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#3 /【Live Report】地域スクランブル大作戦コラボイベント・第二部 「100人カイギ 運営者トークセッション」

2023年1月28日(日)、渋谷ヒカリエ8/COURTにて行われました 『地域スクランブル大作戦×100人カイギ』コラボイベント~話題を集める地域イベントの作り方 ~」 の第2部「100人カイギトークセッション」をレポートをお届けします。

 100人カイギ代表の高嶋さんに加えて、5つの地域の発起人が大集結。なぜ100人カイギを始めたのか、実際にやってみてどうたったかなど、運営サイドだからこそ感じられた想いを存分に語って頂きました。
 当レポートを読んで頂ければ、100人カイギの理解が進むだけでなく、地域で活動を起こしていく何かしらヒントのようなものが見つかるかもしれません!?

※レポート中の情報は、2023年1月28日時点のものになります

100人カイギトークセッション 登壇者の皆さま

<トークセッション登壇者> 写真、左から(敬称略)
・高嶋大介     /  100人カイギ founder / 見届け人
・安藤慎吾     /  桜川市100人カイギ発起人
・宮崎真理子 /  横浜都筑区100人カイギ発起人
・柳川雄飛  /  渋谷区100人カイギ発起人
・加藤木良子 /  流山市100人カイギ発起人
・蓮井晶子  /  台東区100人カイギ発起人

合同会社別視点 総合司会の 松澤さん(左)・今井さん(右)

●100人カイギとは

(総合司会・松澤)
 それではここからは、100人カイギさんのトークセッションに移りたいと思います。きっかけは、台東区100人カイギで蓮井さんとお会いしたこと。何かご一緒できないかとお話したら、あれよあれよとコトが進み、本日このような形でコラボイベントを開催するに至りました。蓮井さん、ありがとうございます!
 ここからは、蓮井さんにファシリテーターのバトンを渡して進めて頂きたいと思います。我々も、視聴者から頂いたコメントや質問などがあれば、合間に少し挟ませて頂きますね。それでは、蓮井さん、宜しくお願いします。

(蓮井)

 ありがとうございます。それでは早速初めて行きたいと思います。台東区100人カイギの発起人で、今回ファシリテーターを務めさせていただく蓮井と申します。皆さま宜しくお願いします。

台東区100人カイギ発起人 蓮井晶子さん

まずは100人カイギとはいったい何なのか、気になってる方も多いと思います。本日は100人カイギを立ち上げられた高嶋さんにお越し頂いているので、高嶋さんより自己紹介も含めて、100人カイギとは何かを簡単にご紹介頂きたいと思います。

(高嶋)
 
皆さま、初めまして、宜しくお願いします。100人カイギ founder / 見届け人の高嶋です。普段は「INTO THE FABRIC」というイベントや人材育成の会社をやっておりまして、その中で「人と人を繋ぐプラットフォーム」として100人カイギの運営をしています。

100人カイギFounder・見届け人 高嶋大介さん

 100人カイギ、いまでこそ「クロスジャンルで人とつながる」と表現していますが、スタートは「地域にはたくさんの面白い人がいる。そういった人を紹介したい。もっと知って欲しい!」という想いから始めたものになります。
 で、よく「100人カイギって、100人集めて会議をするんですか!?」と聞かれるんですが、そうではなくて。「ゲストが100人なったら終了、解散」ということを唯一のルールとしてやっています。何かしらの場やコミュニティを作っていくと、いかに回数を重ね、場を大きくし、続けていくかを考える方も多いと思いますが、「会に終わりがある、会を敢えて終わらせる」からこそ、何か新しいことが生まれるのではないか、という考え方でやっています。
 2016年にスタートした100人カイギですが、今年からはじまった海外での展開も含めて現在「81の地域」で開催されており、うち25の地域で既にゲスト100人を達成、解散をしています。登壇頂いたゲストは989名にのぼり、今年には1000名を達成できる見込みです。
 そんな形で、様々な地域で仲間を増やしながら、多様な人と人がつながるプラットフォームとして、100人カイギを運営をしています。
 今日は、司会の蓮井さんを含めて、5名の運営者の皆さまに集まって頂いているので、ぜひ各地域のリアルな話を聞けたらと思っています。本日は宜しくお願いします。

(蓮井)
 高嶋さん、ありがとうございました。ではここからは、実際に各地域で100人カイギを立ち上げ、運営をされている皆さまにご登場いただきまして、皆さまの自己紹介と、100人カイギをはじめたきっかけをお伺いしていきたいと思います。最初は、立ち上がって日の浅い順番で、加藤木さん、お願いします。
 

●100人カイギを立ち上げたきっかけは

(加藤木) 
 皆さま、初めまして、流山市100人カイギから参りました加藤木と申します。流山市はとても新しい街で「子育てするなら流山」というキャッチコピーを掲げ、ニュース等で取り上げて頂くことも多い地域になります。コロナが落ち着きを見せはじめた2022年5月よりスタートしました。

流山市100人カイギ発起人 加藤木良子さん

実は、流山市100人カイギを立ち上げる前に、松戸市100人カイギの発起人もやってたんですが、松戸は残念ながらコロナの余波を受けて最後までやりきることができなかったんですね。そんな不完全燃焼もあり、コロナが落ち着いてきたタイミングで、またリアルで100人カイギをやりたいとの想いが再燃、流山市100人カイギを立ち上げることになりました。

(蓮井)
 そもそも、なぜ松戸市100人カイギの発起人になられたんですかね。最初のきっかけは何だったんでしょうか?

(加藤木)
 松戸市に面白い行政職員さんがいたんですよね。その方が高嶋さんが立ち上げられた港区100人カイギに行かれて「面白い会があったんだよ!松戸市でもやろうよ!」と声を掛けて頂いたのがきっかけです。発起人といっても、最初は受付のお手伝いぐらいの気持ちでスタートしたんですが、実際に参加してみたら、100人カイギは今まであった交流会と全く違くて。世の中には、いわゆるビジネス交流会のようなものは多々あると思うのですが、ただ人を紹介し、人と人を繋ぐだけの場を作ろうという考え方が、すごく面白いなと感じました。目的を持たない場づくりもあるんだなと。で、あれよあれよとのめりこんでいき、気が付いたら、流山市でまた100人カイギの発起人をするに至っていました。

(高嶋) 
 少し補足させてもらうと、100人カイギは、毎回5人のゲストに自己紹介をしてもらうのですが、「何をしているか」よりも「どんな思いでやっているか」を中心に話してもらっていて。その方の内側にある「想い」をベースに理解し、繋がり合う場になっています。そのあたりが、他のビジネスコミュニティとは違うと感じて頂けたポイントなのかなと思います。

(蓮井)
 加藤木さん、高嶋さん、ありがとうございます。では続きまして、安藤さんに伺いたいと思います。桜川市100人カイギは、学生が中心になって運営しているというレアな地域なんですよね。

(安藤)
 はい、宜しくお願いします。桜川市100人カイギ発起人の安藤と申します。桜川市、初めて聞かれる方も多いかと思うのですが、茨城県の筑波山の北側に位置する町です。桜川市100人カイギは、2021年の7月にスタートし、現時点で17回まで終わったところです。

桜川市100人カイギ発起人 安藤 慎悟さん

自分は愛知県出身、つくば市在住で。桜川市とは学校に通ったり働いたりといった直接的な関りは無いんですよね。なので、100人カイギをやろうと思ったきっかけと合わせて、なぜ桜川市だったのかの経緯についてもお伝えできればと思います。
 100人カイギとの出会いは、つくば市100人カイギに参加したことでした。「想いでつながる」という考え方が良い影響を与えるのか、会場内が本当にポジティブな雰囲気で溢れかえっていたんですよね。そんな空間の中にいる自分も楽しかったですし、その空間を眺めている自分も好きで、こういう場を自分でも創ってみたいと思ったんです。
 次に桜川市とのきっかけについて。今自分は大学院修士二年生なのですが、学部三年生の時から「地域創り」をテーマに研究をしていて、その一環で桜川市に訪れる機会がありました。桜川市は、いわゆる過疎地域と言ったらよいでしょうか、課題がある分、大学での学びも活かせるのではないかと考え、関っていくようになりました。
 ご縁が生まれた桜川市に貢献したいという想いと、100人会議の雰囲気が好き・楽しみたいという想いとが相まって、桜川市100人カイギを立ち上げるに至った感じになります。

(蓮井)
 とても共感します!私も、渋谷区100人カイギに参加して気持ちがあったかくなった帰り道に、一緒に参加した仲間と「100人カイギ、私たちもやろうよ!」と盛り上がったのが、台東区100人カイギのきっかけだったんですよね。なので、個人的には渋谷区100人カイギには思入れがありまして。その流れで、次は、柳川さん、お願いできますでしょうか。

(柳川)
 はい、皆さまこんにちは、渋谷区100人カイギの柳川と申します。渋谷区は港区に次いで2番目に立ち上がった100人カイギで、2017年11月に始まり、2019年の11月に解散しました。終わってからかなり日が経つので、今日は記憶を呼び起こしつつ、お話しできればと思います。

渋谷区100人カイギ発起人 柳川雄飛さん

渋谷区100人カイギをはじめたきっかけは、高嶋さんからお誘い頂いたからで。港区100人カイギの最終回に、いち観覧者として参加したのですが、そこで高嶋さんが「港区はこれで終わるが、また別の場所でチャレンジしてみたい。次はここでやってみたい」といった話をされた時に映し出されてたのが「渋谷のスクランブル交差点」で、「あれ、これ渋谷じゃん!これは、巻き込まれるな…」っと直感的に思いました。で、案の定、交流タイムに高嶋さんから「ちょっと相談したい話があるから、今度時間を取ってくれないか」っと声をかけられて、あ、来たなと(笑)。もちろん、100人カイギという取り組み自体が面白いからというのが大前提ですが、高嶋さんのお誘いがあって渋谷区でも始めることになりました。

(総合司会・松澤)
 ちなみに、100人カイギをやりたいなと思った場合には、高嶋さんにご連絡をすれば、誰でも開催することができるんでしょうか!?

(高嶋)
 「はい、良いですよ!」っと言いたいところですが、一緒にやる仲間が居るかなど、最低限の確認はした上で、開催できるようにしています。
 先ほどの柳川さんの話を少し補足させて頂きますと、100人カイギを港区ではじめてみて、人の輪が出来るのが面白くて、これは仕組みにしていけないかと思ったんですね。で、再現性があるかを確認するべく、渋谷だけは自分からやってくれる仲間を探しました。
 100人カイギは現在81のエリアで開催されてますが、渋谷以外の79の地域は、今日登壇してくれてる方も言ってくれてますが、参加してくれた方々が「自分達も作りたい」と自主的に立ち上げてくれたケースがほとんど。特に宣伝などはやってませんが、皆さんが各地で開催してくれるおかげで、多くの方に知って頂けるようになってきたのかなと思います。

(蓮井)
 これだけの拡がりをみせているのは、仕組みがシンプルだからこそかなと。参加者は基本的に話をきくだけですが、会場の空気感からとても馴染みやすい。話も一人10分なので、知らない人の話しでも最後まで聞くことができる。運営側も、登壇者に話してもらうだけで特別な準備が不要なので、そんなにプレッシャーもない。この絶妙な設定があって、始めやすいのかなと思いました。それでは次に、宮崎さんのお話を伺いたいと思います。

(宮崎)
 横浜都筑区100人カイギの宮崎と申します。「港北ニュータウン」という名称を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、そのニュータウンがある町になります。2021年2月にスタートして、2022年の12月に20回目が終わったばかりで、今は達成感でいっぱいです。

横浜都筑区100人カイギ発起人 宮崎真理子さん

はじめたきっかけは、コロナになって自粛生活になり、暮らしに目が向いたんですね、その時に、地域に繋がりが無いな、町のことを知らないな、友達が欲しいなと思ったのが最初です。
 大人になってから友達作るのって意外と難しくないですか!?ビジネス上のお付き合いはありますが、いざ友達が欲しいと思ったら、どうやって見つけたら良いか悩みまして。で、たまたまSNSで「100人カイギ」の存在を見つけたんです。個人的に「終わりがある」というのがとても良いな、それならやれそうかなと思ったんですね。
 善は急げで、電話してみたら「え、1人ですか?3人いないと開催できないんです」と言われてしまって。友達欲しいからやりたいのに、友達がいないとできないという(笑)。ただ、事務局の方から「ちょうど他にも都筑区でやりたいと言ってる方がいるのでお繋ぎします」と繋いで頂いて、その方と一緒に始めさせて頂きました。その方とは、コロナもあってなかなか対面では会えなかったのですが、念願叶ってお友達になることができました。

●自地域のユニークなところ

(蓮井) 
 100人カイギをはじめかたらこそ仲間が増える、というのは運営者ならではなのかなと思います。次はトークテーマを少し変えまして「自分の地域のユニークなところ」を聞いてみたいと思います。まずは、学生主体で運営されている桜川市100人カイギの安藤さん、いかがでしょうか。

(安藤)
 運営が学生というユニークさはあると思うのですが、今回登壇の地域の中では、一番地方にある町で、だからこそのユニークさもあるのかなと思っています。元々3つの町が合併してできた市なので、今日は〇〇地域の方が多いねだとか、会場で親戚同士が出会ったり、恩師との偶然の再会があったりなど、皆さん地元ならではのローカルトークを楽しまれているところが、面白いなと思ってます。

(横井)
 100人カイギには市区町村単位でやるというゆるいルールがあって、地元が共通というバックグランドがあるからこそ、知らない人同士でも話しがし易いというのはあるかもしれませんね。

(安藤)
 そうなんですよね。だからこそ、地元出身ではない自分はその場に入りきれないこともあるんですけど。でも、その盛り上がってる皆さんを見てるとこちらも幸せな気持ちになれるので、やっぱり100人カイギは素敵な場だなと思います。

(横井)
 加藤木さんは、3つのエリアに関わっていますが、複数のエリアに参加しているからこそ感じる地域性みたいなものはあったりしますでしょうか。

(加藤木)
 はい。松戸と市川と流山と3か所で携わってますが、違いは明確にありますね。特に流山は、町が生まれるってこういうことなんだなと凄い実感させて頂く100人カイギになっています。
 松戸や市川は歴史も古く、成熟した町なのもあってか、皆さん時間はきちんと守り、ルールに則って進んでいく感じがあるんですね。一方、流山は、皆さん本当に時間を守らない(笑)。登壇者は持ち時間過ぎてもしゃべり続けるし、ネットワーキングの時間が終わってるのに誰も帰らない。ある意味、とても熱量の高い方々ばかりなんです。
 元々流山は、森が豊かで、古くからの農家さんがたくさいらっしゃっる町なんですが、TX線が開通したことで、新しい方がどんどん増えていて。そんな新しく来た人が、何かをやろうとするエネルギーを物凄く感じることができるのが流山市100人カイギならではなのかなと思います。

(横井)
 流山はエネルギーがある町というのは、100人カイギを初めてから気付いたことなんですか?

(加藤木)
 柏市100人カイギさんで流山の方が登壇されていたので参加したのですが、その日の交流タイムで「流山の人いますか!?」と声をかけたら、メンバーがすぐに集まって。で、出会ったばかりのメンバーなのに、その日のうちに「流山市100人カイギ、いつから始めようか!?」と話が進んでました。始める前からして、圧倒的なエネルギー・スピード感があった感じですね。

●登壇者はどう探し、どう選定する?各エリアならではのルールとは

(総合司会・松澤)
 視聴者から質問が来てるので紹介させて下さい。「100人もの登壇者を探すのは大変だと思うのですが、どのようにして探してらっしゃるのですか?テレフォンショッキング方式とかでしょうか?」といういご質問を頂いていますが、いかがでしょうか。

(柳川)
 最初は自分達が知ってる中で、話を聞きたいなという人にお願いをしていくんですが、やっぱりすぐに尽きるんですよね。で、まさに今おっしゃって頂いたように、登壇頂いた方に、次の登壇者を紹介してもらうということは、よくやっていました。
 渋谷区100人カイギは3人で運営してたのですが、元々の感性が似通っていて、知り合いも共通だったりで、登壇頂く方に偏りがあって。これでは面白くないということになり、最後の方は、渋谷の町を歩いて探索して、奥渋にある喫茶ライオンさんという老舗のおばーちゃんに登壇をお願いしたりもしました。ただ、このおばーちゃん、壇上に上がってから「しゃべりたくない」と言いだして、その時はめちゃくちゃ焦りましたね。なんとかなだめて、話してもらえたんですが。

(総合司会・今井)
 参加者を見つけるのも苦労があると思うのですが、その中で誰に話してもらうかを決めるのも大変かと思います。そのあたり、どう決めるかなどのルールはあったりするんでしょうか!?

(蓮井)
 実は次のトークテーマが「運営の裏ルール」にしてまして。このあたりの「登壇者の選定」も含めて、皆さんのエリアならではのルールがあれば教えて頂きたいと思います。宮崎さん、いかがでしょうか?

(宮崎)
 横浜都筑区は、人を選ぶ時には「老若男女を入れる」ということを明確にしていて、登壇者のバリエーションは常に意識してましたね。最終的には95歳の港北ニュータウンを開発したというレジェンドから、10歳の小学生まで登場を頂きました。

(蓮井)
 10歳ですか!ちなみに、その小学生はどんなことを話してくれたんですか?

(宮崎)
 漫才をやってくれたんですよ。これも100人カイギの繋がりの中から生まれたご縁で。先に高校生で漫才をやらている方が登壇してくれたことがあって、その時のことを記事にしてたんですね。そしたらその記事を小学校の先生が見つけてくれて、うちの学校で教育漫談をやりたいと、その高校生漫才師を招いて子供たちに授業をしてくれたんです。で、その授業を受けた子がまた100人カイギに登壇して、漫才をやってくれるという。自分の予想を超えていくようなことが起こるのが、まさに100人カイギの面白さだと思うんですよね。

(蓮井)
 元々は地域に繋がりが無いと仰っていたと思うのですが、宮崎さんはどのように登壇者と繋がりを作っていったんでしょう?

(宮崎)
 先ほどもありましたが、テレフォンショッキング方式は都筑区でもやっていて、登壇者からご紹介頂いた方は優先的に登壇頂いてました。
 あとは、小さくとも素晴らしい活動をしている人にお願いしたいという想いがあって。これが裏ルールにあたるかもしれませんが、ひたすらインスタを眺めて「この人は!」と思う人がいたら依頼するということをやってました。なんだかADみたいな仕事してますね(笑)。

(高嶋)
 イベントをやってる人は分かる方も多いと思うのです、イベントってだいたい何かしらテーマを決めてやりますよね。でも100人カイギの場合は、毎月5人、それを20回もやろうと思うと、テーマに沿って人を集めること自体がもう無理筋で、決めた日程に合う人が登壇する形になっていく。そうなると、テーマで括らないからこそのバラバラ感が生まれ、偶発的な掛け合わせが起こり、信じられないような神回が生まれたりするんですよね。その意外性がまた100人カイギの面白さだったりするんじゃないかなと思います。

(蓮井)
 確かに、全く意図してないところで人と人とが繋がって会場が大いに湧くというのは、100人カイギアルアルだと思います!安藤さんのところはいかがでしょうか!?

(安藤)
 老若男女・バリエーションを意識することは一緒なのですが、メジャーな方ばかりに登壇頂くのではなく、あまり知られてないけど地域に根差して頑張ってる人にこそ出てもらって、そういう人同士が互いを知り、繋がっていくことで、結果的に桜川市が更に活性化していくきっかけになればなと。裏ルールということではないですが、そういった想いを大切にしながらやってました。

(蓮井)
 ちなみに、そいういまだあまり知られてない地域の方はどうやって見つけてたんでしょうか。また、どういう人に話してもらうのが良いかなど、複数いる運営者同士で認識が異なるようなことはなかったでしょうか。 

(安藤)
 学生中心でやっている100人カイギではあるのですが、お一人、地域おこし協力隊の方がいらっしゃいまして。その方が、地域で活動されている方を繋いでくれてました。認識合わせのところは、感覚的にはなってしまうのですが、この人だったら面白い話をしてくれそうだという感性と言ったらよいでしょうか、それが運営者の中で揃っていた感じです。

(蓮井)
 ありがとうございます。加藤木さん、勢いがある流山ではいかがでしょうか。

(加藤木)
 どんな方に登壇して頂くかについて何か決めごとをした訳ではないですが、男女や年齢などが偏らないように、各運営者が自然とバランスをとっていたように思います。
 流山はとにかく「話をしたい!」と、どんどん手が挙がるんですよね。登壇者が集まらなくて困るというよりも、ウェティングリストが貯まってどうしようという悩みがあったぐらいで。ただ、自ら手を挙げられる方は、いくらでも話す機会があると思ので、逆に素晴らしい活動をしているのにあまり表に出ないような方にこそ、100人カイギにコミット頂き、話してもらいたい。運営として、そういう方を発掘していけたら良いなと思ってやってました。

(蓮井)
 100人カイギ、今でこそ、地域活動に興味がある方などの中では知られる存在になってきましたが、スタート当初、まだそんなに認知されていない時は、どのように登壇者に声をかけてたんでしょうか。そのあたり、柳川さんいかがでしょうか。

(柳川)
 そうですね、なかなか難しい質問ですが…。100人で解散・終わりがあるということだったり、ビズネス抜きにただただ繋がるということだったり、一番気を付けてたところですが「やってることよりも、想いをベースに話して欲しい」ということだったり、そういうところをお伝えしていたと思います。渋谷区は全国で2番目に開催された100人カイギですが、後に全体のグランドルールになっていくような取り組みをやれていたんじゃないかと思います。
 あと3人で運営をしていたのもポイントですね。メイン担当制と言ったらよいでしょうか、3人ともそれぞれ社内にイベントスペースがあったんですが、メイン担当が会場準備と登壇者3名を探し、残りの2人は登壇者を1人ずつ探してくるみたいな感じで。もちろん登壇者の年齢性別等のバランスは考えながらですが、そんな形で100人カイギをグルグルまわしてましたね。

●運営が最低3人必要なのは何故か

(総合司会・今井)
 イベントは1人でも企画しようと思えばできなくもないと思うのですが、3人必要というのはどういう意図があってのことだったんでしょうか!?

(高嶋)
 1回限りの単発イベントであれば、1人のマンパワーでも出来ると思うんですが、100人カイギは毎回5名を20回続けていく。ここまでの話しでも出てきてますが、1人で登壇者100人を集めるのは限界がありますし、イベントは司会だったり、受付だったりもある。これを1人でやり続けるのは難しい。最低限3人ぐらい居ないと続かないだろうなと思っていたんですね。で、渋谷は3人体制で実際に会がまわった。よし、これだ!っと。

(柳川)
 最初は、1ヶ月に1回やらなきゃいけないと思っていて。仕事をしながら、登壇者を探していくのは、なかなかキツかったです。もう告知しないといけないタイミングなのに、登壇者が決まってなくて焦ったり。何でこんなことをやってるんだ、と思うこともありましたね。

(総合司会・今井)
 確かに運営が3名いる方が、苦悩を分かち合ったり、実務の負担を分散したり、バランスがとれる気がしますね!納得です。

(蓮井)
 まずは、アクティブに動ける運営が3人は必要ということだと思うんですが、100人カイギって、会が進んでいくうちに、自然と関わりたい人が増えてくるんですよね。「僕、撮影が出来ます!」「私、グラレコやります!」など、各自の得意とすることを持ち寄ってきてくれる。これも100人カイギならではかと思うのですが、皆さんのエリアではどうでしょうか、そういうことはありますか?

(安藤)
 桜川市では、現在運営は5人いるのですが、うち2人は元々登壇者で。登壇された後に、運営に入ってきてくれたんですね。一人は新卒社会人1年目で、もう一人はまだ大学3年生。どちらも桜川市出身。自分自身100人カイギを始めたのは、桜川市の活性化に貢献できればとの想いがあったわけですが、将来地域を引っ張っていってくれそうな若い世代が関わってくれたことが、本当に嬉しかったですね。

(蓮井)
 100人カイギを続けていく中で、お客様がファンになっていき、運営に入るまでは至らなくとも「100人カイギ、面白いから、行こうぜ!」っと口コミで広げてくれるといったこともありますか?

(安藤)
 そうですね、毎回来てくれる方はいらっしゃいます。そういった方々に会を支えて貰っている実感はありますね。

●100人達成した後はどうなる?

(総合司会・松澤)
 視聴者から「会が盛り上がってきて解散したくないと思ったりしないでしょうか。無いとは思いますが、回数をごまかしたりなどあるんでしょうか」といったコメントが来ております。実際、解散が近づいてくるとどいった心境になるんでしょうか。また、終わってしまった後はどうされてるものなんでしょうか。

(宮崎)
 まさにおっしゃって頂いたように、終わりが近づくにつれて、会はどんどん盛り上がってくるんですね。話して欲しい人がまだまだいるのに、もう話す場を設けられないんだというジレンマはあります。都筑区は、コロナもあってずっとオンラインでやってきたんですが、最終回になって、ようやくリアルで出来たんですよ。それはもう、必然的に盛り上がるじゃないですか。でも、今回で終わりだと。
 そしたら、参加者で居酒屋をやられている方が「こんな素晴らしい取り組みを終わらせたらもったいない!お店の休みの日を自由に使ってくれて良いから、何か続けてくれないか!?」っと言い出してくれる方がいて。100人カイギという形からは変わりながらですが、今も繋がりが続いている感じです。

(蓮井)
 柳川さんも、100人カイギが終わられてから、その後にやられていることがあると伺ったんですが、そのあたりのお話をお願いできますでしょうか。

(柳川)
 はい。渋谷区100人カイギをやっていた3人の運営メンバーで、2020年5月か「 Small Standard Shibuya」という任意団体を立ち上げました。100人カイギでは「場づくり」の運営をしていましたが、自分達がいちプレイヤーとなって、地域の方とコラボしながら活動しています。
 活動の一例として、一昨年に、奥渋谷にある「SPBS (SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS )」という本屋さんとコラボして、「SPBS the box」という企画を立ち上げました。コロナで人が集まったイベントができない中で、本を介して人と人とが繋がる体験を作れないかという試み。具体的には、賛同してくれた色々なお店に「ワンボックスの本棚」を作っていき、その本棚を覗きに店を巡るといった企画になります。
 この企画、おかげさまで好評をいただきまして、去年は「恵比寿井戸端書店」売らない本屋という、やはり「人と人が繋がる」を趣旨とした企画として広がりを見せています。

(蓮井)
 100人カイギ、毎回5名の登壇者の話しを聴くというシンプルな活動ではありますが、その中で繋がりが生まれて、新しい動きに繋がっていくんですね。
 では、最後のトークテーマに行きたいと思います。100人カイギをやったからこそ得られたもの、あるいはもし失ったものがあれば、合わせてお聞かせ頂ければと思います。

●100人カイギで得たもの失ったもの

(加藤木)
 得たものはシンプルに「人との繋がり」かなと思ってます。先ほど宮崎さんもおっしゃってましたが、社会人になるとどうしてもビジネス上のお付き合いが多くなり、純粋に友達を作るのってすごく大変で。そういった目的なしに、シンプルに友達として、知り合いとして、繋がっていく。そんな距離感の取り方が出来るようになったと思います
 失ったものは、一言でいえば「忙しいこと」ですね。毎月5人の登壇者をセッティングして、プロフィールや登壇資料を確認して。ご年配の方はパワーポイントが作れないことも多く、そういったサポートもあったり。リアルでやっていたので、会場へのアクセスのケア、コロナの感染対策、ドリンクの用意などもある。運営者になると、様々なフォローアップに追われて、シンプルに自分の時間を失う、ということはあります。

(蓮井)
 安藤さんはいかがでしょうか。大学卒業も控えているタイミングだと思うのですが。

(安藤)
 20回という終わりがあり、学生のうちにやり切れるからこそ、始めたのはあるんですが、いざ終わりが近づいてくると、やっぱり悲しくなったり、寂しくなったりもして。桜川市は、出身地な訳でも無いんですが、自分にとって本当に大切な、思い入れのある地域になったなと実感しています。
 大学院卒業後は都心に行くことが決まってるのですが、これからも桜川市とは何かしらの関りを持ち続けたい。そういった「暖かい居場所」が新たに出来たというのが、一番の得られたものなのかなと思います。

(蓮井)
 ありがとうございます。では、宮崎さん、いかがでしょうか。

(宮崎)
 得られたものというか、自分自身の学びになるんですが、ゴールから逆算しないからこその面白さってあるんだなということ。ビジネスであれば、当然ゴールを決めて、そこに辿り着くためにプロセスを設計するわけですが、100人カイギはそういうことはせずに、ただ毎回5人来て話をするだけ。それなのに、そこから新しいプロジェクトが生まれたり、生まれたプロジェクトを皆で応援しあったりということが起こる。自分が描いていたものを超えていくということが体感できました。
 大変だったのは、最初に一緒にやっていた運営者が途中で離脱することがあって。自分の関わり方に問題があったのかなと思ったりもしましたが、それも人によって関わる関わらないのタイミングがあるのかもな、と思ってます。

(蓮井)
 100人到達するには、毎月やっても、2年弱かかる。コロナで途中ストップなどがあれば、なおさらで。それぐらいのスパンでやっていると、人によってはライフステージが変わったり、熱量の上げ下げがあったりするものですよね。ただ、そうやって人の出入りがありながら、それでも続けていけるのは、仕組がシンプルだからこそなのかなと思います。

(宮崎)
 本当にそうですよね。都筑区では、最終回に向けて全登壇者の一言ムービーを作ったんですが、100人到達する2年の間で、会社が無くなるなど状況が激変してる方もいらっしゃって。それだけ2年という月日は変化がおこりうる期間なんだなと。だからこそ、今、この瞬間の出会いを大切にしながら、皆さんと繋がっていけたら良いなというのも学びでした。

(蓮井)
 ありがとうございます。では、最後、柳川さん、いかがでしょうか。

(柳川)
 皆さん仰ってる通り、何よりも人との繋がりというのが大きいですね。100人カイギでの出会いが、自分自身のライフワークにも繋がっていて。ここでの出会いは、お金には換えられない価値になっていると思います。
 先ほど申し上げた「Small Standard Shibuya」の取り組みも、稼ぐということではなく、ただただ自分達が楽しいからやっていて。結果的に、地域に面白い居場所が増えたりと、何かしら価値が生まれている感じです。
 更に個人的なことにはなりますが、100人カイギをやるまで場の運営なんてやったこともなかったんですが、100人カイギをやっていたら、ご登壇頂いたとある社長さんに声を掛けて頂いて、今では場づくりが仕事になってしまいました。100人カイギをやることで、明確に人生が変わった1人ですね。

(総合司会・松澤)
 100人カイギの皆さま、お話しありがとうございました!お話を伺っていて、100人カイギさん特有の面白さがあるなと感じまして。これって、少し前に話題になった「100日後に死ぬワニ」と同じ構造なのかなと思いました。終わりがあるからこそ、一回一回が尊くなり、盛り上がれば盛り上がるほど切なさも増していくのかなと感じましたね。
 以上を持ちまして「100人カイギトークセッション」を終わりたいと思います。ご登壇頂きました皆さま、ありがとうございました!

100人カイギ & stories ライター

豊田 陽介(とよだ・ようすけ)プロフィール
1979年神奈川生まれ、千葉育ち。3児の父。
様々な不思議なご縁が積み重なり、2020年春に17年間勤めたハウス食品を退社。長野県佐久穂町にIターンして『カレー屋ヒゲめがね』を起業。自分のワクワクをぶらさず、自然豊かな環境で、家族とゆったり暮らす生活を成し遂げるべく、現在は週3ランチのみ営業。人生100年時代における生き方の1つとして「こんな暮らしもありだよね!」という事例をお示しできるよう、日々奮闘中。
ヒゲめがね note

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