栃木戦の記録

たなちーです。現地参戦した栃木戦のレビューです!

システム

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両チーム442のミラーゲームだったが、ファジのボランチが配給役を務めることが多いのに対し、栃木のボランチはセカンドボールを拾う役回りだと感じた。基本的に栃木はへニキを代表とする屈強なプレーヤーにハイボールを送り、リスクをかけないような戦法をとるため、ボランチが回収役となるのも頷ける。

試合概観

お互いに昇格・降格争いの真っ只中の両チームは、やはりと言うべきか、立ち上がりはお互いセーフティな蹴り合いとなる。しかし、やはり蹴り合いとなると降格争い真っ只中でややフィジカルに重きを置いていた栃木のほうが優勢で、開始五分ほどまではほとんど相手陣内でボールを持つことが出来なかった。だからこそ、先制点は衝撃だった。9分、ゴールキックの流れから栃木のファールを誘い、フリーキックを得る。上田が蹴ったこのボールを増田が打点の高いヘッドで流し込み先制。上田の高精度の左足と、増田のエアバトルの、得意なプレーがきれいにはまったゴールだった。

最初のワンチャンスを仕留めた岡山は、自分たちの流れに引き込もうと自陣深くから組み立てていこうとする。しかし、そこは栃木も織り込み済みのようで、岡山のSBがボールを持つのをトリガーに、近距離のパスコースを消すポジションをとることで、岡山はロングボールを蹴らざるをえないシーンが頻発した。

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図:10分、増谷(左上)のボール保持時の栃木のプレス陣形。SBに対しボールサイドのサイドハーフが縦からプレス。同時にツートップの片方がボール側のCB,もう片方がボランチをマンマークすることでパスコースを遮断。

その結果、岡山は自陣で安定して保持することができずに、やや栃木に押し込まれる展開が続く。栃木の狙いは、前述の縦への放り込みを第一に、サイドで時間を作ってからのクロスもしくはロングスローといった、いわゆる事故狙いの攻撃が目立った。

しかし、この日の岡山は増田を筆頭に守備陣がとても強固だった。先制点を奪った増田のその高さは守備でも同様に相手のロングボールを弾き続け、栃木の攻撃に対する最大の脅威であった。さらに、増田が競ったあとのジョンウォン、喜山のカバーも迅速、シュートを打たれても一森が体を張って止めるなど、攻められていても決定的なチャンスはほとんど作らせなかった。

後半もしばらくは栃木が押し込む時間が続いたが、ヘニキが交代したあたりから足が止まり始め、岡山はようやくヨンジェ、赤嶺あたりが前を向いてボールを受けられるようになる。自らが高い位置で主導権を握ることで、ここ数試合での攻めの形をようやく出すことができ、赤嶺のフリックから仲間、ヨンジェなどがチャンスを創造。

照明トラブルによる中断後は栃木が人数をかけたパワープレー→岡山のショートカウンターといった展開が続くが、どちらも点を奪うことはできず、そのまま1対0で岡山が勝利した。


相性抜群のヒーロー、マグ

この試合でのマグ(=増田)は最高だった。栃木がロングボール戦法だったこと、マークするFWがサイズのあるヘニキだったこと、といったように、守備ではマグのストロングポイントが余すことなく発揮できる最高の展開だった。そして、期待通りことごとく競り勝ち、跳ね返し、栃木の攻撃をシャットアウト。さらには最初のシュートチャンスで頭一つ抜け出して決勝点をあげるなど、マグのすべてがギュッと詰まった一試合となった。

黒子に徹し、時間を創る男、関戸

この試合、栃木の圧をかいくぐることができたのは、関戸の影響がかなり大きかったと言える。いつものようにチャンスメイクで輝きを放てたわけではなかったが、後方でのビルドアップ時に、持ち前の技術と視野で相手のプレスを外すパスを連発。長時間ロングボールを受け続けたチームに一旦落ち着く時間を創れたことで、百分少々耐え続けた守備陣の集中力を保つ助けとなった。

これからの四試合への収穫、課題

・町田戦で手を焼いたロングボール主体の攻めに対し、無理に自分たちのサッカーをせず、相手に合わせつつもしっかりゲームをものにできたことはとても大きい。ここから昇格戦線を勝ち抜くためにも、この粘り強さを保ち続けたい。

・マグ、ジョンウォンのCBコンビであるため、必然的にいつもよりラインが低くなっているが、チーム全体が間延びすることはそんなになかった。プレスをかけ続け、かつショートカウンターを狙うためにも、コンパクトさを維持することは大事。

・気になったのは、ヨンジェ、赤嶺が激しくマークされた時の攻め手が少ないこと。今までは仲間がボールを運ぶことで打開できていたが、仲間が警戒され、やや疲れが見えることを考えても、右サイド起点の攻めをもう少し使って相手の警戒を分散させたい。

・ビルドアップ時にジョンウォンのパスがずれることが多いため、そこを狙われないようにしたい。(といってもすでに喜山がかなりフォローしているため、大丈夫だろう)

・山本が復帰し、頼れるFWがもう一人増えたことはとても大きい。しかし赤嶺の調子もすこぶるいいため、有馬監督の頭を悩ませることになりそう。


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