早稲田精神探求道

押忍押忍、石川県は県立金沢桜丘高等学校出身、現在教育学部理学科2年、並びに企画集団便利舎の小林愼である。

弊舎から本庄~早稲田100キロハイク実行委員会(以下:実委)に出向中の下釜亮兄より「100ハイの申し子である貴殿に100ハイ体験記の寄稿をお願いしたい」と命を受け、筆を執った次第である。執筆にあたり100ハイ体験記のバックナンバーから偉大なる大兄方の玉稿に触れ、私の早稲田精神は溢れんばかりに昂揚してしまった。諸君も私の体験記を読み、早稲田精神を昂揚させるべし。


自己紹介

はじめに自己紹介をさせていただく。現在私は企画集団便利舎(以下:便利舎)に所属している。便利舎では色々な企画を立ちあげてきたが、便利舎を知らない諸君のために私の活動を一つ取り上げるとすれば「早稲田王決定戦」の企画責任者を務めたりしている。

「早稲田王決定戦?」となっている早稲田精神足らずの貴様、今すぐYouTube(www.youtube.com/@king_of_waseda)で我々の血と汗と涙の結晶を見なさい。毎年早稲田祭で5000人以上の熱狂を生み出しているモンスターコンテンツだ。言っていいのかわからないが今年も開催予定である。私にとって最後の早稲田王、集大成だ。大いに期待してくれ。

そして一年時は男祭り2022(以下:男祭り)にもクルーとして在籍していた。男祭りでは唯一の一年ということもあり、大兄方から様々なご指導をいただいた。その全てが血肉となり今の私を形成している。何を隠そうこの100ハイもその一部であり、そこでの体験は後述することにしよう。

左から八重樫一生大兄(代表) / 一年時の私 / 川口達也大兄(副代表)

上記以外に記載しておくこととすれば、「タバコはマルボロ(赤)、ビールはサッポロ」派であること。基本毎日ぷらんたん(※1)にいること。留年が決定していること。100ハイが大好きなこと。早稲田が大好きなことくらいだ。

※1 早稲田キャンパス南門のすぐ近くに位置する最高に押忍な喫茶店。マスターとママのご夫婦で切り盛りされている。(https://purantan-waseda.com/)

100ハイの申し子

私は59回と60回、過去2回100ハイに参加した。特に思い出深いのは初めて参加した59回だ。

59回目の100ハイはCOVID-19の影響を受け50キロを1日で闊歩する縮小規模での開催を余儀なくされていたのだが、私は2日間で100キロ歩いた。勝手に「100ハイ0日目」を開催したのだ。川口大兄から「お前は100キロ歩くっしょ」と誘われ、断る手段も理由もなかった。

私が自他共に認める100ハイの申し子たる所以は、この「0日目」によるところが大きい。2020年、2021年は100ハイが開催されていないため、現役早大生の内、100ハイで最も歩いた男が私である。体験記の依頼が来るのも当然だ。

しかし一緒に歩いてくれた当時の四年生5名がいなければ、私は100ハイの申し子になれていなかっただろう。キツい、苦しいと思っていた時間より笑っている時間の方が印象に残っている。それだけ仲間が楽しませてくれたから完歩できたのだ。

勝手に本庄早稲田駅に集合した中夜祭・男祭りの四年生と私(右端)
本来は翌日に所沢キャンパス集合

思い返すと本当に愉快な仲間と愉快な二日間を過ごしたものだ。

ある人はガン極まって(※2)対向車のナンバー四桁を当てる奇天烈な遊戯を発案した。彼は「2045」と予想し「2267」の車が見えたとき「惜しい!」と言った。せっかく個室ビデオに宿泊したのに、疲れ果てて誰もシコれなかった。翌朝の体は一番楽な体勢を記憶してそこから動いてくれなかった。くそウケた。それでも1日目からの参加者を何人も抜き去り「わからせ」をした。ある人は縛りプレイで巨大な石を持って歩き、上藤さんはホモランドセル(※3)を担いで歩いた。最終6区でガン極まった私をみんなが笑ってくれた。閉会式後に食べた武道家が死ぬほど美味かった。世界湯が日本一の名湯に思えた。

そしてなにより、大隈講堂がいつもより綺麗に見えた。

100ハイ経験者の口から「五本指ソックスと痛み止めは必需品だ」とよく聞くが、そんなものより「愉快な仲間」の方がよっぽど大事である。足にマメができようが血が滲もうが、諸君の早稲田精神が足を前に進めてくれる。しかし一緒に歩く人間がクソつまんない場合、諸君の100ハイは詰んだも同然だ。

私は今年の100ハイに、昨年同様便利舎の愉快な仲間と参加する。楽しみで仕方ない。当日までワクワクして寝れないだろう。数えたところ72徹が確定していた。諸君にもいい仲間を見つけて最後まで楽しんでいただきたい。閉会式で一緒に校歌と紺碧の空を歌おう。三番まで歌詞覚えて来いよ。

※2 100ハイで散見される、精神的・肉体的に極限状態に達したさま
※3 THE NORTH FACEのアウトドアデイバック、BCヒューズボックス2(NM81817)の別名

昂揚会/実委への感謝

諸君の目には「早稲田精神昂揚会(以下:昂揚会)」というサークルはどの様に映っているだろうか。おそらく野蛮、下品、怖い、汚い、臭い、酒癖が悪い、うるさいなどなど最悪の印象を抱いているに違いない。

諸君は至って正しい。正常な感覚の持ち主だ。基本的に昂揚会員とは近づかないほうがいい。女性は特にだ。何かあってからでは遅い。歴史ある昂揚会は法曹業界に多くのOBを輩出しているため、声をあげても十中八九揉み消されるだろう。

それでも、彼らはめちゃくちゃにかっこよくて面白い、学ラン、角棒、高下駄まといバンカラを地で行く男たちである。悔しいがこればっかりは認めざるを得ない。どの昂揚会員も酒を酌み交わすと「意外といい奴だな」と勘違いしてしまうこともしばしばだ。

100ハイを60回も開催し続けているという事実、100ハイの数倍にも及ぶ距離を闊歩する地獄の夏合宿(通称:昂揚ツアー)の存在は、彼らの蛮行によって糞まみれに汚れた面子を洗い流すには十分である。

二日目の早朝、フライパンで轟音を叩き鳴らし(※4)、散々歩いてきたのに所沢体育大会(※5)で我々の四肢をもぎとり、我々を横目に車で移動する昂揚会員に腹が立つ参加者もいるだろう。しかし彼らは我々よりも苦しい経験を経て、莫大な量の仕事をこなし、泥水を啜った上で100ハイを開催しているということを決して忘れてはいけない。もし諸君がポイ捨てをしたり、車道を歩いたり、近隣住民に迷惑をかけるようなことをすれば、昂揚会の面子が潰れるどころか100ハイの存続すらも危ぶまれる。早稲田三大行事(※6)のうち一つを失っていいわけがない。優秀な早大生ならわかるはずだ。参加者は昂揚会・実委・その他スタッフへのリスペクトを忘れずマナーある歩行を心がけるべし。お兄さんとのお約束だ。

※4 100ハイ式アラーム。実際に体験したらわかる。
※5 所沢キャンパスで開催される。実際に体験したらわかる。
※6 早稲田王決定戦、早慶戦、本庄〜早稲田100キロハイクの3つの行事の総称

おわりに

「早稲田精神とは何か」我々早大生は卒業までにこの命題の解を導かねばならない。「早稲田精神」「早稲田精神」と繰り返してきたが、私の早稲田精神とはずばり「勝つべくして勝つ」である。

人生とは無数の勝負の連続で、全ての勝負には勝敗が存在し、その結果には必ず理由がある。偶然の勝ち負けなんてものは存在しないと私は考える。結果に一喜一憂し、分析を怠る人間に成長はない。勝つための準備に最善を尽くし、勝ったとしても当然と思い、次の勝負に備える。これが実践できる人間が最強なのだ。私が最強の境地に達するまでもう少しかかりそうだ。

飛躍しすぎていると感じるかもしれないが、これは100ハイと密接に結びつく話だ。100ハイだって己との勝負の場であり、己の早稲田精神を探求するにはもってこいの機会である。

少々熱くなりすぎた。諸君に楽しんで欲しいという気持ちに嘘はないのだが、100ハイのことを考えるとついつい昂ぶってしまう。申し訳ない。

最後に昂揚会が掲げる最高にカッコいい訓戒『早稲田精神昂揚宣言』を記載して私の100ハイ体験記を終えようと思う。ちなみに私は非昂揚会員でありながら全文暗唱できる。

我々は常に世界的視野に立ち
進取の精神を重んじ
高邁なる理想を追求すると共に
豊かなる情操を育み
模範国民たるの自負を矜持し
以て大隈老侯建学の精神に基づく
早稲田の学風を昂揚せんことを宣言する

『早稲田精神昂揚宣言』

最後まで読んでいただいた諸君に厚く御礼申し上げたい。

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