◆トリビュート中澤系~stylish century 2019◆(投稿原稿)

アニーリングの途中できみにキスをするOk,it's the stylish century/白井健康

 
「ぼくたちはこわ」     白井健康
 
一九九七年から二〇〇一年は日本がIT社会へと急速に変化していった。初めてWindows98のPCを購入したのもこの頃だった。歌集を読んで、違和感が残ったがそれがなんなのか掴めないままだった。今回、再読して気がついたのは、他者の視線が希薄だということ、中澤は他者と視線を合わせていないということだった。
○つぎつぎと真実映すカーブミラーにもひととき休止をくれよ
○ガラス越しにあなたは声のないじゃあ、ねを言って立ち去ったはず
仲間たちが見えない、カーブミラー越しに見ている世界、コミュニケーションではなく、言葉から遠いものを言葉で吐き出す。テクノロジーに夢を描けず、時間軸に意味を見出せない若者、劣化してゆく社会のなかで感情劣化の擦過傷に悲鳴をあげる。歌集最後の衝撃的なフレーズ「ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ」、壊れることでしか永遠を獲得できなかった中澤は、ずっとひとりだった。

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白井健康

短歌

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