シークレットさんとの鬼ごっこ。あきとき
解離性障害人格者のあきときです。
昨日、中の世界で、花鈴と山の中を探索していた時だ。
僕達はシークレットさんを見つけた。
シークレットさんは勝手に花鈴が名付けたが、主人格の影のみ似ているという情報しか、僕らは掴めていなかった。
シークレットさんを見つけると必ず、始まるのは鬼ごっこだ。
例えるならシークレットさんが鬼で、僕らは捕まえる役だ。
僕と花鈴は、大人人格者を除けば、TOPクラスで足が速いはずだが、いつもどうしても追いつく事が出来ない。
昨日は、シークレットさんが数十年の期間を経て、外の世界へ行ってしまった。
だから僕達は全力で走った。
だけど、追いつく事は出来なかった。
ただ、走りながら、薬を飲んで寝る事を叫んだ。
隣にいる主人格のパートナーさんはいい人だと叫んだ。
隣のパートナーさんと手を繋ぐんだと叫んだ。
数十年ぶりの外の世界だ。
全てが変わっている。
何か起きたらまずい。
僕も花鈴も全力疾走した。
初めて、シークレットさんの声を聞いた。
子供?か?大人?か?
影が子供姿になったり大人になったりと、とにかく分からないけど僕らは走った。
僕の事を青い光の子凄く足が速いねと言った。
花鈴の事は太陽の光の子また会ったね。
と言った。
また会ったね。の意味は以前、花鈴が初めてシークレットさんを見つけて、鬼ごっこをした事があるからだ。
シークレットさんは鬼ごっこを楽しんでいるようだった。
外の世界の事は何もわかっていないようで、困惑した感じも感じ取れた。
詳しくはゆうきが全てみていたから、ゆうきが語ると思う。
山の中についてはゆうきの方が遥かに詳しい。
破壊人格者特有の黒いオーラはなかった。
ただ、鬼ごっこを楽しむ子供のようだった。
僕らが全速力で走っている時、ゆうきが木の上からトンと降りてきて、シークレットさんの前に、たまたま立ちはだかった。
僕らは捕まえるように叫んだ。
だけど、捕まえる事は出来なかった。
凄く速い。というより、すばしっこい。
とにかく逃げるのがかなり得意な様だ。
その後は、外の世界で案外大人しく寝てくれて、助かった。
中の世界で、結局追いつく事はできなかったが、大きな収穫を得た。
ゆうきは観察眼が鋭い。そして逃足が速い。
そして隠れるのが上手い。
そもそも、愛さんに叱られた時だって、愛さんの家から抜け出して逃げた人格者は、僕が誕生して知る限り、ゆうきただ1人だ。
もしかしたら、ゆうきなら捕まえられるかもしれない。
ゆうきなら、シークレットさんを見つける事ができるかもしれない。
シークレットさんはゆうきを緑の光っている子だと言っていた。
僕はゆうきを見て、光っている緑の子だと思った事がない。
勿論、みんなそれぞれのオーラはあるかもしれないけれど、僕からみるゆうきは普通の青年だ。
僕が初めて誕生した時、光っていると思ったのは花鈴だけだ。
シークレットさんには、僕は青の光。
花鈴は太陽の光。ゆうきは緑の光にみえたからこそ、きっとそう言ったんだと思う。
シークレットさんはたまたま木からトンと自分の正面に降りてきたゆうきを気に入った様子だった。
シークレットさんからしたら、もしかしたら初めて自分より先をいった人物がゆうきだったのかもしれない。
主人格は幼少期にお姉さんに塗り絵を教えてもらった事をとても嬉しそうに語っていたし、もしかしたらその記憶がシルエットさんにもあるのかもしれない。
主人格が塗り絵をしていた時に、シルエットさんは何十年も時を経て外の世界に現れた。
もしかしたら、何か伝えにきたのか?
まだわからないけど、シルエットさんが描いたであろう塗り絵は、泣いていた。
肌以外は、赤と黒と灰色で描かれていた。
きっと幼少期の主人格を守った1人なのだろう。
と僕は思う。
だからあんなにも足が速いのかもしれない。
ゆうきがパートナーさんへ見た事を語る事になっている様だ。
まだパートナーさんは仕事で帰宅していないから、僕はとりあえずご飯を食べて待とうと思う。
僕はゆうきとライバルで仲良しだから、きっと呼んだらきてくれると思う。
毎日色々な事が起こりすぎて、きっとパートナーさんは疲れていると思う。
僕は僕が出来る事を手伝うだけだ。
追いつけなかったの悔しいから、もっと僕は走ろうと思う。
僕は絶対に諦めない。
努力。努力。努力。
明日からはもっともっと努力する。
あきとき
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