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「お先に失礼します」

 いまとても落ち込みながらハンバートハンバートを聴いている。自分の仕事のできなさにつくづく嫌気がさした。自分が今何をしているのか良くわからない。
 メール文ひとつまともに作れないし添付文書を間違えるし、そもそもデータを探せない。しまいには数すら満足に数えられない感じになっていた。班員全員が残業していて、私一人が夜20時40分過ぎに逃げ出した。

 大学時代、私には向いていない仕事があるな、と強く思っていたことを、ぼんやりと思い出す。
 ひとつは人と競う系の仕事。
 もうひとつは、データの間違いを探したり、間違いのない正確な資料を作る仕事。
 今の私の仕事には後者が求められていて、私は仕事のやりがいをただただ早く帰ることにしか求められなさそうで、とても苦しい。

 南の島での2年間の現場仕事を輝かしく思い出す。一生懸命でさえあれば、粗だらけでも受け止めてもらえた。失敗ばかりで駄目な方がむしろ良いことも沢山あった。
 頑張ると余計辛くなるから頑張らなくて良いと言ってみたり、誰にも見張られずに世間話したり、好き勝手に自分のことを話したり。
 2年目の仕事は思えば楽しかった。とても幸福だったのかもしれない。

 ハンバートハンバートのアルバム「丈夫な私たち」の「恋の顛末」を聴いて泣いてしまった。