徳丸ニョッキ

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徳丸ニョッキ

某出版社で編集者をしています。 文章を読むのも書くのも好き!小説をアップしていきますので、是非是非お立ち寄りください♪

最近の記事

キミハタラコスパ 第2話

「第2話 壊すもの/守るもの」 あらすじ:彼女の手が僕の乳首に触れた、そのとき… 「おっなに発情しいているんだガキ犬」 しまった。僕のささやかな喘ぎ声を聞かれてしまったのだ。赤面する。それと同時に背筋からは冷たい汗がにじみ出てくる。 背後からの声は不穏に低く響いた。僕が後ろを振り返るよりもはやく襟元を掴まれて、強引に体を反転させられる。 オヤジだった。前髪がざんばらな髪の薄い男。顔は紅潮し息が酒くさい。 目と目が合う。焦点が定まっているのかいないのかわからないその目に、僕は

    • キミハタラコスパ 「第1話 その瞬間ボクハ感じた」

      その艶やかな髪の毛からはヴァニラの香りがする。ちょうど彼女の頭頂部が僕の鼻の下にあたるのだ。いつもは妬ましいだけの混み合った電車にいまは嬉しさを感じる。彼女の青のニットと僕のシャツが擦れ合う。 電車が不規則に揺れる。態勢を崩した彼女の肩を僕はとっさに抱く。 「大丈夫? 僕に掴まってて」 普段は引っ込み思案の僕がここまで積極的になれるのは、先ほどまで呑んでいたアルコールのおかげだろう。 彼女の手が遠慮がちに僕のおろしたてのシャツを掴む。 故意にではないのだろうが、彼女の華奢な指

    キミハタラコスパ 第2話