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「ほんとは君を襲うために午前休取ったんだ。」なんて、狡い。

1か月前まで「彼氏だった男の人」は「元カレ」になって、荷物も取りに来て、本当の最後はしっかり笑顔でお別れが出来て、連絡を経ってからもう二週間が経った。

今回のお話は、こちらの冒頭で出てきた「気になる人」について。

* * *

実は彼とは付き合いが浅く、長い。
知り合ったのは約10年前、すでに古となったmixiの時代。

私が好きなアーティストのコミュニティで、私が好きなアーティストと同じ名前の男の子に、私が買えなかったコラボベレーを譲ってもらうことになった。そこからmixiで繋がって、mixiの勢いが落ちてきたころに何かのきっかけでInstagramでも繋がった。

そこからずっと、なんとなくお互いのストーリーを見たり、たまにDMしてみたりしていた。

だけど10年間会うことは1度もなかった。

それが今年の6月ごろに、私が知っている居酒屋で飲んでいるストーリーをあげていたので、何気なく「知ってるところです!」とDMした。(DMを見返して驚いたけれど10年間敬語だったのだ。)
そこからあれよあれよとなぜか飲むことになって、7月中旬に初めて飲んだ。

私は人見知りで、お酒を入れないとしゃべれないので、初対面ではバカスカ飲むんだけれど、そのペースについてきてくれて嬉しかった。
その辺の男性より強いから、あんまりついてこれる人は多くない。

共通の趣味である好きなアーティストのことで大いに盛り上がって、すごく楽しい時間を過ごした。私は当時彼氏がいたし、あとから聞いたら向こうにも彼女はいたらしい。

お友達としてこれからたまに飲めたらいいなーなんて思っていたら、なんだかんだですぐに会うことになった。が、しかし私がコロナになって流れてしまった。

体調が戻った8月下旬、もう一回飲んだ帰りに腰に手を回された。
私も少しゆらぎそうだったけれど、彼氏を裏切ることはできなかったので、そのまま帰った。そして、きちんと彼氏にお別れをした。

* * *

そしてお別れしてから、初めてのデート。
私の「お昼から会いたい」という我儘に付き合ってくれて、私が行きたいと言った科学博物館の特別展に行くことになった。

お酒を入れずに会おうと思っていたのにランチで入ったハンバーガー屋さんでかわいいわんこがいて、楽しくなってクラフトビールを2本飲んだ。

博物館はわりと真面目な展示だったんだけれど、ときどき展示物に小ボケを挟んで笑いあいながらゆっくり楽しむことができた。
常設展も見ることができ、初めて入るクソデカ化石展示室にテンションがぶち上がって一人で小走りで入ってしまった。近くのこどもが親に「走っちゃだめだよ」と怒られていて私も反省した。

博物館の後はもちろん飲み。
普段あまり飲まない日本酒を2人で5合あけた。何を話したか覚えていないけれど、恋の始まりとは不思議なもので、箸が転がっても一緒にいるだけで楽しいのだ。

2軒目を探しているとき、なんとなく手を繋ぎたいのかなと思った。だけど、逃げ癖で気づかない振りをしてしまった。

彼曰く世界一治安がいいという上野のHUBに入ることになった。
狭めのカウンターだけど、二人で座るにはわりとゆったりできる席に通された。気が付くと腕が後ろにあってもたれかかる感じになっていたり、ほどけて私が気が付いていなかった靴紐をわざわざしゃがんで、結びなおしたりしてくれた。

終電が近くなったときに「今の俺の気持ち当ててゲーム」になった。
「帰りたくない?」ときいたら「親戚みたいなもん!好きなアーティストのあの曲イントロから追ってみて」と行ってトイレに去って行った。

その曲の出だしの歌詞は「帰したくはない」だったけれど、私は照れて気が付かないフリをした。だけど根負けして、私がその言葉を言うと「そうだよ?」と言われた。フリーになった私の意志は弱いので「いいよ」と言ってホテルに向かった。(そのときはきちんと手を繋いだ)

* * *

夜の顔とはよく言ったもので、普段ほわほわで掴みどころのない彼が別人みたいになった。

私は遊び・本命に関わらず「一緒にお風呂入る?嘘だよ!」と言って、1回はからかって楽しむ。もちろん彼にもそうした。だけどお湯を張って、ゆっくり身体を洗っているとまさかの彼が入ってきて、一枚上手をとられたなと悔しくなった。
そのままお風呂でセックスが始まりそうだったけど、私の体調が悪すぎて一旦待ってもらった。

体調が落ち着いてからセックスは始まったんだけど「暗いのがいい」に対して「これ以上暗くならないよ」と言われ、現にそういうホテルもあったから私は諦めた。(実際は全部消せた、本当に狡い男なのだ。)

「好きだ」なんて言葉はくれないくせに言葉攻めはたくさん落ちてきて、Mっ気がある私はタジタジになってしまった。今までの人より前戯が丁寧で、感じる彼があまりにもセクシーで、たくさん濡れていたように思う。
お酒をたくさん飲んでもしっかり硬くて大きさも良好、持続性も花丸できちんとゴムもつけてくれた。

終わった後は次の日は仕事ということもあって、そそくさと私が寝た。

* * *

朝は彼より早く起きたので、軽くシャワーを浴びて準備をてきぱきしていた。「起こしてね」なんて言っていた彼は気が付くと起きていて、ぼーっと私の準備を見ていた。

窓の外が見えるタイプのラブホだったから、窓の外を見ていたら、気が付くと腕の中に居た。お互い出勤時間が近いのにまさか、なんて思っていたら、耳を攻められて何もすることができなくなってしまった。

「ね、耳だめ。」
『なんで?』
「弱いから。」
『いいこと聞いた。』
「時間ないよ?」
『襲うためにとっくに午前休取ってる。』
「ずるい・・・」

本当に、狡い。
Mっ気がある私はどうすることもできずに流されてしっかりと遅刻した。
(どうりで彼はバスローブから着替えなかったわけだ。)

* * *

「好きだ」とか「付き合いたい」とか、言われていない今、向こうが遊びなのか真剣なのかは分からない。

だけど、私の中では始まってしまったの。
狡い部分や悪い部分があることは分かっているし、苦労しそうだなとも思う。底が見えない沼だということは分かっている。

だから、次に会ったときに、きちんと彼の気持ちを確認することを此処に決意表明する。
そうしないと、だらだらと引きずってしまうことは、自分が、よく、分かっているから。

* * *

さぁてさてさて御立ち会い。
10年越しの友情を壊したのは彼、それを許したのは私。

果たしてこの関係どうなっていくのでしょうか。


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