絶対に帰る(2)

この星へ降り立って、まず俺はしょんべんをした。
尾籠な話でごめんなさいね。
けど、何もおかしいことは無い。
数時間の乗り物の後、トイレにまず行きたくなることはよくあるだろう?
それはよく覚えてる。


その後、「移民おめでとう」とかなんとか、セレモニーみたいのがあって、それから自分のアパートへ案内された。
もう夜だった。
アパートはまぁ、そこそこなとこだった。
地球で住んでた団地アパート、それとそんな大差無い。
新築だったので、きれいではあったが、ちょっとヒリヒリしたな。
俺は敏感肌なのか?
地球じゃそんなこと無かったのに。


とりあえず、備え付けのベッドで俺は寝た。
一人で、けど、同じアパートに何百人(何千人かも)もいるわけだから、なんか安心してた。


あ、そうそう、寝る前に、一応、と思ってお隣さんに挨拶をした。
初めまして、私は…、よろしくお願いします、とかなんとか、簡単に。
両隣、片方は俺と同年代風のめがねのさえない男、片方は俺よりちょっと上っぽい、性格きつそうな女。
ブスではないのでまだましか。
そりゃそうだろう?
いつかやっちゃうかもしれないしな、きれいかわいい方がいい。


さて、挨拶も済んだし、部屋に入って、とりあえず…。


ベッドに横になった。
今日のことを思い出してるうちに、そのまま眠り込んでしまった。
空間オーヴァードライヴは数時間でも、今朝起きたの早かったし。
途中椅子の上でうとうとはしたが、もう丸一日以上起きていた。
この星で、知り合いなんか、誰もいないんだな。
いや…、それは分からんな。
この星に来ることを、俺は今回数人のごく仲のいい知り合いに話しただけだし、俺の顔見知りにだってそんな奴はいるかも知れん。
だって第一団で数十万人だぜ。
今はまだ全部が到着したわけではないけど。
今後どれだけがこの移民星に送られるのか知らんが、増えすぎた地球の人口を減らすためだ、どんどん来るのは確実だろう。

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