ヘモグロビン

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9Fの悪魔

「うち、マンションの8階なんだけど9階に悪魔が住んでるの」 「えッ、なんかやばい人?」 「うんん、ホンモノの悪魔」そう言いながら彼女はスマホをいじっている 電車で隣りに座っていた二人の女子高生のたわいない会話だ ただ、ひとつ共通点があって ボクが住んでいるところもワンルームマンションの8階で 必要もないのでまだ上の階に行ったことはなくて エレベーターでも会わないしどんな人が住んでいるのか知らない 都会なら当たり前の話だが そういえば、フフ、悪魔がいるかも たとえば仕事から

    • スーパーマンなら飛べるはず 2対1

      リポーター「全国的な料理人の大会で優勝できなかった男が不満を爆発させ  会場になっているビルの屋上から飛び降りようとしていますッ!」   屋上のフェンスをまたいでいる男   ベテランの刑事が説得にあたっている ベテラン刑事「要求は分かった、今関係者に話聞いてるからッ」   若い刑事が緊張感なくダラダラと歩いて来てペーパーを渡す ベテラン刑事「(受け取って)大会の審査委員長からだ  確かに君の作ったカレーは美味しかった  私が今まで食べた中でも5本の指に入るだろう」   当然

      • モノ忘れ 

        隣りの部屋に入った瞬間 「何取りに来たんだっけ?」となるのが最近よくある タイトル『モノ忘れ』 もっと厳しく『〇〇症』とかにした方がインパクトあるかもしれないけど 怖いので、コレでいきます 怖さついでにもうひとつ 今回は自分のことではなく同じ会社の川内さんとお父さんの話で ええっと、川内さんが現在47歳 お父さんは78歳の独り暮らしでありまして この間も川内さんが顔を出すと「アレ、来たのかッ?」と聞いてないぞ対応 「電話しただろ、今日行くって」と言ってもどこ吹く風で そろそ

        • 遅かった

          『世界で一番貧乏な大統領』と言われたウルグアイのホセ・ムヒカが こんな言葉を残している 「私は貧しくない、貧しいというのは少ししか物を持っていないのではなく 無限の欲を持っていていくらあっても満たされない人のことだ」 トップの見識は当然その国に大きな影響を与える お金は欲望を代弁する道具として生まれてきた クレジットカードや電子マネー形を変えてもそれは道具にすぎず 人がお金を使うというホーマットに変わりはない だが、自分がお金に使われている あるいは振り回されていると感じた

          盛り

          もう十年くらい前になるか 大谷翔平がプロに入ってまだ2年か3年目のころ 同じパリーグでバリバリのホームランバッターだったホークスの柳田選手に 「ライバルとして、大谷をどう思うか?」と質問した記者がいた 失礼だと思った 当時日本でダントツの飛距離を誇るバッターが新人選手のライバルだなんて だが柳田選手の答えは予想外だった 「ボクはライバルなんかじゃありません、ただの彼のファンです」と プロの目から見れば大谷の能力はその時すでに ほかの選手とは比べ物にならないレベルにあったんだろ

          オプティミスト

          「子供のころしゃべるのが苦手で引っ込み思案ってのもあったけど それより口が回らなくて、そう早口言葉なんか特に でもある時思いついた言えなかったら書けばいいじゃんって 夏休みの自由研究に早口言葉を100個それぞれ10回ずつ書き 『早口言葉克服法』ってタイトルで出したら先生に褒められて それから人とも話せるようになってこの通り」 コロナの後、家の近くで見つけた定食屋の店主がこんな話をしてくれた 夫婦二人で始めた店で彼は40前後 奥さんの方は若くてまだ20代だと思う、ちょっとヤン

          オプティミスト

          子供の成長

          「そんなこと言うんだったら、もう友達じゃないッ!」 親戚の男の子が3、4歳のころ ボクと遊んでて何かにムカついたんだろう こんなセリフを吐いた いかにも保育園でだれかが言ってたのをそのまま使ったかんじで 「そう、友達じゃない、親戚だよ」と返すと 間違えたのを猛烈に悔しがる表情をした これもどっかで見たと思ったら 当時CMで竹中直人さんがやってたのと同じ顔で まあ、こっちはたまたまかもしれないが 人の学びは誰かのマネをするところから始まるので この子にとっては成長なんだと理解し

          夢うつつ

          『再起動しています』 最近パソコンの動きが遅くて もうだいぶ使ってるから買い替え時なんだろうけど 再起動をかけまくってなんとか持ちこたえてる 出来ることならボクの身体も同じようにリフレッシュしたいが 原因は明らかで慢性的な寝不足です 実際とんでもないミスをする 完璧なプレゼンをすべく資料を揃え相手の会社へ 何を聞かれても答えられる自信があった 通された応接室で待つこと30分少し遅いなーとイライラしだしたら カウンターパートの担当者が怪訝な顔で現れた 早速案件に入ろうとすると

          チョキ一族(いちぞく)

          小学校の5年で同じクラスだった木島君は 横長のシートなんかに何人かで座ると 必ず体を小さくして無理な 姿勢でもずっと我慢している そんな子だった ぜんぜんどんな子か分からないとツッコミが入りそうですが 強いのか弱いのか優しいのかボクにもよく分からなかった もっと言えば彼にあまり関心がなかったというのが正直なところで 当時のボクが面白がっていたのはクラスで流行ってた いろんなところに時代劇のセリフを入れるという遊びで 例えば 「曲者だッ!」と叫びながらクラスメイトが教室に駆け

          チョキ一族(いちぞく)

          ヘモグロビン3.8

          駅までの道は15分くらいで途中なだらかな上り坂がある 7年前の春、この坂を上るのが辛くなってきて 「ああ、これが老化ってやつかッ」とその時は苦笑した もともと歩くのは早い方で人を追い越していくくらいだったのに 坂の途中で休んだり、階段なんかも息切れがしたりで 寝不足が慢性的に続き疲れが取れにくくなっているのもあるかと 休みの日は極力寝るように心掛けた しかし体調は戻らず それどころか失禁や嘔吐も出て あと、これはうまく言えないがフラッシュバックのように一瞬 なにか得体の知れ

          ヘモグロビン3.8

          ウソつきじいさん

          「『死なばもろとも』ってテレビ知ってる? 10年前までやってた」 法事で親戚が集まって 今年70になる叔父が二十歳の男子をつかまえて話かけていた 「若い子とは合わない、こっちがなんか言っても知らないんだもの」と よくボヤいていた人で 最近はもうワンランク上がって どーせ分からないならウソついてもかまわないだろうと開き直っている 「歴史の教科書の検定委員にデーモン小暮が就任したらしい やっぱ大昔からずーっといるヤツに聞くのが一番だよな~」とか 「ゾンビになった人間を逆に人間が

          ウソつきじいさん

          命のラーメン

          近くにカウンターだけの小さなラーメン屋があって 50前後の男性がひとりで切り盛りしている 豚骨ベースの味噌ラーメンが意外とあっさりしていて美味しい 店長は無口で、いや無愛想といったほうがいいかもしれないが まあ、ウマければいいわけで その日は夜遅いせいか客はボクひとりだったがそこへ よく顔を合わせる60代の男性客が現れ隣に座り込んで かなり酔ったふうで声を掛けてきた 「『命のラーメン』って話、知ってる?」 ボクが首を振ると男性客が語り出す 「あるラーメン屋に男が入ってきて

          命のラーメン

          母親

          トラブルで仕事が土曜日までずれ込んでしまい なんとか夕方に終わって帰りの電車に飛び乗った 斜め向かいの席におかあさんと7歳ぐらいの女の子がいて 子供の方は遊び疲れたのか親の膝あたりに上半身を預け眠り込んでいる ちょうど二人の場所が西日の差し込む位置で 女の子の顔に陽射しが当たらないよう母親がずっと手で覆っていた 鉄分が不足しているせいかツメの先がよく欠ける たいてい気づくのが夜で切るのをためらってしまう 昔からの迷信で 「夜ツメを切ると親の死に目に会えない」というのがあって

          ウソ

          中継が入らずあまり注目されてないプロ野球のカードで 大差になると、勝ってるチームのバッターが早く終わらせるため わざとアウトになることがある そんな試合で リードしているほうのベテラン選手が打席に入って相手キャッチャーに 「どれだけ打たれるんだッ、しっかりしろ!」とカツを入れその後に 「真ん中に投げろ、三振してやるから」とうながす うなだれながら頭を下げキャッチャーが真ん中に構えると その球を狙い撃ちでホームランにする ニコニコしながらベースを一周し戻ってきたベテラン選手が

          怠惰

          タイパ気にしてるっていうのともちょっと違うけど 仕事から帰ってトイレをした後、おろしたズボンを上げない どうせ着替えるんだから 膝少し上ぐらいで踏ん張ってガニ股歩きでジャージのところまで行き 足を緩める 自然にズボンが落ち、そこから着替えが始まる 引かれるかなー、こんなこと書いたら でも案外同じような人いるんじゃないかと 長い間の独り暮らしで人目がないというエクスキューズが染みついている そういえばここ数年トイレのドアを閉めたことがない フルーツはミカンでリンゴとかナシは食

          生活防衛

          男目線の話からで恐縮ですが 牛丼の全国チェーン店が思い切ったキャンぺーンを打っている 次の日に連続して利用すると 200円割引になるクーポンが使えるというもので メニューの価格帯が500円から700円台だからかなりお得だ さらに凄いのはこれが一日限りでなく続ければ期間中毎日でもかまわない でも、さすがに牛丼ばかり食べるのはって方も多いでしょうが けっこうほかのメニューも充実で とりのから揚げ定食とかカレー、ハヤシライスなどバラエティに富んでいて ボク自身この期間中に6日連続で