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流行りのヒアルロン酸塗ってほんまにきくんかいな?成形手術する上での注意点


ヒアルロン酸は、美容と健康の世界で非常に人気がありますが、その使用方法と効果については多くの疑問があります。これまで私たちは口から摂取するヒアルロン酸に焦点を当ててきましたが、今回は塗るタイプのヒアルロン酸について詳しく見ていきましょう。



1. 皮膚への「浸透」は困難

最初に知っておくべき重要な事実は、ヒアルロン酸が肌に「浸透」することはほぼ不可能であるということです。研究によると、皮膚の表皮では分子量が3000以上、真皮では800以上、血管では300以上の物質はブロックされることが分かっています。これは、ヒアルロン酸が肌の深層に浸透することを非常に困難にしています。

つまり

  1. 限定的な表皮への作用: ヒアルロン酸が肌の表面に留まることは、表皮(皮膚の最も外側の層)への一時的な保湿効果を提供する可能性がありますが、より深い層、特に真皮への直接的な効果は期待できません。

  2. 深層皮膚への浸透の難しさ: 真皮やその下の層への直接的な影響は期待できないため、しわの減少や肌の弾力性の向上など、深層皮膚の改善を目的とした効果は限定的です。

  3. 表面的な改善に限定: ヒアルロン酸は、肌の表面に一時的な保湿や滑らかさを提供することで、肌の外見を改善する可能性がありますが、この効果は一時的であり、長期的な肌の健康や若返りへの直接的な影響は限られています。

  4. 選択と期待の調整: この情報は、ヒアルロン酸を含む美容製品を選ぶ際に、どのような結果を期待するかを現実的に調整するのに役立ちます。表面的な改善を目指す場合は有効ですが、より深い皮膚の問題に対しては他の治療法や成分の検討が必要です。

  5. 追加成分の重要性: ヒアルロン酸が深層皮膚への浸透に限界があることを踏まえると、他の成分や治療法を組み合わせることで、より包括的な肌のケアを目指すことが重要です。

結論として、ヒアルロン酸は即時の表面的な保湿と肌の外見の改善には役立ちますが、深層の皮膚の問題に対しては直接的な効果は期待できず、他の治療法や成分との組み合わせを検討することが重要です。

2. 低分子ヒアルロン酸のリスク

さらに、低分子化されたヒアルロン酸(分子量が5万以下)も、肌への浸透性を改善するわけではありません。興味深いことに、ヒアルロン酸の分子量が癌のリスクにも影響を与える可能性があります。「Hippoシグナル経路」と呼ばれる細胞の増殖を制御するメカニズムがあり、この経路は細胞の増殖を抑える役割を果たしています。高分子ヒアルロン酸はこのシグナルを活性化するのに対し、低分子ヒアルロン酸は逆に不活化し、発癌を促進する可能性があるという研究結果もあります。


Hippoシグナル経路について

Hippoシグナル経路は、細胞の増殖、アポトーシス(プログラムされた細胞死)、組織のサイズと形態を調節する重要な役割を果たすシグナル伝達経路です。この経路は、特に発生生物学およびがん研究において注目されています。

基本的な機能

  • 細胞の増殖とアポトーシスの調節: Hippo経路は、細胞の成長を抑制し、適切な細胞数を維持するためにアポトーシスを促進することができます。

  • 組織のサイズと形態の制御: この経路は、動物の発達中に組織のサイズと形態を正確に制御するのに役立ちます。

ガンとの関連性

がん: Hippo経路の異常は、腫瘍の成長やがんの進行に関連していることが示されています。この経路の抑制は、がん細胞の増殖と生存を促進する可能性があります。


3. 医療用途での慎重な使用

しわ取り、豊胸、関節内注射などの医療用途で使用される高分子ヒアルロン酸にも注意が必要です。炎症がある場合、高分子ヒアルロン酸は低分子化しやすく、これが潜在的なリスクを高める可能性があります。したがって、医療分野でのヒアルロン酸の使用には慎重さが求められます。


炎症があるときに高分子ヒアルロン酸が低分子ヒアルロン酸に分解される理由は、主に炎症反応に関連する酵素の活性の増加によるものです。ここでの主要なプロセスを簡単に説明します。


炎症とヒアルロン酸の分解

  1. 炎症反応の活性化: 炎症は、体が感染や傷害に反応する免疫システムの一部です。この反応は、さまざまな細胞タイプや化学物質を活性化し、組織の修復や感染の排除を促進します。

  2. 酵素の放出: 炎症が起こると、体はヒアルロニダーゼなどの特定の酵素を放出します。これらの酵素は、高分子ヒアルロン酸を分解し、より小さな分子に切り分ける能力を持っています。

  3. 高分子ヒアルロン酸の分解: ヒアルロン酸は、その自然な状態では非常に大きな分子です。しかし、ヒアルロニダーゼのような酵素の作用により、これらの大きな分子はより小さな断片、つまり低分子ヒアルロン酸に分解されます。

  4. 低分子ヒアルロン酸の効果: 分解された低分子ヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸とは異なる生物学的特性を持っています。例えば、炎症反応をさらに促進したり、細胞の挙動に影響を与えることがあります

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