王家の宝石 | 8月の誕生石 - ハプスブルク家のペリドット
概要
ハプスブルク家が作らせたペリドットのティアラ、ネックレス、ブローチ、イヤリングのセット。
名称
THE HABSBURG PERIDOT PARURE
起源
オーストリア大公妃ヘンリエッテの持ち物であった
宝飾メーカー
A.E. Köchert
《余談》
この肖像画で有名なシシィスター(星形の髪飾り)を制作した、ハプスブルク家のお抱えジュエラーです。
こちらのメーカーでは現在でもシシィの娘の名前をつけたジュエリーを販売しています。
横道に逸れてしまいましたが、話をペリドットパリュールに戻しましょう。
歴史
① ヘンリエッテ・アレクサンドリーネ・フォン・ナッサウ=ヴァイルブルク
オーストリア大公・カールの妻。
カールは女帝マリア・テレジアの孫にあたるが、子供がいない親戚の養子となっていました。
②イザベラ・フォン・クロイ
①ヘンリエッテの孫。
今回ご紹介しているペリドットパリュールを最も多く身につけた人物と言われています。
ペリドットを身につけたイザベラ。
首飾りに下がっているしずく型のパーツは、取り外してティアラに装着可能。
(以前ご紹介したエメラルドのネックレスと同じパターンですね)
ちなみにこの方、大柄な体格から「バスのように大きなイザベラ」の意味で「ブザベラ(Busabella)」とあだ名されていました。
イザベラは、1916年に行われたハンガリー国王の戴冠式などでこれを身につけました。
③クーデンホーフ=カレルギー家
ボヘミア(現在のチェコ)の貴族。
②イザベラの夫が亡くなった後競売にかけられていたペリドットパリュールを購入しました。
再び余談ですが、このパリュールを購入したヨハン・エヴァンゲリスト・クーデンホーフ=カレルギーは、母親が日本人(クーデンホーフ=カレルギー光子・旧名青山みつ)。
パリュールは、ヨハンの妻亡き後 娘が相続。
娘はアメリカ人と結婚し渡米しますが、宝石を身につける事はなく、彼女の死後銀行の貸金庫からティータオルとキッチンペーパーに包んだ状態(!)で発見されました。
④フレッド・レイトン(ジュエラー)
可哀想な状態で発見されたパリュールを、オークションで購入。
2014年、コメディアンでTVパーソナリティーのジョーン・リバースがこれを借り受け、ゴールデングローブ賞の授賞式で着用しました。
ブザベラさんほど恰幅が良い方ならなんとも思わないですが、普通体型の方が着けると宝石の大きさが非常に目立ちますね…
(子供の握り拳くらいありそう)
⑤再び競売に
その後は、バラバラに買われたり売られたりして現在は行方不明。
世界中に散らばっていると推測されます。
一説によると、一部はブラジルの大金持ちが購入したとか。
故郷のオーストリアを離れ、遠い異国の地で新しい人生(?)を送っているのかもしれませんね。
今度はキッチンペーパーで包まれたりしてないと良いですね…
本日もご覧下さり、ありがとうございました。
[2022.9.13 追記]
クーデンホーフ=カレルギーミツコについて
③クーデンホーフ=カレルギー家の項で触れた、クーデンホーフ=カレルギー光子さんについて、チェコの日本語学習者の方が日本語で説明して下さっている動画があります。
相互フォローさせて頂いているチェコ在住のKaoRu IshiDaさんより教えて頂きました。
(ミツコさんの話は5分くらいの所です)
私のようにチェコの事をあまり知らなかった方にとっては、チェコと一歩距離を縮められるような動画だと思います。
ビデオの編集・イラストもKaoRuさんが手掛けられたとの事で、必見です!
アカウント名から、「世界史やり直し学習ノート」の看板を下げてみました。
字面が超シンプルになって、髪をバッサリ切った時みたいな、ちょっと変な感じかも?
記事の内容はこれまで通りですので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
参考
トップ画像
Wikimedia commons
・Screw it. I'm FIRECE
《 The Habsburg Parure- a four piece suite of peridot and diamond jewels by Köchert 》
・The Royal Watcher
《 Habsburg Peridot Parure 》
・The Court Jeweller
《 THE HABSBURG PERIDOT PARURE 》
・Wikipedia
《 カール・フォン・エスターライヒ=テシェン 》
《 イザベラ・フォン・クロイ (1856-1931) 》
《 クーデンホーフ=カレルギー 》
•ALEXANDER PALACE TIME MACHINE
《 Topic: Archduke Friedrich(1856-1936)and his family 》⠀
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