専業主婦やってみた その1

2020年3月、 コロナが勢いを増していく中、契約社員として働いていた仕事が期間満了となり職を失った。本来は秋までの契約だったが、半年早く辞めることになった。退職する少し前に課長に呼ばれ「人員配置の都合で半年早く辞めてもらえないか、任期満了扱いにするから」と打診された私は、すんなりOKした。必要とされていないと言われているようで、ちょっともやっとはしたが、正直早く辞めたいと思っていたので、自己都合でなく辞められることになってラッキーという思いもあった。

子育てもそろそろと卒業だし、コロナが落ち着いたら、フルタイムで頑張ってみようかなという思いもあり、腰を落ち着けて職探しをすることにした。
ところがその頃から感染者数は右肩上がりに増加を続け、第6波が終わったら、第7波…気がつけば私は、決断したわけでもないのに専業主婦になっていた。
普通は専業主婦と言えば、朝夫や子供たちが通勤、通学で家を出たら、彼らが返ってくるまでは自由時間というものだが、この時期は違った。夫の在宅ワークが始まり、会社に行く回数が激減し、子供たちの学校もオンライン授業が導入され。。つまり、私は一人になる時間はほぼゼロ、しかもそれまで家に居なかった人たちが、全員、家から一歩も出ない異常な生活が始まったのだ。自分以外だけでも3人分の昼食の準備が新たに加わるという、ちょっとした修行である。街には未知のウイルスが蔓延しているため、家事が一段落したら、ちょっと出かけてコーヒーでも、なんてことも一切できない。

夕飯後、家族がそれぞれの部屋に行ってからようやくゆっくりできるので、もともと夜更かしの私の生活はあっという間に昼夜逆転した。一日中家に居て運動不足の上、明け方までテレビやスマホ三昧、布団に入ったら今度は昼過ぎまで起きない、なんて優雅な恐ろしく不健康な毎日を送っていた。
(次回に続く)

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