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2-10-3 アルベルゴ・ディフューゾ

アルベルゴはイタリア語でホテル、デイフューゾは分散。分散したホテルという意味になる。1980年代にイタリアで始まったとされる過疎になった街の空き家を改装してホテルにする活動のことを指す。一軒だけではない。フロントと宿舎、ロビー、レストラン、喫茶、画廊などが複数に分散していることが多い。町案内や美術の案内をしてくる人がいることも多い。
今では認定委員会があり、イタリア中に広がっている。ローマに近いラツィオ州のソット・ステッレでは、村の中心広場からは、美しい渓谷をのぞめガイド付きのノルディック・ウォーキングを楽しむことができる。味覚体験、宗教や文化にまつわる見学もできる。トスカーナ州のポッジョ・アッラ・ロッカでは世界遺産オルチャ渓谷とワイン産地として名高いモンタルチーノを見晴らす360度パノラマの高台に5軒のアパートメントが貸し出されている。現在のオーナーはワイン通で地元のおいしいワインを提供してくるという。
日本にも近しい試みがある。東京高円寺にある小杉湯は平日でも300人を超す入浴者が集う。小杉湯には、地元の主婦、老人、子供たちが集う。近所の主婦がかわるがわる子供たちの面倒を見、老人が躾を担当する。保育園や学童を補完する役割を果たしている。
高齢化と独居化が進む中、入浴することさえ困難な人が増えている。一人のために浴槽にお湯を張るのがためらわれるのだ。食事も同じだ。一人分の食事を作るのはなかなか大変なことだ。銭湯や食堂が家庭の機能を補完する活動だ。大きく見れば、町全体が家庭になっているようなものだ。
地元の老人や独居者に外国人が混じっていても変わらない。ホテルや旅館でなくてもたいざいするために必要な機能は果たせるのだ。

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