時間を掛ければ誰でも上手くなるのか?
先日、ネットのある記事に対しての意見について、考えさせられることがありました。
職人的な仕事に対して、そればかりに時間をかけているのだから、上手く出来るようになって当たり前だという意見。
皆様は、どう思われますか?
私の個人的な意見としては、時間を掛ければ誰でも上手くなるというのは、ちょっと違うのでは?と思います。
私の仕事も、歯科治療という職人的な要素が大きく占める仕事でした。
もちろん私もその当事者でしたし、多くの歯科医の技術も、ずっと間近で見てきました。
経歴が長い=上手く出来る
ある意味、時間をかければ、誰でも【今よりは】上手くなると思います。
しかし残念ながら、長くやっている人が単純に技術的に上手いかというと、それは違うと思います。
日本における一般的な歯科医院の特性としては、色々な歯科治療をしなければならない『何でも屋』の側面があります。
歯科治療は、そこが難しいのですが。。
虫歯の治療もするし、歯を抜くこともあるし、入れ歯の治療もする。
これらの治療は、一つの口の中で総合的に捉えなければならない学問である一方、それぞれの治療に対する技術はまた違っています。
技術面だけで言えば、ここは下手だけど、あれなら上手くできるという歯科医もいます。
というように、ちょっと複雑な面もありますが、はっきり言って全般的に上手くない人もいました。
一般的に熟練している時期であろうと思われる40~50代くらいでも、です。
逆に、若くても大変上手い人もいるし、歳をとっても高い技術をキープしてる人もいました。
例えば、いくら運転歴が長くても、下手な人は下手です。
自宅の車庫入れなのに、一向に上手くならない人もいますよね。
下手な理由も色々ありますが、このような差があるのは、ある意味仕方ないと思います。
人のことばかりではいけないので、私の話もしておきます。
正直に言って、私は外科処置が好きではありませんでした。
ものすごく不得意というわけではないですが、明らかに私より外科処置の上手い人が沢山いると、はっきり理解していました。
そして、ある頃を境に私は外科処置を人に頼むようにしていきました。
いわゆる大学病院や総合病院、その他、私の診療所の近所でも外科処置の上手い歯科医などに積極的に紹介するようにしたのです。
このようなことができた理由の一つは、とんでもなく沢山の歯科医が東京にいるから。
単純に母数が多いので、下手な歯科医も沢山いるけど、ある分野ではとても上手い歯科医も沢山いるのです。
田舎で歯科医をやっていたら、自由に選ぶなど簡単なことでは無かったでしょう。
自分の不得意なことは得意な人にお願いできて、自分の上手くできることに集中する。
そのように考えられたのは、環境に恵まれていたからでした。
技術職に関して考えるのは、あらゆるパターンについて述べなければ、大きな誤解を生むようなテーマかと思います。
こんなに簡単に、一概に言えることではありません。
もっと詳しく深く考えなければなりません。
またの機会に話したいと思います。
新しく本を出版しました。
歯科医院選びの参考にして頂けましたら幸いです。
最後まで、お読み頂きまして、ありがとうございました。
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