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舌切り雀とフラペチーノ

お伽話の舌切り雀の中には大きなつづらと小さなつづらが出てくる。
小さなつづらは金銀宝石が詰まっていたので、さらに欲張って大きなつづらを持ち帰ると中には魑魅魍魎または害虫が詰まっていた、という欲張るとろくなことにならないぞ、という教訓が込められている。

有名な話で結論を含めて何度も聞いたことがあるはずだが、子供の頃の私も大人になった私も間違いなく大きなつづらを選ぶ。スターバックスに行ってフラペチーノを頼む確率と同じぐらいと言っても過言ではない。

先週の水曜日は七夕だった。
七夕なんてもう何年もやっていない。田舎には笹の葉は至る所に生えていたがこちらではあまり目にしないし、織姫と彦星のデートに関係する天気予報にも興味がなくなっていた。娘の通っている保育園で『ご自由にお取り下さい』と書かれたバケツに笹が大量に入っているのを目にしてようやく明日が七夕であることに気がついた次第だ。

母子は家に帰って大量の七夕飾りを作った。
母は小学生の誕生会でよく見る折り紙で作った輪っか。娘は謎のコラージュ。
それだけでは何だか七夕っぽくないのでネットで検索しながら、七夕飾りを夢中で作った。

東京タラレバ娘娘シーズン2ので結婚で良かったことの一つが、『子供の頃楽しかった年間行事が復活すること』のセリフがあるが、確かにその通りだ。

好きな人や家族と一緒に何かを作るって結構楽しい。

問題は母は生まれついての欲張りで子はその母の血を受け継いでいること。
時すでに遅し。
ご自由にどうぞの笹は細めなのに、飾りをたくさん作りすぎたのだ。
全て飾りを下げた結果、飾りの重さで枝は軋んでしまった。

おしゃれ女性誌の7月号はきっと七夕飾りの写真が一枚はが出てくるだろうが、インスタ映えするシンプルでおしゃれなものが出てくるだろう。
少なくとも重さで枝が軋んでいるものは出てくるまい。
おしゃれ女性誌と言えば、1ヶ月のファッションコーデ特集企画がよくあるが、設定がぶっ飛んでいて面白い。冒頭で出会った元カレと1ヶ月後結婚したりしているが、見ているこっちとしては詐欺師に騙されちゃいないか、そんな短期間で結婚を決めて大丈夫か青くなりながら読む羽目になる。


次の日保育園に行くとまだ笹はまだ残っていた。本数制限はないようなので、もう一本もらってきて飾りを二つに分けた。それでもまだ飾りが多かった。
舌切り雀もびっくりの欲張り母子である。

何とか全ての飾りつけを終わり、自宅の排水管に縛り付けて自立させた。
おしゃれ女性誌の取材は来ない代物だったが、楽しかったからいいのだ。

短冊はなかったので、折り紙を細長く切ってそれっぽくした。
欲張り母は子供の頃短冊も山ほど書いていたが、肝心の願い事は月並みなもの一つだけ。

『家族みんなで仲良く暮らせますように』


少しは成長したのかもしれない。


#あなたは七夕に何を願う  

企画参加作品です。七夕も締め切りもとっくに過ぎてしまいましたが、、、

小さなつづらを手にできるよう頑張らなくては。。。


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