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THEMAKAIは魔界の物語を描き出す。

現体制の魔界音楽班のライブとしては昨年の12月の引き続き二度目となったTHE MAKAI act.1〜Sea of Princess。

二度目に関わらず今回をact.1としたのは理由があった。

それはこのライブが単なる魔界の音楽班のイベント的なライブではなく、魔界本編とは違った形での魔界の世界観の核となるコンテンツに発展させていくスタートになるもにいであったからである。

魔界は様々なジャンルのハイブリッドでその複雑な世界を描き出すものだ。通常の魔界本編はアクション(あえてプロレスとはいわない)を中心に、連続した物語を展開している。

それに対してTHE MAKAIは、音楽を中心に魔界の登場人物の物語を一話完結で描いていこうと考えた。

一昨年はiZANAGIという魔界の別版ともいうべきシリーズを行ったが、これも連続ものであり、一話完結というものは初めてのチャレンジでもある。

もともと、この企画を考えていたわけではなく、むしろ最初は純粋なバンドとしての構成だった。

現在のTHE MAKAIは完全なボーカル楽曲で占められており、鬼目、妖、邪魅、ジュスタ、壱与という素晴らしいボーカリストがおり、それぞれが魔界の描く楽曲を担っている。したがって、ライブでのボーカリスト複数体制は必需であり、それも大きな武器となる。

その一方でボーカリスト複数体制はライブにおいて、ボーカルチェンジという問題を抱える。12月のTHE MAKAIのライブでもボーカルチェンジは会場の熱を微妙に下げてしまい、世界観の構築やライブの楽曲の構成そのもの(ボーカリストを固めて起用しなければならないという縛りが生まれる)の限界も起こる。

その課題を解決するために、ボーカルチェンジをスムーズに行い、ライブ全体に魔界の世界観を浸透させるために、ストーリーの導入というアイディアが浮かんだ。

全体を魔界のストーリーで貫き、楽曲の間はBGMとナレーションで構成する。そして戦いや重要なシーンは音楽のみで表現するという「音楽中心」のショーとして昇華する。

いわばロックオペラの変型版のようなものであろうか。

このチャレンジするにあたって最初のストーリーには、魔界の主役である鶴姫の物語において他はなかった。鶴姫役の志田光に相談し、快く了承してくれて、今回のSea of Princessが完成した。

実際にやってみて、思った以上の手応えとさらによくなる修正点が見えて、このコンテンツに関しての自信と期待が膨らんだ。

それにはなんと言ってもTHE MAKAIのメンバーの卓越した能力と表現力にある。

ギターの筧十蔵こと西村守の叙情的で美しい旋律、そしてもうひとりのギター佐々木小次郎こと小林信一のまるで音が生きているかのような奔放で激情的なサウンドは、まさに大三島の戦いの風や炎や、海の波飛沫までをリアルに再現してくれた。

そして、THE MAKAIの新しい戦力であるリズム隊のバサラ・メキラこと、ベースのKOTA、ドラムの今井義頼の地鳴りのような重低音は、まさに軍の人馬の進撃を聴く者すべてに体感として与えてくれる。

なによりもこのコンテンツを成立させたのは三人のボーカリストである。

言葉を音に乗せ、ドラマチックな物語を描き出した。

妖ことNashの扇情的な歌声は、大三島の悲劇的な戦いを「コールドブラッド」でドラマチックに浮かび上がらせ、ジュスタこと榊原ゆいのその艶かしくありながら強さを秘めた歌声は「魔界が来たりて音を鳴らす」で死に向かう鶴姫の悲しみをどこまでも切なく描き出した。そして鬼目ことNOVのその凄まじい咆哮は、大三島を襲撃する大内軍の激しさを「楚歌」でまさに軍神のような迫力をもって圧倒した。

なによりも魔界の民たちの一体感こそが、その空間を魔界に連れていってくれたといえよう。

まだまだ改善の余地はあるが、おそらく凄まじい速度でコンテンツとしての完成度は上がる確信がある。

新しい魔界の柱としての可能性をこのコンテンツで追求していこうと思う。

次回は6月2日新宿Club SCIENCE。

メンバーや演目は後日発表する。

今年はTHE MAKAIで魔界をさらに加速させていこうと思う。

その前にまずは4月19日魔界本編を。



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