貴方と出会えた奇跡を、かみしめよう。

　貴方と10年以上、言葉を交わしてこられた奇跡を、かみしめよう。

　何かが少しずつ違っていたら、出会うことのなかった私たち。

　何回向かい合っても、貴方に手は届かない。届いては、いけない。誰にも知られてはいけない恋。

　本当に、自分の命が絶えてしまえばいいと、何回も何回も思った。
この恋が、明るみに出ないために。

　貴方の左手の薬指の指輪。それは、私との指輪ではない。その事実に、心臓が引き裂かれそうな心地がする。

　でもね、大切な貴方の、大切なものを壊したり、絶対にしない。

　だから、この恋は、墓場まで持っていくよ。

　手放したつもりだった想いは、いつの間にか、私の中に戻ってきてしまった。

　ものすごく、苦しい。本当は、貴方に触れたい。一度だけでいいから。

　けれど、私の願いは、決して叶ってはいけない。貴方の幸せのために。

　あとどれくらい、貴方と言葉を交わせるかな。奇跡が続いていることが、
本当に幸せだ。

　お互い、今の立場でいれば、まだ貴方と会える。話せる。

　この幸せを、かみしめよう。