小泉今日子「あなたに会えてよかった」という畢生の名曲、小林武史のメロディ、ミスチル前夜的アレンジメント

小室哲哉
「あの、小泉今日子さんの「あなたに逢えてよかった」(原文ママ)って曲ありますよね。で、あれなんかは僕なんかからすると、すごくやっぱりコード的なものが、その、普通の概念のポップ、ヒットポップソングからは、やっぱり少しこう、ひねくれて、お洒落に作るっていうまあ言い方そういう感じかな。それが全編になんか色合いとして出てるなぁと思ったんですよ。」

(「TK MUSIC CLAMP」ゲスト:小林武史 1995年4月19日放送回より)

作曲者の小林武史との対談での小室哲哉のコメント。コード進行。

松崎真人「この曲がとっても珍しいのは、ずっとずっと3分くらい後に出てくる「大サビ」のコード進行がイントロに使われてるんです。このアイデアは当時、僕はビックリしました。改めて、そんな風に聴いてみて下さい。「♪思い出が星になる」のところがイントロに使われています。 」

(シンガーソングライター・松崎真人のラジオ『MUSIC☆J』2022年4月3日放送回より。)

構成。

方々で触れられている通り、凝ったつくりの曲だ。しかし、決して小難しさやわざとらしさを感じさせないメロディが載っている。分数コードと半音の響きはありつつも。

個人的に気になったのは、サビ、ヒラ歌、大サビ、すべてのメロディが一拍待って裏拍から始まること。16ビートへの目配りだろうか。

ノリ、譜割り。

そして、これまた小林武史によるアレンジメントにはミスチル前夜的な要素が多々。
硬質な、おそらくピック弾きのベースは、イントロの高音弦でスライドから入る部分、音の飛び具合からしてそれっぽい。スライドギターは、それこそデビュー曲「君がいた夏」からダブルミリオンヒット「名もなき詩」にも出てくる奏法。16分を強調するタンバリンもこれまたダブルミリオン「innocent world」等、多用されている。それからコーラスも…。

小泉今日子最大のヒットとなった当作で、小泉本人はこの年のレコ大作詞賞を受賞し、小林も編曲賞を受賞。ちなみに作曲賞は飛鳥涼(「SAY YES」「はじまりはいつも雨」)。

今回はあえて歌詞には触れない。


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