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初めて会ったときはJリーガーだったのにね


 ネットカフェに駆け込んで、勢いでこのnoteを書いている。

 2019年1月7日をもって、J2徳島ヴォルティスの井筒陸也選手が引退しました。24歳。大卒から、プロキャリアは3年間でした。

 ここ1年弱くらい、僕は井筒さんを追い続けていました。

 その縁あって、引退を決めた理由などインタビューしたので、よかったら読んでください。リリースのコメントもなかなかぶっ飛んでいるけど、この人は自分の言葉を持っているところがよい。


ちなみに、去年にもインタビューしました。


 以下、井筒さんを取材してきた身としての心境を殴り書きます。

 まず今回、新たに取材した記事だけでは書き表せない部分が色々あり、それはひとえに僕の力不足ではあるんですが、少しでも本意が伝わるようにしておきたいな、と。

 井筒さんは「プロサッカー選手」を引退します。リリースのなかでも「プロサッカー選手を引退」という表現をしています。「現役引退」という表現が一般的だとは思いますが、井筒さんは徳島を辞めた後も関東二部リーグのCriacao Shinjuku(クリアソン)でプレーは続けます。社会人チームなので、プロではなく、アマチュア選手になります。

 サッカー選手としてお金を稼ぐプロではなくなるけど、選手としてプレーは続ける。だからこそ「プロ引退」という表現にこだわっていました。「クリアソンでプレーするなら、引退してないじゃん」という指摘も見かけましたけど、こういうのは話の解像度が違うので噛み合わないだけだと思います。

 記事を一緒に作りあげていくなかで、井筒さんはそういう細かな表現を大切にしていました。そんなことは別にどうでもいいよって人は、このページをそっと閉じてもらえたらと思います。

 引退を決意した理由等々は僕がしたインタビューだけではなく、その他にも色々な媒体で出ているので見てみてください。




変な人見つけた

 そもそも、どうやって出会ったんだっけ。

 最初に井筒さんを知ったのは2018年2月20日。いや、その前から存在は知ってました。意識し始めたのがこの2月。彼がnoteを始めたときで、印象は「変な人見つけた!」でした。

 それから3月の終わりには初めて東京で会うことになります。


<取材記事・前編>

<後編>


 一度、取材をさせてもらってからは結構な頻度で会っていたと思います。

 時にはやたら日差しの強く当たるカフェで、時には百貨店の中にある薄暗い喫茶店で。彼が立ち上げたオンラインコミュニティ「Ziso.(ジソ)」についてなど話しました。二回目に会ったときかな。渋谷の街をプラプラと話しながら歩いたのがやけに記憶に残ってる。この記事のカバー画像のクレーンはまさにそのあたりにあるやつ。


 でも、最初にコンタクトをとったのは、実は取材依頼などではなく、全く別の方向から。

 井筒さんのツイートに対し、NewsPicksでゼミもやっている予防医学博士の石川善樹さんが「対談しませんか?」と呼びかけていて、そこに「見たい」と合いの手を入れました。模範的な野次馬です。


 そうしたら、石川善樹さんから「対談のコーディネートしてくれませんか?」と連絡がきました。どちらも面識なかったけど「わかりました」と言ったら、結果として今につながってるんだからとりあえず言ってみるもんだよね。

教訓:「コーディネートは、しろ」


 ちなみに、この二人の対談はNIKKEI STYLEで公開されています。僕は本当、最初に声を掛けただけ。コーディネーターというより、声掛け役です。声を掛ける仕事、ください。


 石川善樹さんが出てくる記事は以前からよく目にしていて、確かこのころちょうど著作を読んでいたこともあって、すごくタイムリーな事象だったんですよね。

 井筒さんにしてみれば、見知らぬ石川(遼)さんから「石川(善樹)さんが対談をしたいそうなのでやりませんか?」と、DMが届いたんだからそこそこ困惑したでしょうね。



 思えば、初めて会ったときから「プロを辞めるかもしれない」ということは聞いていました。もちろん、それが2018年限りでということは知らなかったし、あのときは本人のなかでも結論は出ていなかったと思います。

 でも個人的にはそれを聞いて、今年で辞めるんだろうと想像していました。辞めたほうがいいと思ったわけではないですが、辞めないでほしいとも思いませんでした。ただ、そこの決断を促すような言葉をかけたつもりもありません。もとより人の言葉で何かを決めるような人間ではないでしょうけれど。

 辞めたら辞めたで、この人は何か面白いことをやるんだろう。そんなことしか考えませんでした。そして、実際にそうなった、というだけのことです。

 辞めると聞いて、驚くほど「驚き」という感情は生まれず、「そうなんだ」とだけ言いました。いや、まあ本当にそう言ったかどうかは覚えてないんですけど、思いはした。

 初めて会ったときはJリーガーだったのにね。今はもう違うのか。

 でも、井筒さん、初めて会ったときも24歳だったけど、あれからこれだけ色々な変化があったというのに、あなたまだ24歳じゃん(2月10日生まれ)。時空を歪める、みたいなこともできるんでしたっけ?

 井筒さんの言うことや、やろうとしてることって、賛否両論あるはずなんですよね。でも、本人がそれを自覚しているし、賛否両論を折り重ねるようにめちゃくちゃ考え抜いているんですよ。それに対して、思いつきのような他人の意見が入り込む隙があるわけないじゃないですか。

 そもそも、賛否両論を生む行為自体に価値があると思うんですよ。頑張ってほしい。ただ、それだけ。

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