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自分が嫌っていたはずのもの

君たちはどう生きるか


観てきました!


なんだ?これ?めっちゃおもしろい!?え?作画ヤバ!?絵がうま!?!?映画館で私以外誰も泣いてない!?嘘でしょ!?は???


すごすぎて意味がわからないです…


見終わったあとに、私は『わかるよ』アンタの伝えたかったこと……と、謎に理解者面していました。みんなこうなったよね?


そもそも最初からエンジンがかかりっぱなしで、眞人の母親がいる病院で火が上がったときの作画がすごくなかったですか?眞人の焦燥によって周囲の人々が切れ切れになっている作画や炎の恐怖が迫る描き方がすごすぎてその時点で泣いていました。あと、青鷺不思議〜?から、いや、キモいな…めっちゃキモい…と、思っていたら最後にはコミカルで愛らしい存在に感じていたので人物背景の存在って偉大ですね。(菅田将暉さんってマジ?)


わらわら可愛くないですか!?

わらわらが眞人の手から空に上がっていくシーンにて、彼に対して手を振っていたのとたくさんのわらわらが連なってDNAみたいになっていたのに対して、生命の根本的な愛らしさ、かわいらしさみたいなものを感じて、自分の感情の中の抗えないものを感じました。

大きな魚を眞人の手で自ら捌くシーン(わらわらは腸を食べるっぽい発言有)、わらわらがヒトになるため空に上がっていくシーン、それをペリカンが食すシーン、ペリカンがヒミに追われて死に向かうシーン。短い場面で生と死がこれだけ描かれているのってすごいですね。それも不快感なく、美しさだけを残して。


終盤のインコがぎゅうぎゅうな屋敷のシーンで思い出したことがあるので2つ挙げます。終盤にかけての建物の描写や雰囲気が全体的に漫画版ナウシカのピラミッド内部を思わせました。おそらく特に意識したわけではないと思いますが、大叔父様に会いに行く三角の通路がかなりジェームズ・タレルのアートだと感じました。直島の地中美術館で実際にあのシーンに近い体験ができるので行ってみてほしいです。下記画像の三枚目の画像の青枠に入っていく体験ができます。


一番衝撃が走ったシーンが、ヒミと眞人の別れ際のシーンです。扉を開ければヒミは将来的に火事に巻き込まれて死んでしまうことが伝えられながらも、ヒミは眞人を産めることを心から喜んでいて、火は好きだから怖くないと伝え、彼を「いい子だな」って抱きしめたシーンです。(この時点で号泣していたので若干前後が違うかもしれませんSorry)あまりの衝撃と感動で涙が止まらなくなってきました。壊れかけとはいえ、こんなにも美しい世界をあっさりと捨ててしまえるヒミの心が美しく好ましいと感じました。大きなアガペーがそこにあって、言葉にできない大きな感情の波がそこにありました。おそらく、納得できない人や理解できない人もいるとは思うし、そこまでこの作品のテーマをわかりやすく伝えてくれなくていいよ。と、言う人もいると思うのですが、これまで生命の循環を描ききってくれたこと、作画と演出と音楽の説得力、あいみょんさんの真っ直ぐな芝居に泣かざるを得なかったです。

TENETでも似たようなことをニールが語っていましたが、すべての結末は決まっているけれど、その結末にどう向かっていくかは自分次第で変えていくことが出来るんだというメッセージが伝わってきました。かなりそのことを分かりやすく噛み砕いて作品にしてもらったんだなと感じます。


大叔父様に眞人が友達をきっと作ると宣言していたのが大きく印象に残っています。大叔父様は理想的な平和な世界(人間がほぼおらず、美しい生命の循環がある平和で不安定な世界)で生きることを選んだけれど、それは結局、大叔父様が認めたものしか入れない閉じた世界であり、本当は今この瞬間を他者と互いに認め合いながら生きていかなければならないんですよね。(有限なのか無限なのかにとらわれることなく今この時を)そのことを選び取った眞人が強く印象に残っています。


私が個人的に忌み嫌っていた。嫌おうとしていた。(妊娠や出産、安易に母と子の関係を示した作品)が尊く美しく感じられました。そのことに少し戸惑ったまま今は過ごそうと思います。

嬉しすぎます!