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【おまけ】17を迎えた君を相変わらず俺は想う

ツイッターの診断メーカーで物語の書き出しと終わりのお題をいただけるものがあったので、
トライします。

お題

「ヤスタニアリサさんには「少しだけ期待していた」で始まり、「そして大人になってゆく」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば5ツイート(700字)以内でお願いします。」
#書き出しと終わり

少しだけ期待していた。
いつみが俺をデートに誘ってくれたから。もしかして手ぐらい繋げるかな、なんて思っていた。なんて思った俺がバカだった。

いつみとのデートが少女漫画みたいにキラキラしたもののわけがない。10分遅刻したいつみはジーパンにパーカー、ピーコートに赤いリュックを背負って登場した。足元は黄色のコンバース。それはそれで可愛いけど、デートだぜ?スカートぐらい履いてよ。

いつみは俺のダッフルコートの袖をぐいぐい引っ張って遊園地のゲートをくぐる。いつみには怖いものがないのか。乗るもの乗るもの絶叫マシンで、一息ついたら今度は歩き回るタイプのお化け屋敷に連れていかれた。

乗り物でもおばけ屋敷でもぎゃー!!と叫んだのは俺の方だった。空中三回転するジェットコースターで俺の隣に座るいつみは満面の笑顔できゃっきゃして、両手を高く上げて「やーい岳ちゃんのビビりー!」と叫んで奈落の底へと俺とともに落ちていった。

「いつみさん、いつみさんお願いですから先に進んでくださいお願いしますご飯奢りますから!」と言ったのはおばけ屋敷でのことだ。

「なんだよ岳ちゃん、私のこと全力でサポートするんじゃなかったっけ?」チラ見して言うといつみは「お昼ゴチになりまーす」と言いながら、華麗なスキップでおばけとハイタッチしながら出口まで進んで行った。やっぱり俺はいつみには敵わない。

最後に観覧車に乗ったとき、彼女は俺の隣に座って、
「見て、スカイツリー。今日は光青いね。きれい」と言った。

その横顔が本当に美しくて神々しくすらあった。今はまだ手も握れない。でもこれから金箔のような経験を幾重にも重ねて、

俺は、そして大人になってゆく。

(了)

岳ちゃんのお話はこちらから。
掌編小説ですが、よろしければどうぞ。

「1メートル先も見えない俺を色鮮やかに照らす光」

#小説 #岳ちゃんといつみのデート #タイトル定まらずごめんなさい

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