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25歳になった日に書いたあれやこれや

今日で25歳になったらしい。

朝からいつも通り働いた。ちょっとうそ。涙流しながらパソコンと睨めっこしたけど、午後から体が動かなくなった。いつものことすぎて、申し訳なさで胸がいっぱいになった。

本当は、今日は海に行きたかった。

夏の海は騒がしくて嫌いだ。冬の海も凍りつきそうで嫌いだ。だけど、もしも私が死に場所を選べるのなら、うんと寒くて、寂しい、誰も知られないような海がいい。いつしかそんな思いがある。

苦しげに息をするくじらが、一頭、また一頭と沈むのは、痛々しかった。今そこにある命が明日にはもうないかもしれない現実、それがブラウン管の向こうから生々しく伝わる。
汚れ一つない真っ白な氷の間から覗く海の青は、底なしに暗い。
それは芦沢理帆子の好きな色だ。 

『凍りのくじら』辻村深月先生より

先に断っておくが、このnoteは「誕生日だから祝ってほしい」とか「感謝を述べたい」とか、そんな綺麗なものではない。25年間過ごした私にこびりついた生と死について、ダラダラと述べたものにすぎない。(苦手な人は、ここで離脱をしてほしい)

四半世紀も生きてこれた自分に、心底驚いている。11歳の頃の私は「もう明日なんて来なくていい」と願いながら夜を過ごし、16歳の頃の私は「ここで息を吸うだけで痛い」と感じながら、とにかく痛みが少ない場所を目指した。

だからか、あと数年生きられたらマシという考えがこびりついている。11歳の頃は、明日生きているかわからなかったし、16歳の頃は、大人になれるなんて思っていなかった。今でも、「未来で生きている自分」というのがイメージしにくい。

ワークショップで「普段仕事で短期視点になっているのを、長期視点に変えるために50歳・60歳になった自分を想像しましょう」というのがあったが、全くもって実感が湧かなかった。

友人はよく言う。「死ぬときは、孫とか家族に囲まれていたいでしょ」と。その感覚が、ずっとわからない。なぜ老いてから死ねると思っているのか。数年後、数ヶ月後、生きるための炎が消えてしまうということは考えないのだろうか。

働き始めてから、やっと1年後何がしたいかとかは言えるようになったが、3年後、5年後とかは生きている実感が湧かない。ずっとそうやって生きていくのだろう。

わたしがいない世界を
上から眺めていても
何一つ 変わらず回るから
少し背中が軽くなった

『帰ろう』藤井風より

数年前、今の先生に初めてカウンセリングを受けたとき「つじのさんは、まったり死にたい系ですね」とニコニコ言われた。なんだか自分の本質を握られた気がして、ドキッと冷や汗をかいた。だけど「ここにはそんな人いっぱいいますからね、大丈夫ですよ」と言われて、安心したのを覚えている。

日々、さまざまな選択をして生きている。ご飯を食べるか、パンを食べるか。私はそのなかにいつも「死」といカードが存在している。どうしても、選択をするときに、ちらついてしまう。しかもやっかいなのが、心の余裕がないと、そのカードが迫ってくる感覚がする。呼吸が苦しくなる。

「まったりと死にたい」というわたしの個性は、そろそろ重症なのかもしれない。

だけどわたしはSukoshi・Fuzai(少し不在)だ。いつでも。
場の当事者になることは絶対になく、どこにいてもそこを自分の居場所だと思えない。それは、とても息苦しい私の性質

『凍りのくじら』辻村深月先生より

数ヶ月前、トラウマ療法を受けた。そのときカウンセラーさんが、「昔のあなたにとってそのカードは、命を守るものであって、大事なものだったのかもしれないです」と言ってくれた。

まだまだこのカードとの付き合い方がわからない。現に、ここ数週間心のHPが削れる出来事が起き続け、カードも迫りに迫り、体調を崩してしまった。薬を飲んで、寝て、少しだけ人と話してを繰り返しても、「なんでわたしが生きてるのだろう」と涙が溢れてしまう。どうすればいいのだろうか、わからない。

曲がりなりにも、つぎはぎだらけの、生きる意味をいっぱい作ってきた。「生きていてほしい」と思える友人に、不幸が降らないよう、祈りながら寝た。友人でも、恋人でもなく、関係性に名前がなくとも、「あなたがどうしようもない絶望の渦中にいたら、どんな場所にかけつけよう」と決め、どんなに貧乏大学生だったとしても10万円は貯金をしていた。本人には伝えなかったけど、そんな思いが支えになっていた。

俺とは正反対だったから、いいと思ったんだ。こいつと友達になって、俺に巻き込まれてもらおう。こんな真面目ないい奴を巻き込むんだから、取り返しのつかないことだけは絶対にしないって決めた。

『子どもたちは夜と遊ぶ』辻村深月先生

いつか平気になるときが来るんだろうと思っていた。だけど、そうはならなかった。知らない人に怒鳴られたり、大切な人からひどい言葉を投げつけられたり、仕事で失敗したりするたびに、重く深くなっていく。傷つくことからは、人生避けられないことを知った。

いつか絶対に平気になる。僕たちは、どこにでも行けるし、変わっていく。僕には言える。いつか、絶対に平気になる日が来る。

『ロードムービー』辻村深月先生

答えはまだでない。きっとずっとでないし、この気持ちも変わらない。ときどき、平気にはなるだろうが、またダメになる。きっとその繰り返し。

だけど、もう明日なんてこなくていいと願った少女の頃の私と、息が吸いやすい場所をひたすら目指した少年の頃の私に、「25年も生きたんだよ」と伝えてあげたい。

今日は、そんな彼女・彼を抱えて眠るだろう。癒えることはなくとも、抱き抱えるくらいできるだろう。

「FLY ME TO THE MOON」
私を月まで飛ばして。

『ロードムービー』辻村深月先生

いつか、私も月までいけたらな。

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