つけることができた様々な気づきや課題を糧にして、二刀流がどうなるか分からないとしながらも「次の10年間に向けて全力で尽くす」ことを約束してくれた大谷選手。
その大谷選手が、世界で唯一無二の二刀流選手が過ごす次の10年間がどのような展開になるのかなんて、世界中の誰にもわからないことだ。
7億ドルの契約が『賭け』だとか、うだうだ言ったところでどうしようもないことだ。
 
だから、目の前の大谷選手の躍動を、ただひたすら、めいいっぱいに、楽しめばいいのだと思う。
 

”デザイン革命”について:バッターには有効でもピッチャーには怪我の要因につながる可能性大

番組中に”デザイン革命”というキーワードが挙げられていた。

ピッチングもバッティングも、数値化されたデータをもとに投球やスイングをデザインするように磨いていくことが最先端になっているとのこと。

ピッチャー大谷に関してはドライブラインの施設(大谷選手は3年前から利用)が、バッター大谷に関してはメジャーの投手全員の投球を実際に再現可能なAIマシン(大谷選手は今シーズンから利用)が紹介されていた。

しかし、バッティングのデザインは良いこと尽くめのように思えても、ピッチングをデザインをすることについては、トミージョン手術の執刀医であるキース氏が番組のインタビューで警鐘を鳴らしていた。
ピッチデザインで新しい球種の開発をしたとしても、それは肘や全身にとんでもない負担を強いることになるとのこと。大谷選手が今季多用したスイーパーも、怪我を助長させる危険性がある球種の一例として挙げられていた。
 
このことを番組で聞いて、現代の野球はレベルがどんどん高くなっていると言われるが、それと合わせて、特に投手に関しては、怪我のリスクも高まっていることを知ることができた。
また、握りや投球フォームだけではなく、(上述で大谷選手が言及しているように)球速の上昇が怪我のリスクを高めてもいることも言えそうだ。
今後は、今まで以上に怪我のリスクを最小限に抑えるための、その投手の身体に寄り添った、緻密なピッチングデザインの計画を立てていく必要があるのだろうと思った。
 
ちなみに、大谷選手が今回手術を決断したのは、100マイルを超えるような投球も思い切ってできるような、そういう感覚を取り戻すために(まだ時間もあるし後々のことを考えれば)やったほうがいいかなという判断からであったという。
しかし、ファンとしては、同じ100マイルの投球でも、2025年にはこれまでより肘や体への負担が軽減した投球に”デザイン”されていることを祈るばかりだ。
二刀流として自分の最大のパフォーマンスを10年間続けることを大谷選手が目標として掲げているが、そのためには、恐らく、エンゼルス時代よりもっと緻密で丁寧な投球計画をもって試合に臨まないと、右ひじの故障が再発しそうな気がしてならないのは私だけだろうか。
 
昨日の記事で最後に”チャレンジ”について触れたが、ピッチングをどうしていくかは、大谷選手にとってもかなり難易度の高い”チャレンジ”になるだろうと私は考えている。
いろいろ言っても、やはり、10年間二刀流を続けられるのであればそれに越したことはないはずだ。
 
打者大谷も、投手大谷も、健康面だけでも万事うまくいくことを、いちファンとしてただひたすら願っている。
 
 

ドジャース入団と休養日

ドジャースという選手の育成に長けた、そして選手層の厚いチームに在籍することが、大谷選手に休養という選択肢を与えてくれるといいが。
 
エンゼルス時代は、特に2023年シーズンに関しては、ダブルヘッダー1試合目に完封しても2試合目に出場したり、最終登板日も靭帯損傷が解ってもダブルヘッダーの2試合目に打者として出場していたりと、ただただ勝つ確率を上げるために出場し続けるという強固な意志を持った大谷選手に、監督ですらも「休みなさい」と命じることが中々できなかった。
ただ、それは、エンゼルスが、PO進出ぎりぎりのラインにいて、落とせる試合がひとつもないというエンゼルスのチーム成績が大きく関係していると思う。
大谷選手を含むナインが一丸となって”十分な貯金生活”を送れるような状況を作り出せる確率は、ドジャースの方がエンゼルスより高いだろう。ドジャースは直近11年連続でポストシーズン進出を果たしている超強豪だ。

そんな11年連続PO進出を果たしているドジャースの強さの背景には、優秀な選手が多く在籍しているだけではなく、そんな優秀な選手を多く排出するためのファームシステムの存在や、優秀な選手が優秀であり続けるための球団のサポート体制が充実していることが挙げられよう。
それはつまり、大谷選手が高いパフォーマンスを維持するために必要なことを球団側で最大限サポートしてくれて、その結果、大谷選手の休養日が設けられたとしても、チームの選手層の厚さでそれはカバーできるということだ。
 
ドジャースでは、何とかうまい具合に休養プランが遂行されることを祈っている。
 
 

終わりに

12月は7億ドルの契約とか、現地やファンの歓迎ムードで私もいちファンとして若干浮かれていた部分があった。
しかし、番組を観て、大谷翔平選手はここから10年間、”投手大谷”を続けるための戦いに臨むのだなと、大谷ファンとして身が引き締まる思いになった。
 
大谷選手サイドと、球団サイドと、ドクターとが三位一体となって二刀流で最大のパフォーマンスを10年間続けるためのプランを立てて、大谷選手がそれを遂行しながら全力で試合を戦い続けたその先に、どんな結末が待っているのか。
ファンとしてはただ見守ることと応援することしかできないが、番組を見た後は、こちらも気を引き締めて応援しないといかんなと思った。
 
さぁ、まずは目の前の2024年シーズン。

DH大谷がバット一本でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。
番組ではドジャースの一員になることについて聞かれて
「まだ、チームの本当の一員になれたわけではないと思う。実際にドジャースタジアムでプレーして、活躍して初めてチームの一員になれると思うので、まずは今年1年をそういう1年にしたい」
とコメントしていた。

う~、どんな1年になるのか、今から楽しみだ。
開幕が待ち遠しい。

【追記】

今回のNスぺで行われた大谷選手のインタビューが、全文、文字起こしされているWEB記事が出ていたので、ここにURLを貼り付けておく。番組ではカットされている大谷選手の回答・コメントもしっかり記録されていて、貴重な記事となっている。

大谷翔平が語る2023 伝説と代償 そして新たな章へ | NHK | WEB特集


以上


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