長い嵐が止んだ、翌日の地表より。

「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」


正直、1曲目の"ワイルド アット ハート"が既に涙腺にきていた。
我が家では歌詞の字幕をオンにしてライブを観ていたので、この曲が「進む道を決めたあなた」へ贈る歌だったことを今更のように知ることとなった。この曲に出会って8年以上も経とうというのに、休止前最後の日にようやく気がつくなんてね。

出会えた仲間よ そのままでいい
ためらうことなど何もないぜ
俺たちはきっと 胸に秘めた
涙の代わりに笑って Say goodbye

笑ってお別れを言える自信はないなあ、なんて思いながら、最後のライブが幕を開けた。

"SHOW TIME"から始まるアルバムを聴いた時、「これ絶対ライブ映えするアルバムじゃんか」と思ったんだ。大勢のバックダンサーも付けて、キラキラでパーティー感のある演出。私が観たかったものだった。

"言葉より大切なもの"ではファンの歌声を、"GUTS!"ではファンのダンスを取り入れつつ、無観客でありながらも観客と共にステージを作り上げていく。

"いつか秒針のあう頃"や"つなぐ"は、ステージ下の鏡張りの部屋の中でのパフォーマンスという、配信ならではの演出で魅せる。

ラップがある曲がくる度に櫻井くんが1番かっこよく見えるフォーメーションになるのが最高だったんだけど、中でも"Do you… ?"は格別だった。櫻井くんの「This is ARASHI」から始まるラップなんてめちゃくちゃかっこいいに決まってんだろ。「これが嵐だ」っていう宣言なんだから。

久しぶりに聴いた"明日の記憶"はすごく懐かしかったし、"Love Rainbow"でファンから集まったリクエストに全力で応える5人はどうしようもなく愛おしかった。

「次が紅白前最後の曲になります」

"エナジーソング〜絶好調超!!!!〜"は、2011年7月に発売されたアルバム『Beautiful World』のセブンネットオリジナル盤(2011年11月発売)に収録されている楽曲。メンバーが作詞をして、ニノが作曲・編曲を施している。

一番になって必ず戻るから。
ここ、この場所に。
皆とこうしていたいから、
頑張れるまだまだ行ける。
このまんまなら行ける気がする、
どこまでもずっと。。

この曲の中には、全力で走っている真っ最中だった彼らがいた。いつだって無我夢中だったから、このままどこまでも、が叶わなくなる日が来るなんて想像もしなかったよね。


紅白で披露した"カイト"では、国民的アイドルとして、この時代に向けたメッセージを届けてくれた嵐。それは"国民的アイドル"という地位にまで上り詰めた彼らにしかできないことだった。
最後に順番が回ってきた松潤が、こう言った。

「あと2時間余りで年が明けて、僕たちの嵐は一旦止みます。嵐が去った後に、虹の架かった美しい空が、どうか皆さんの前に広がりますよう。明けない夜はないと、信じて」

「僕たちの嵐は一旦止みます」
彼らが嵐として過ごした日々は、まさしくその名の通り、常に暴風雨に曝され続けるような毎日だったと思う。だって彼らが嵐になってから、嵐であることから逃れられる瞬間なんて1秒たりともなかったのだから。
国民のアイドルとしての嵐の姿は、惜しまれつつもここでの出演が最後となった。

そしてもう一度、ファンのための嵐に戻り、ライブは最終章へ。

東京のビル群の夜景が映し出され、"Whenever You Call"からライブが再開された。今の嵐の魅力が詰まった楽曲だ。

そこから爆速で時は遡り、"台風ジェネレーション"の懐かしいイントロが聞こえてきた。

「じゃあ行ってくる。あっ、さよならじゃないよね。また会えるから」

そう言って微笑んだニノは随分大人びて、完璧なまでにアイドルの顔をしていた。
「行かないで」って、言いたかった。

"マイガール"をセットリストに入れたのは、「ありがとうの想いを伝えたい」という気持ちからだろうか。5人で額を寄せ合って今日のセットリストを決めたのかなあ。想像力を働かせれば、この日のために用意された全てから、5人のメッセージを受け取ることができる気がした。

"感謝カンゲキ雨嵐"で、東京ドームの天井に流れていくファンからのサプライズメッセージを、キラキラとした瞳で見上げるメンバー。松潤は感慨深そうに微笑んで、相葉くんは眉間に皺を寄せてグッと涙を堪えていた。
私は「進化し続けていく嵐と過ごした日々は楽しかったです。ありがとう」と送った。メンバーに届いているかはわからないけれど。嵐の番組を見るのがもう10年以上習慣になっていて、家族と車で出かける時の車内BGMは専ら嵐で。私の生活の側に、思い出の側に、いつだって嵐がいた。変わり続けながら、変わらずに仲の良い、いや、どんどん仲が良くなっていくように見える嵐と過ごした日々は、とても楽しく、幸せだった。

"The Music Never Ends"。音楽は終わらない。嵐の音楽は、これからも鳴り止むことはない。
嵐の歌声は一人一人個性があって、聴き分けるのも容易くて、それなのに5人の声が重なった時の調和のとれた感じはとても心地よくて。まるで嵐というグループそのものを表しているかのようだった。そういうところが好きだった。

レコード大賞の舞台で、相葉くんが「転機になったのはやっぱり"Love so sweet"かな」と言った。私が、私たち家族が嵐と出会い、のめり込むきっかけとなったのも、やはり"Love so sweet"だった。

こんな好きな人に 出逢う季節二度とない

そう思っている人が、きっと世界中にたくさんいるよ。嵐よりも好きになれる人やものなんて他にないよって思っている人が、きっと世界中にたくさんいるよ。
「明けない夜はないよ」という言葉を残して、何度も「ありがとう」と呟きながら、嵐は光の中に消えていった。

嵐が去った後のステージには、美しい虹が架かっていた。


「明日から自分のことを考えて、自分の時間を大切に生きてみようと思ってます」と、私たちのためにこれからのことを少しだけ教えてくれたリーダー。「ずっと普通でいられなかった」と零していたよね。このお休みが、リーダーにとって安らげる時間になりますように。
「誰かの決めた自由」ではなくて、自分の好きなように、好きなものを手に取っていけますように。
"またいつか"を願う気持ちはあるけれど、今はできるだけ口にしないようにするね。

もしも旅立ちを決めたときは
何も言わないで見送るから
約束なんかは必要ないから

21年間お疲れ様。ありがとう。
またね。


1. ワイルド アット ハート
2. サクラ咲ケ
3. SHOW TIME
4. Party Starters
5. 言葉より大切なもの
6. GUTS!
7. 風の向こうへ
8. いつか秒針のあう頃
9. つなぐ
10. Turning Up
11. Do you… ?
12. 明日の記憶
13. One Love
14. Love Rainbow
15. Step and Go
16. エナジーソング〜絶好調超!!!!〜

🔴紅白⚪️
1. カイト
2. 君のうた
3. Happiness

17. Whenever You Call
18. 台風ジェネレーション
19. PIKANCHI★★DOUBLE
20. 君のうた
21. A・RA・SHI
22. Monster
23. 迷宮ラブソング
24. マイガール
25. Happiness
26. 感謝カンゲキ雨嵐
27. The Music Never Ends
28. Love so sweet