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番外編「孫正義さんのはなしかた」

ビジネスの世界で「はなしの達人」でワタシが真っ先に思い浮かべたのが孫正義さんでした。


ビジネスの世界の「はなし」といえば「プレゼンテーション」になります。


大企業の代表ともなれば「プレゼン」の場といえば「事業説明会」「カンファレンス」といういわば「舞台」ともいえるスケールになります。


孫さんが「凄い」と思うのはこの大きな舞台での「はなしかた」です。

孫さんは単なる「報告」「発表」にとどまらず必ずある「意図」をもって「はなし」の「演出」を行っているところが素晴らしいと思います。


ワタシは演出家なので、どうしても「演出」の側面から考えていきますが、「演出」とは「本人の資質」×「意図」です。

どんなに素晴らしい「意図」をもっていてもそれを表現できる「本人の資質」がなければ、演出倒れになってしまいます。


演出家の腕の見せ所はこの「本人の資質」と「意図」のバランスを絶妙に保つことなのです。


孫さんのスピーチに演出家がいるのかどうかわかりませんが、まさにこの「本人の資質」×「意図」のバランスが絶妙なのです。


それでは孫さんの「意図」とはなにか?


それは「サプライズ」です。

もう少し丁寧に言うと「サプライズを期待させて期待にこたえる」です。


「何か驚きの計画を発表してくれるんじゃないか!」


そういう期待を常に孫さんは聴衆にもたせてくれます。


それは「アンチ孫」の人達にもです。


ここが「凄い」をワタシが感じる点です。


経営者は「リスク」に敏感です。


「批判されるリスク」より「可もなく不可もない安全」を優先します。

その結果、せっかくの「カンファレンス」も印象にも残らず、当然話題にもあがらないということになります。


「批判」されても話題にのぼる「宣伝効果」をしっかり意識するということは、理解できても勇気のいることです。


その「サプライズ」を支える技術が孫さんにはあります。
大変シンプルな技術(技術というより方法と言った方がいいかもしれません)です。


それは「いいきり」です。

孫さんは、自分の考えを常に「いいきり」=「断定」口調で話されます。


これが「批判」の一因にもなるのですが、同時に「わかりやすさ」と「期待感」につながります。


日本の経営者の多いのは「いいきり」をせずに、常に「万が一」の逃げ道を用意して話すので「わかりにくい」のです。


これは経営者だけではなく政治家にもいえます。

「揚げ足」をとられないようにするあまり何が言いたいのかわからない。


わからない=イメージできない=行動しない。
わかる=イメージできる=行動する。

「行動する」には「批判」も含まれます。
それを恐れすぎると結局ポジティブな「動き」もおきません。


経営者の言葉とは「人を動かす言葉でなければならない」

孫さんはその点を実によく理解されていて、ワタシが見るに「確信犯」で「いいきり」を使われていると思います。


まさに「演出」です。


ツイッターで有名になった「やりましょう。」などは「演出」としては「凄い」のひとことです。


この短いフレーズでなにもかも「イメージ」できるという秀逸な「台詞」です。


もちろん、リスクの大きい「演出」であることは間違いありません。


孫さんの実績をもってしてでのことですが、それはまさに「本人の資質」です。


このバランス感覚こそが、傑出した「はなしかた」につながっているのだと思います。


「本人の資質」で言うと孫さんには他の人にな「ある」身体能力があります。


このことについては、まだ講座で触れていないのでそのときにお話したいと思います。


いずれにせよ、「いいきり」はきちんと使えば大変有効な「演出」となります。


「自分の資質」と「意図(やりたいこと、させたいこと)」を見極めて活用していただけると効果的です。


ただ。


リスクもあることは重々承知して頂いて。。

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