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年末にコロナにかかった話

0日目

喉が痛い、そう思ったのは何時くらいのことであっただろうか。人間長年生きていれば、たいていの現象に対して慣れてくるもので、風邪についてもそれは例外ではない。風邪のひき始めというのは症状が似通っており、私の場合、のどの痛みから風邪が始まることが多かった。もっというと、喉が痛いと感じる前に、痛いとまでは言えない微妙な喉の違和感が発生することが多く、この小さなサインを感じ取ることで風邪が本格化する前に対処するという政策を、ここ5年ほど取っていた。そういった意味ではなんの違和感もなく突如始まった咽頭痛に、もっと違和感を覚えてもよかった。そう、違和感がないことに違和感を覚えておくべきだった。しかしながらこの時点ではそんなこと、毛頭思いもせず、今日は早めに寝るかー、くらいのテンションで、いつもより多めの枚数の毛布を被り床についた。そういえば、この日はクリスマスであった。

1日目

午前7時、37.2℃ 関節痛
起床とともに私が感じたのは昨日の喉の痛み、ではなく全身の関節痛であった。身体はそこまでしんどくないし、喉の痛みもひどくなっていない。一応熱を測ってみたところ37.2℃であった。

「これは風邪だなあ」

もちろん頭の片隅には絶賛大流行中の例の病がないわけではなかったが、少なくとも2回はワクチンを打っているし、この時点ではまだ風邪の可能性が強いと考えていた。関節痛にしたって、私の身体の中のキラーT細胞が奮闘している代償だと考えれば可愛いものだ。とりあえず水分を取り、無職の特技である二度寝をぶちかますことにした。

午前9時、37.9℃ 関節痛 頭痛
2時間経過し、若干熱が上がってきた。さらに熱が上がってきた。しかも今度は頭痛まである。この頭痛が、私の免疫機能が活躍した副産物として生成されたプロスタグランジンによるものなのか、はたまた38℃近い熱により頭が悲鳴を上げているのかは分からないが、まあ、頭を冷やすに越したことはないだろう。とりあえず金属ボウルに水を入れ、濡れタオルを頭に乗せつつ様子を見ることにした。

午前10時 38.4℃ 関節痛 頭痛 吐き気
だめだ、熱の上がる速度が早すぎる。完全に身体が追い付いていない。これはただの風邪ではないな。となるともう、可能性はほぼ1つしかない。いや、まだインフルという可能性が2%くらいはあるか。いずれにせよ、吐き気がひどすぎて水分を経口摂取できない。これはさすがに病院に行かなければならないだろう。幸い、かかりつけのクリニックに発熱外来がある、一度電話してみよう。

「もしもし、発熱があって受診したいのですが…」
「かしこまりました。今からですと、2時間半待ちですね」

なんてこった。忘年会シーズン真っ只中の居酒屋みたいな返答が返ってきてしまった。いやまあ、まさに忘年会シーズンではあるので、6時間後に適当な居酒屋に掛けても同じ返答を得られるであろう。

「ちなみに、営業日って…」
「年内は本日までですね」

これではもう本日行く以外の選択肢がない。本日伺う旨の返事をし、うさぎより多い頻度で休憩をはさみつつ、かめよりも遅いスピードで出かける準備を始めた。

午後1時 39℃ 意識朦朧
ようやく自分の診療順になったときには既に熱が39℃を超えていた。39℃、普通に生活していてはめったにお目にかかれない体温である。会話はぎりぎり、思考はまとまらず、足取りはおぼつかない。診察は、半世紀前の映画に出てくる宇宙服のようなものを着た医師に、PCR検査として唾液を提出するだけの簡単なものであった。その後、宇宙戦士は前後不覚な私に、冷えピタと経口補水液、各種薬を与えてくれ、明日朝にPCR検査の結果の連絡があると告げ、去っていった。さんきゅー、宇宙戦士。

午後2時 39℃ 意識朦朧
この状態では山に戻ることができないため、数日実家にお世話になることにし、少し早めの年末帰省となった。到着後は、頓服を服用し、そのまま睡眠なのか気絶なのか分からない状態に入った。

服用:アセトアミノフェン200mg×2

午後5時 38.4℃ 寒気 
起床して熱を測ると、ピークよりは若干下がっていた。身体はまったく楽ではなかったが。また、寒気があり、手足が冷たく、心拍数も多いためこれから再び熱が上がるのであろう。先ほどは処方された薬のうち、1種類しか飲まなかったため、他のものも飲むことにした。本来は何か少しでも口にした方が良いのだろうが、1ミリも食欲がないため止めておいた。消化・吸収にはそれなりに体力も使うため、ここで食事は摂らない方が身体にはよいだろう。そして私はこのまま翌朝まで眠り続けることとなった。

服用:メジコン15mg×1 アンブロキゾール15mg×1
   ピーエイ配合錠×2※¹

※¹主成分 サリチルアミド, アセトアミノフェン, 無水カフェイン, プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 

2日目

午前9時 39℃ 咽頭痛 倦怠感
変な夢を見た。といっても、たいていの夢は変であるが。むしろ変でない夢の方が珍しい。とにかく、この日みた夢の中では、私はまだ銀行員をやっていた。記憶にあるそのままの職場が再現されており、そのエレベーターに乗るとなんと同じ建物内に私の家がありそのまま帰宅できるようになっていた。帰宅すると親友の東(ひがし)が出迎えてくれ、盛大にホームパーティーを開催している最中に目が覚めた。なお、私に東なんて知り合いはいない。電話が鳴っている。

「はい、もしもし」
「クリニックの者ですが、PCR検査の結果をお知らせします」
「はい」
「陽性でした。大阪府の陽性者登録をお願いします。」

やはりそうであったか。まあ、ここまできてコロナではなかったらその場合の方が怖かったので安心ではあった。熱は変わらずに高いままであるが、身体が慣れてきたのか頭痛や吐き気がなかったため、本日は胃腸に負荷がかからなさそうなものを食べることにした。とりあえずウィダー inゼリーを飲んで、薬を服用し、再び眠りについた。なお、ウィダー in ゼリーはすでに名称が変わっており、現在の名前は in ゼリーらしい。

服用:メジコン15mg×1 アンブロキゾール15mg×1
   ピーエイ配合錠×2

午後3時 39.2℃ 倦怠感
何度か途中目覚めたこともあったが、熱が高く、基本的にはずっと寝っぱなしだった。目が覚めている間は非常にしんどかったため改めて測ったところ39.2℃と相当な高熱であった。そのため頓服を加えて服用し、再び寝ることにした。

服用:メジコン15mg×1 アンブロキゾール15mg×1
   アセトアミノフェン200mg×2

午後8時 38.3℃ 倦怠感
ここにきてようやく身体が楽になってきた。頓服の影響もあるのだろうが、きっと熱のピークを越えたのだろう、多量の汗をかいている。久々に固形物を食べられる体調となったため、おにぎりを食べることができた。取り立てて美味しいわけではないが、味覚を失っていないことが確認できてよかった。このまま体調が回復に向かうことを祈りつつ、ほとんど寝てばかりの日々であるが、再び寝ることにした。

服用:メジコン15mg×1 アンブロキゾール15mg×1
   ピーエイ配合錠×2

3日目

午前9時 37.2℃ 倦怠感 咽頭痛
ここまでくればもう大丈夫だろう。熱はかなり下がり、微熱の範囲内となった。しかしながら、昨日まではなかった計り知れない喉の痛みが現れた。なんだこれは。そういう時間差攻撃みたいなものがあるのか。さらに、この日から大量の痰が出てくるようになった。これは回復の兆しだろう。ようやく、日中はずっと寝っぱなしという状況からも解放されたためこの日は、映画やアニメを見るなどしつつ、溜まっていた連絡を返すなどして過ごした。

服用:メジコン15mg×1 アンブロキゾール15mg×1
   ピーエイ配合錠×2 SPトローチ25g×2

午後5時 36.8℃ 倦怠感 咽頭痛
ようやく平熱にまで戻ってきた。それに伴い、明日には山へ戻ることが閣議決定した。残りの療養期間は山にて過ごすことになりそうだ。ここ3日間着替えもせず、風呂にも入っていなかったため、ようやく山へ帰ることができるという事実は私を安堵させた。

こうして4日目以降は山に帰ってきており、特に変哲もなく過ごしているが、今回記録もかねてその経過をnoteに記す運びとなった。まさか年内最後に出す記事が新型コロナウイルスの実録体当たりドキュメンタリーになるとは。来年はサンタさんももっと別のプレゼントを用意しておいてほしいものである。流行っているものなら何でもいいわけではないのだ。


※追記1 2022/12/30
両手の先がしびれるんですけどこれって後遺症ってやつでしょうか?
しばらく様子を見てみようと思います。

※追記2 2023/1/10
両手のしびれについては徐々にマシになってきており、現在は左手の小指側が若干しびれるくらいです。なお、全身にほとばしる倦怠感は健在で、いまだに一日14時間は寝ています。完全にもとの調子に戻るにはまだまだ時間が掛かりそうです。ちなみにコロナに掛かる前と比べて体重は2キロ減りました。

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