鶴はこの辺で


妹の子供のはなちゃんが4歳の頃だったと思う。
はなちゃんと2人で、バスに乗って駅の近くの
図書館に行った。
結構たくさんの子供向けの絵本があって、私は日本昔話の「鶴の恩返し」を手に取った。
はなちゃんに一生懸命読んで聞かせる私。はなちゃんも大人しく聞いている。鶴がやっと機織りを始めた頃、はなちゃんは言った。
「じゃあ、鶴はこの辺で」
そう言って、フラフラと歩いて絵本コーナーの方に行ってしまった。
「えー!」私は呆然とした。
ちゃんと最後まで聞かなくていいのか?
まだ鶴が恩返ししていないんですけど。
私もいつかはなちゃんにこんな風に「綾ちゃん(私のこと)もこの辺で」
とか言われて、あっさり捨てられるのだろうか?
「ちくしょう、捨てられる前に捨ててやるう!」私は急に図書館の片隅で、昔本に書いてあった「恋愛の鉄則」の3項目名を思い出した。
その本には、「恋人に捨てられるぐらいなら、その前に自分から捨てましょう!」とか結構凄い事がたくさん書いてあったのだ。
とにかくまだ現在のはなちゃんは、小学生なので叔母さんの私と仲良くしてくれている。
この幸せを噛み締めて、はなちゃんに捨てられる日が来ないよう精進を重ねて生きたいと存じます。


良かったらサポートして下さい、私の作品はほとんど全部無料です、とても助かります