決して現在になることのない未来のなかで


マリのうまはしなやかにみずをはかっては蔓のさきへと羞恥を尖らせ、しろく熟したウリ科の性器が折れ込んでいるのを見出したが、半球の島々へと漕ぎ出すとき波の期待を調律することもなくなり、音叉はつぎつぎに感動を喚び起こす。露を媚びるような朝、うっかりして充血したまま粘膜が甘い動物臭を発散するので、とりの囀りはカーテンそのままに長く風向きが変わるまで競走馬のたてがみよろしく終わりたがらない。自由の選択によって全部から抜き出してきた記憶は、日向へ晒すまえの黒髪の束、他のひとよりも多くの湿気を含んでいる。「さちすてそたしつせと」ソドムやゴモラの倒錯したことばが、虫を惹きつけるための策略として両性の影を落とす。まだ匂うのだろうか。三叉路からあるいはもうひとつの月の途へと「ゆすらまち」あたりをゆび差しては、火のみずに惹かれる花が虻に挑む。


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