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コミュニケーションで大事なこと(10)

 10月18日放送のNHK「クローズアップ現代」をご覧になれた方から・・・たくさんのメッセージをいただき、ありがとうございました。(何となく・・・放送が終わった直後に一気にメッセージが届くと思っていたのですが、1週間経った今も届き続けているので、この場も借りて御礼したいと思いました)

 皆様からいただいたメッセージは、私が今後も高経年要支援マンション救済活動を続けるための大きな励みになりました。微力ながら・・・今後も活動を継続していきたいと思います。

 重ね重ねになりますが、本当にありがとうございました。

 さて、前回は・・・「ひのなおみさんのインタビュー秘話」を通して、「聴く」ことで得られる効用について考えました。

 今回は・・・私の体験(=先日開催されたPマンションの「委員会にオブザーバ参加されたSさんの話」)をお送りします。


本シリーズのブログはこちら・・・
  コミュニケーションで大事なこと(1)
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コミュニケーションで大事なこと(2)
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コミュニケーションで大事なこと(3)
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コミュニケーションで大事なこと(4)
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コミュニケーションで大事なこと(5)
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コミュニケーションで大事なこと(6)
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コミュニケーションで大事なこと(7)
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コミュニケーションで大事なこと(8)
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コミュニケーションで大事なこと(9)

Pマンション Sさん委員会出席された話

 そもそも今回のシリーズを取り上げたきっかけは、(建築士による「工事監理者」を含む)大規模修繕工事の施工側(=施工会社の「現場代理人」をトップとする現場施工チーム・・・住民との窓口は「現場代理人」)とSさんのコミュニケーションが上手く行かず・・・相互が不信感でグチャグチャになったことでした。
 そんなSさんが、2022年9月に行われたPマンション管理組合の修繕委員会に出席されました。

Sさんのおさらい

 Sさんは、Pマンションの居住組合員(=居住区分所有者)で、とても正義感が強い真面目な(真面目過ぎる?)方だと思います。
 Sさんは、大規模修繕工事中に自宅のバルコニーで行われた工事の不具合箇所を手直しをしてもらった中で、工事の方法や施工会社の体制や誠意的な所に(素人ならではの)疑問を持たれました。

 そして・・・その疑問について(納得がいかないので)書面(数十枚の工事不具合写真を含む)を作成し、施工側に話をされに行きました。
 しかしながら・・・素人視線の的外れ&致命的でもない些細なミスを重大事件のように長々と繰り返し指摘されたことで困惑気味(手に余る感じ?)の施工側による対応に納得されなかったようです。

 「適当にあしらわれてクレ―マーのような扱いを受けている!合点がいかない!」と不満を募らせておらえました。
 不満が募れば募るほど・・・Sさんは、同じ指摘を繰り返してしまわれます。猜疑心もドンドン強く大きくなっていかれたようです。

 そしてついには「あんな施工会社に工事を任せて大丈夫なのか?きちんと工事されたのか?失敗だった!」と意識が凝り固まってしまわれました。
 そんな自分の危機感を共有したい!そんな思いからか・・・Sさんは、私(=委員会のサポーター)と修繕委員長のⅠさんに面談の申し出をされました。

 その申し出を受けて・・・8月に行われた修繕委員会による大規模修繕工事の竣工検査(=マンション中をチェックして歩き回るので超疲れた)後に、Sさんとの面談(1時間半~2時間くらいお話を「聴いた」かな?)が行われました。(詳しくはコミュニケーションで大事なこと(1)からご覧ください)

そしてSさん登場!

 9月の委員会が開催され、大規模修繕工事の総括が行われました。
 大規模修繕工事を請負った施工会社の「上席者(役員)」や「工事監理者」からPマンション管理組合に「竣工図書」が引き渡されました。
 ・・・この時の委員会って「長かった大規模修繕工事がこれでやっと終るね!マンションきれいになったね!良かったね!」というご苦労様ムードに包まれることが多いのですが・・・

 そんな委員会にSさんがオブザーバ出席されました。

 私と委員長のⅠさんがSさんのお話をうかがった時に「9月の委員会が○○日に開催されます。もし良かったらSさんにも委員会にご参加ください」と案内をしたことを受けてのご参加だったのですが・・・
 現れたSさんを見て施工会社や工事監理者は、ホント嫌な顔をしてました。

Sさん節炸裂~!

 委員会で発言の機会を得たSさんは、私と委員長のⅠさんに長時間かけて行った(たぶん何度も施工会会社や工事監理者にも行った)説明をし始められました。
 その中では・・・(何度も繰り返されたと思われる)施工側とのバトルも繰り広げられようとしていました。

 施工会社や工事監理者からは、「それは手直し終わってますよね」とか「それはどうしても避けられないことだと説明してます」とSさんに応酬・・・
 それに対してSさんは「受け入れられない!不満だ!不安だ!」の一点張り・・・「いやいや結果ではなく、工事の過程や施工会社の体制に問題があるのでは?と指摘している・・・工事連絡ポストに投函した質問状の回答ももらってない」と負けてません。
 両者も一歩も譲らない感じで・・・「こりゃ、着地点は無いなあ」という感じでした。

 Sさんと施工会社と工事監理者との間でバトル?が勃発して10分くらいは、静観していたのですが・・・
 委員会の貴重な時間をこれ以上この時間に費やすのは如何なものか?といった空気が漂い始めました。

ついに私も参戦??

 「Sさん、今日の委員会に参加してくださり、ありがとうございます。でも・・・今話されているのはお話は、先月にI委員長と伺った話ですね。私もIさんもSさんのお気持ちは理解しているつもりです。それは、この委員会でも共有していることです。皆さんは、マンションのことを真摯に考えておられるSさんのことを有難い存在だと思っています」
 「質問状の内容は分かりませんが、施工会社として回答ができることは回答されるだろうし、できないことは『できません』と返事があると思います。もう少しお時間をあげてください」

 「この前もお話しましたが、多数の職人が手作業で工事を進める『大規模修繕工事』は工業製品ではありません。またその工程もとても複雑です。工事品質に大きな影響を与え得る重大なエラーは論外ですが・・・些細なヒューマンエラーは、かなりの高確率で起きると思います。
 そうしたエラーが何故起きたんだ?という原因追及も大事ですが・・・今は、例えば『将来に見つかるかもしれない不具合をどんな対応でいつまでに手直ししてもらえるのか?』といった、未来に向けた話し合いの方が私は大事だと思いますが、Sさん如何ですか?」

 「それより何より・・・今は半年間の長きにわたって行われた大規模修繕工事がやっと終わったタイミングです。今はそれを喜びまえんか?」

 バトルの間に入って・・・私は、Sさんにそんな話をしました。

その結果・・・

 その直後・・・Sさんは「(谷さんがそうおっしゃるなら・・・)分かりました・・・」と、鉾を鞘に納められました。
 これでSさんの不満が解消した訳ではないのだろうけど・・・とりあえずは納得されたと感じました。

 施工会社や工事監理者が同じようなメッセージを発しても火に油を注ぐが如くで逆効果だったのに・・・私の発言1つで一気に鎮火した感じだったと思います。

 これも話を「聴く」ことで獲得できたSさんとの信頼関係だと思うのです。
 施工会社や工事監理者が取って来た(相手に対峙して)「聞く」スタンスでは・・・いくら会話(キャッチボール)しても相互信頼を得るのは難しいのでは?と思いました。

 次回は、本シリーズをまとめたいと思います。  (つづく


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