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出来すぎる後輩の話し

みなさんには後輩はいますか?
私にはあまりに出来すぎる後輩がいます。
今日はそんなパーフェクト後輩、ケンタの話し。


ある日お客さんとの付き合いでキャバクラへ行った帰り道、3時半という、帰るには微妙な時間だった事もあり、久しぶりに知り合いの店で軽く飲んで、始発で帰ることにした。


店についてほどなくして、さっき着いてくれた女の子から「今上がったよー!合流していい?」と、営業LINEが入って来た。


1円も払わない、明らかに盛り上げ要因で呼ばれた雑魚にもしっかり営業する子は伸びる。
俺は今後売れっ子になって、店に来てくれる可能性も考え、合流することにした。
ここでしっかり楽しませれば、アフターでウチにも来てくれるに違いない。腕の見せ所である。


女の子を待つ間、何気なくインスタを開くと、後輩のケンタが
「1人飲みっ💓」みたいな、ちょっとキモめのストーリーを更新していた。どうやら近所で飲んでいるらしい。


ケンタは大阪の埋立地のヤンキーで、歳は4〜5個くらい下の後輩だ。
未だに電飾のついた、シートがエナメルダイヤモンドパターンの、真っ白最悪ビックスクーターに乗っているし、この間会った時は、バイクのスピーカーから、爆音で「citrus」を流しながら現れたので、本当に死んでほしいと思う時もあるが、コイツがめちゃめちゃ出来る、良いやつだ。


今でも誕生日は0時にメッセージを送ってくるし、あけおめLINEなんかキャバ嬢よりも早い。
飯に行った日は、ご馳走様の丁寧な連絡も、律儀に送ってきて、口癖のように「僕車出しますよ!」と言ってくる。


車ももちろんモニターと電飾だらけで、後ろにDADのステッカーが貼ってあるので、あんまり乗りたく無いが、とにかく気が回るヤツなのだ。
「あれ?生まれつき後輩やっけ?」と思うくらい、めちゃめちゃ"後輩"、それがケンタだ。


今日来る女の子も、ちょうどケンタと同じくらいの世代。
水商売も長く、イケメンのケンタを呼んでおけば、とりあえずどうにかなるだろう。
早速LINEを入れると、5分くらいで来た。後輩すぎる。


その後すぐに女の子も合流し、飲みながらカラオケで盛り上がること1時間ほど。


合流する前から飲んでいたケンタも、流石にベロベロだが、そこは水商売経験者、酔っても後輩としての振る舞いを崩さない。
呂律が回らない中でも、全力で盛り上げてくれる。
そんなケンタが、何やら黙って考え事をしているようだ。


深夜のバー

先輩

キャバ嬢

俺が呼ばれた

朝4時

梅田。


水商売のプロとして、そして、1人のデキる後輩として、恐らくいろんな事を考えたのだろう。


一つの答えを導き出したケンタは、バッ!と立ち上がり、女の子を指差し、叫んだ。

「おいお前、ニラくんとチューせぇ!」


ケンタは後輩すぎるあまり、から回る事もある。


終わり

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