閉鎖病棟にしか、入院したことがない

精神科への入院経験

精神科病院に、3回入院したことがある。
3回とも、同じ病院の同じ病棟、急性期病棟だった。
急性期病棟、という公式名称はついているが、言ってしまえば
閉鎖病棟だ。二重に扉があり、看護師さんに開けてもらわなければ、
売店に行くこともできない。

しかし、一般病棟や療養病棟だと、症状の慢性化した患者さんの
病棟なので、私は急性期病棟にしか入院するつもりがなく、
主治医も、私が入院するとしたら急性期病棟、という判断をしている。

入院したからといって、ストレスがゼロではない

 入院すれば、ベッドが与えられ、基本的にそこを拠点に過ごす。
総室でも、カーテンでベッドはがっちり覆えるので、視覚的なプライバシー
は守られるが、音は筒抜けである。

去年入院してから、もうすぐ一年経つが、私は2回、病室を変えて
もらった。同室の人の症状発現に悩まされ、落ち着いて過ごすことが
できなかったからだ。
症状だとわかっていても、自分に向けられた言葉ではないとしても、
暴言を至近距離で聞かされるのには耐えられなかった。
最後の病室では、静かに休むことができた。

あとは、洗濯機の順番とりとか、女性の部屋に入ってくるおじいさんとか
(自分の部屋以外の病室に入ることは原則NG)、話しかけづらいのに話しかけないといけない看護師さんとか、いろいろ心をざわつかせる要素は
あった。
入院の利点は、日常生活の問題を置いておいて休めるところにあるが、
ストレスがまったくないわけではないのだ。

病院食のこと

三度の食事は、部屋で食べていた。
大半の人が、みんなで集まれる広いスペースで食べていたが、
自分のベッドの傍らに持ち込むことは許されていたので、
退院するまで私はベッドで食事を食べた。

困ったのが、病院食なのに塩辛いのだ。
味噌汁なんて、とても飲めないほどからかった。
なのに、人によっては自前のふりかけを用意していて、
「えっ、塩分大丈夫?」と思っていた。
食事が渡される場所に貼ってある献立表には、炭水化物量と
たんぱく質量は書いてあったが、食塩相当量は書いてなかった。
なんでだよ。

いろいろ文句は書いたが、基本的に食事は美味しかった。
一人暮らしだと、そんなに品数の多い食事をつくらないので、
毎日毎食、何品もある食事にびっくりしていた。
そして、毎日違う魚が出てくることにも。
退院間際は慣れたが、食事の豊かさには心底戸惑った。
食っちゃ寝生活だったのに、退院時は入院前より体重が落ちて
いたのは、栄養が整っていたからだと思う。
みなさん!栄養が偏っていると痩せられないですよ!

コロナ禍での入院

去年の入院は、コロナの影響で外出外泊がいっさいできなかった。
実は、それがめちゃくちゃよかった。
今までの入院だと、主治医の許可があった上で届を出せば外出外泊が
できたので、私は結構外に出て遊んでしまっていたのだ。
これでは、脳の休息と言う意味では、入院の目的が果たせなくなって
しまう。
いっさい外に出られなかったことで、自分と徹底的に向き合うしか
なかった。ノートとペンは手元にあったので、ひたすら胸の内を綴った。
あとは、カレンダーのページに予定を書き込んだり、入院中の支出の
計算をしたり。もともとそんなことをする時間が好きだったので、
ノートを持ち込めたのはよかったと思う。

入院はもうしない、とは残念ながら言えない

実は、今も私の脳の状態は良くない。
休息入院の話が出るくらいではある。
2回目の入院のあとは、
「入院がどんな感じかもうわかったし、入院することはもうないな」と
思ったのだが、12年ぶりに去年3回目の入院をしたときには、私の脳は
かなりのダメージを受けてしまっていた。
その状態を、今も引きずっている。

できれば、入院はしたくない。
しかし、入院したくなる瞬間はある。
入院はもうしない、とは残念ながら言えない。






記事がいいなと思っていただけましたら、サポートお願いします!いただいたサポートは、執筆活動を続けるために使わせていただきます!