見出し画像

いったん「あぜ編み」の見た目をわかろう(ニットの名前:編み地)

セーターと呼ばれるようなスタンダードなニット製品の編み地は基本天竺目です。
だからなのか、身頃の編み地が天竺以外だとその編み地がセーターの商品名になってるケースが多いです。

編み地が『畦あみ』だとだいたい商品名になってます。

今回は『畦編み』の説明です。

かなりよく聞く編み地ですが、リブっぽい組織でリブとの違いがよくわかりません。 

私は当初リブ編みとの区別がついてませんでした。
リブ編みの別の呼び方くらいに考えてたのですが、どうやら別物らしいとわかった後も何が違うのかしばらくわからないままでした。

今、なんとかわかってるつもりなのですが、しっかり説明できる程の自信はないです。

ということでビジュアルで比較してみます。

まず、

【天竺編み】 

ニットの一番スタンダードな編み地です。

画像5

(こういう天竺ボーダー)

画像1

(表目です。)

画像2

(拡大)

画像3

(裏目です)

画像4

(拡大)
天竺の表目、裏目。見え方全然違うのでわかりやすいです。
V字組織と横畝組織です。

【リブ編み】

裾、袖に使われるケースが多いですが、タイトフィットのニット製品をつくる際に伸縮性をだすため、身頃全体をリブで編み立てるケースも頻繁にあります。

天竺の表目と裏目が交互になるように一段の中で裏表一定の目数で編みます。
で、何段も同じパターンで編みます。(表裏交互にすることで横方向の伸縮性がでます。)

例えば2目表目、2目裏目、2目表目、2目裏目と見えるように繰り返し編みます。
この編み方だと出来上がった編み地に表裏がなく両面同じ組織になってます。
「2X2のリブ編み」とか言われます。

画像12

画像①(2x2の裾リブ セーターの表面)

画像11

画像②(2x2の裾リブ 同じセーターの裏面)

①、②とも画像上部はこのセーターの身頃の天竺目です。①は天竺の表目、②は裏目なのがわかると思います。
一方で裾リブは二目ずつの表裏なので①②とも同じ組織です。

下画像は総リブ編みのタートルセーター

画像8

おなじみシルクリブタートルです。

画像9

(セーターの表面)

画像10

(セーターの裏面)
両面2目リブ編み、やっぱり表裏同じ組織で区別ありません。

実は「畦編み」のベースはこのように表裏同じ組織の「1x1のリブ編み」のことが多いです。
ではリブ編みとの違いはどこにでるのか?

【畦編み】

畦編みをわかるためにはもう一つ違う知識が必要になります。
ニット(編む)、タック(引き上げ)、ミス〔ウェルト〕(編まない)です。
ニットの一目単位の話です。
実はニットは「編む、編まない、保留して引き上げて編む」をコントロールして色んな編み組織をつくります。

下サイトの後半に「ニット、タック、ミス(ウェルト)」の説明、組織図がでてきます。(ついでに3原組織、「天竺、リブ、パール(ガーター)」もちょっと復習してみてください。)


復習込みで3原組織をざっくり割り切って説明しておきます。

・一番シンプルで基本となる編み地が天竺編みです。
・「天竺編み」には表目、裏目があります。
・「リブ(ゴム)編み」は縦の列での天竺表目と裏目の決まったパターンの繰り返し
・「パール(ガーター)編み」は横の列での天竺表目と裏目の決まったパターンの繰り返し
注:サイトの中の経編の3原組織はいったん無視でいいです。(デンビー、コード、アトラス)

□           □           □           □

ニット、タック(引き上げ編み)、ミス(ウェルト)なんとなくわかりましたか?

横編み3原組織の一つリブ組織の「1x1リブ編み」をベースにタック使いで編むのが「畦編み」です。(2x2もあるようですがあまりみません)
なので見た目「リブ編み」に似てますがタック(引き上げ)を入れる分ボリュームがでて横伸縮性が抑え気味になります。

さらに畦編みには「片畦編み」「両畦編み」があり、編み方が少し変わります。

これもざっくり割り切って説明すると
『片畦編み』・・・・片面だけタックを使う(表裏の組織違います)
『両畦編み』・・・・両面タックを使う(表裏の組織同じになります)

なんとなくわかればとりあえず「良し」です。
あとは見た目で覚えましょう。

下は片畦編みのセーターです。

画像13

下の画像は裾リブとの切り替え部分拡大。

画像7

(セーターの表側スソ部)
片畦編み:タックしてない方の面、幅がボリューミーです。(区切りから下は裾リブなので編み地比較してみてください)

画像14

(セーターの裏側スソ部)
片畦編み:タックしてる方の面、リブと似てますが、リブより少しボリュームと立体感があります。

下画像は別の片畦セーターの裾部です。

画像16

タックしてない面(編み地の違う下部分は1x1裾リブ)

画像17

タックしている面(編み地の違う下部分は1x1裾リブ)

両面の違いわかりましたか?(またリブ目との違いもわかりましたか)
リブ編み同様、表裏という概念はなくどっちをセーターの表面に使ってもいいのですが、『片畦編み』ではだいたい幅にボリューム感のでるタックしてない方の面を表に使います。
その方がリブ編みとの明らかな違いがわかるからだと思います。

で、そのせいか「両畦編み」より「片畦編み」の商品の方が多い気がします。

画像14

これも「片畦編み」です。

画像15

これも「片畦編み」です。
いずれもタックしてない面を表使いしてます。

さらにそのせいか「両畦編み」のいいサンプルが手元に見つかりません。
両面が「片畦のタックしてる面」の感じなのですが、いいのが見つかったら追加します。

<まとめ>

・「畦編み」はタックをいれたリブ組織(1x1針抜きリブベースが多い)

・タックをいれた分、リブ編みよりボリューム感、立体感がでるが、伸縮性は抑えられる

・「片畦編み」と「両畦編み」がある
『片畦編み』・・・・片面だけタックを使う(表裏の組織違います)
『両畦編み』・・・・両面タックを使う(表裏の組織同じになります)

・リブ編みとの差がわかりやすいので「片畦編み」の商品が多い傾向

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?