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ラガー箚記(39)リーグワン第13節のレビュー

気がつけばもう、リーグワンも終盤戦。ベスト4をかけた争いは、実質的には、あとは神戸か横浜かというところ。入れ替え戦は、リコーが相模原にくらいつけるかどうかですが、かなりリコーの線が強そう。

そうなると、順位というよりも、各チームのプライドをかけた、純粋な「この1戦」への勝負を楽しみたいです!


東芝 40ー40 神戸

なんともアドレナリン出まくりの80分。いや90分近く。神戸が今日は、テリトリーで圧倒しているのに、どうして40点も取られてしまうのか。。本当ならば、神戸が圧勝して然るべき内容。東芝は、モウンガ不在で全くテリトリーが取れず、常に自陣で戦っていた感じ。

神戸は攻めれば取れる、と言う形で、攻撃では東芝を圧倒していた。テリトリーは7割以上あるのでは。テリトリーで7割取りながら、40点も取られると言うのは異常でしょう。東芝のアタックがいいと言う問題ではなくて、裏に出られた時の組織的なカバーディフェンスが薄い。取られる時は、いとも簡単にトライを献上していた。

何にしても、お互い80分間攻めまくっていて、見ている方としては最高に楽しい試合でした。(やっている人たちは、地獄だったのでは。。)


静岡 31ー31 クボタ

前半と後半でまるで違う試合。前半は接点とアタックでクボタが圧倒。後半は、静岡がスクラムで圧倒して、後手に立ったクボタは、あらゆる場面で反則をしまくって、最後は、たった1分のキープもできずに反則をして、ベスト4を完全に失った。

最近の試合は、3トライ以上差があっても、ちょっとしたモーメントの切り替わりで、一気に試合がひっくり返る。これは、各チームのアタック力が上がっていることの証左ですね。少し隙を見せれば、どのチームも一気に3、4トライ、たとえ相手が上位でも取れる力がある。

クボタは、後半の入りに、緩みはなかったか。24点差の前半に。王者たるチームは、このような試合をしないものだ。そこに、チームとしての意識の低下や、意識の不統一を感じる。最後の1分のキープすらできないところに、少し地盤沈下を感じる。

静岡は役者が不足していても、チームとして「スクラム」という柱があるのが、なんだか心の拠り所。今日は、ピウタウが攻守に柱となってささえたけれど、この試合を負けないところに、チームとしての底力の向上を感じる。メンバー戻ってきたら、来季は、いよいよTOP4目指せるのでは。

今日はピウタウ。走れるし、強いし、なんといってもボールの捌きが上手だし、ジャッカルするし、なんならキックもできる。家村、グリーン、タヒトゥア、と主力のいない中、ツイタマとファリアと彼でチームを支えた。安定感は半端ない。


相模原 20ー34 トヨタ

トヨタが冴えないアタックを続けている中、9点差つけられたら、急にやる気というか、吹っ切れて、強いアタックを繰り出し、きちんとトライまで決め切ってきた。それを、今日は、バレットが完全に牽引した。長崎の方はバレットの輝きが見れて羨ましい。

相模原は今日はアタックにおけるミスが多かった。もっとワイドに振って、積極的な攻撃をするのかと思ったけれど、意外と、FW周りでプレッシャーかけられたから、今期見せてきた、テンポの良いアタックが見れなかった。そして、最後20分でディフェンスが切れてしまった。

トヨタは、ディトイの存在は大きいように見えます。ディフェンスの時の仕事量、攻撃の時、1番最初に痛いところに突っ込んでいくところ、たまに大外にいる時の存在感などなど。これだけ激しいのに、反則をあまりしないのも素晴らしい。

トヨタは次節が埼玉との試合。前回の対戦では前半で28点取りながらまくられました。是非とも、プライドをかけて、埼玉を「FWで」粉砕するような試合を見てみたいです!


リコー 26ー50 埼玉

局面ではリコーも頑張っているのですが、トライをとるための思考、という点では埼玉が1つも2つも3つも上で、リコーが10の手数をかける中で、埼玉は2ぐらいの手数でトライを取っている。この差が点差。

リコーは、埼玉に対して、決してアタックの局面で負けてはいない、という印象があるのですが、如何せん、トライまで遠いところでばかり攻めている。トライに至るまでの思想、思考を埼玉は共有しているように見えて、リコーはそこが埼玉には劣っている。

あとは、埼玉に勝つには、やはりセットプレーを圧倒しないと、なんとも難しい。5分とか、6−4くらいで勝ってるくらいではダメ。8−2くらいで圧倒しないと。こういうことをできそうなのが、東芝と静岡かな。。リコーは、そこは厳しい。。


サントリー 57ー10 三重

サントリーがあらゆる局面でホンダを上回った試合。バックスの走力、FWの圧力、トライをとり切る力、セットプレー、そしてポゼッションのディフェンス力。サントリーの総合力が顕著だった。ホンダは、いい勉強になったのでは。

そのホンダの中では、今日はFBのバンクスの頑張りは凄まじかった。勝負の決まった72分の尾崎たへのタックルまで、ラン、ディフェンスでチームを鼓舞し続けたように見える。カテゴリーCの実績ある選手が、下位に沈むチームの勝敗の決した試合の最後までこの気合い。恐れ入る。

サントリーは12番と8番のランが目立った。イオアネは、ツイの仕事を見ていたはず。あのレベルを超えなければ、使われないと思えば、気合も入るところか。逆にホンダは、今日は安易なタックルミスによるブレイクを許すケースが目立った。


近鉄 33ー50 横浜

横浜が田村を中心によくよく近鉄の外を崩し切った試合。田村のキックが大外からばかりだった。近鉄はFWが頑張っていただけに、外のディフェンスと、抜かれた後のカバーディフェンスの薄さが目だった。横浜は、去年のアタックの決定力、が戻ってきているように見える。

近鉄は横浜から30点を取っている。今シーズン横浜が30点を取られたのは4試合目。このアタック力とディフェンスの軽さが諸刃になっている感があって、それではD1ではなかなか勝ちまでいかない。どうしていくのか。来季に向けて指針の問われるところ。

さらに言えば、近鉄はゲインメーターでは横浜を上回っているテリトリーも五分五分。タックルは横浜の方が多い。スタッツだけ見れば、得点以外が五分五分。これをどう考えていくかということになるのかな、と。


次節は、トヨター埼玉の試合に期待をしたいです。トヨタには、是非とも肉弾戦で埼玉を粉砕するような気概のある試合が見たいです!


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